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[2013.09.23]

コスタリカの石球
~謎多き古代のスフィア~



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1930年初頭、中米コスタリカの太平洋沿岸部、ディギス川のデルタ地帯を覆う熱帯雨林のジャングルにて、ユナイデッド・フルーツというアメリカの果物会社がこの地方にバナナ農園を開墾していた際、奇妙な石の球体が複数発見された。
スペイン語でラス・ボラス・グランデス(大きな玉)、または単にストーン・スフィアとも呼ばれるその石球は、高度な加工技術を思わせる様子から、エイリアンの遺物ではないかとも噂された。


首都サンホセのコスタリカ国立博物館に展示されている石球▲
発見当初は、金持ちに売り飛ばされたり、内部に黄金が入っているという噂を聞いた人々の手によって、大部分が破壊されてしまったという。
発掘時の石球の状態▲

石球は現在までに200個以上も発見されており、 小さなものは直径2~3センチ、最大級になると直径2.6メートルに及び、重量は25トンにも達している。
石球の材質は一部の石灰岩を除き、殆どが花崗岩で、誤差0.2%と、どれもほぼ正確な球体をしているのだ。
こういった完璧な球体である「真球」を作るには極めて高度な幾何学的技術と形成技術が必要とされ、現代の技術でも石をこのレベルの真球体に加工するのは非常に困難だそうだ。
1990年代になってコンピューター制御によるハイテクマシンが開発され、人工的に真球を作ることが可能にはなったが、それでも完璧な真球を作ることが出来るのは直径1メートルまでだという。
この石球を製作したのは、西暦300年~800年にかけてこの地方に栄えていたディキス石器文化人だというのが学会の定説なんだがね、しかし、そうなると道具は銅かヒスイ製の工具と材木のコロやイカダ、生皮かツタ製のロープ程度しか使用できなかった彼ら太古のインディオに、そのような道具でどうやって石材を切り出し、運搬し、これほどに高度な石球を製作したのか謎なのだよ。
さらに石球が発見された地域一帯には、材質の花崗岩が採取できる石切場は全く存在しないのだよ。

開拓の為、重機で結構雑に運び出された石球▲
なお、石球の持ち出しや売買は法律で禁じられている。
1948年、石球の前に座るコスタリカのデルタ地帯を調査していた考古学者サミュエル・カークランド・ロスロップと、その妻エレノア▲

発見された時に、泥の中に埋まった状態で最低3個から最高45個の石球がグループをなして、直線や三角形状に配列されていて、それがまるで星座のような形だった事から、天体模型説が挙げられている。
また、そうした中には球に彫刻が残っているものがあり、カーブド・スフィアと呼ばれている。
他にも天文カレンダー説、呪術対象物説、権威シンボル説、球形宇宙船説などが挙げられるのだが、どれも決定力に欠けており、根拠がないのだよ。
現在この地方には、石球を作った人々の末裔とされる原住インディオのボルカ族が住んでいるんだが、彼らにもこれらの石球に関する記憶や神話伝承が一切伝わっていないのだ。
だが、支配者階級の墳墓から小さな石球が出土したり、神殿跡付近に大型の石球群の並んでいた跡が残っており、高度な幾何学的技術と形成技術で作られている点からみて、神聖な崇拝物だったとも考えられるね。

デビルズ・マーブルズ▲
地元アボリジニの人々にとって文化的にも精神的にも意味合いのある場所だ。
実は、このコスタリカのものとよく似た花崗岩の石球がオーストラリアのノーザン・テリトリー州にも存在する。
その名も「デビルズ・マーブルズ」(悪魔のビー玉)と呼ばれる巨大石球である。
地質学に詳しい京都大学防災研究所の千木良雅弘教授によると、デビルズ・マーブルズは、オニオン・ストラクチャー現象によって出来た物だと考えられている。
このオニオン・ストラクチャー現象とは、地中にある岩石が、土と接する全ての面から均一に風化が進行する事で、まるでタマネギの皮をむいた様に岩の粒子が剥れ落ち、やがて球体に風化していく現象である。
この現象が起こる条件として、花崗岩であることが必要なのだ。
マグマが地下深部で冷えて固まったことにより形成された花崗岩は、地殻変動によって上昇し、地表に近づき、土の圧力が弱くなってくると、少しずつ膨張するのだよ。
やがてその膨張によって縦横に亀裂が生じ、隙間に地下水が浸透し、オニオン・ストラクチャー現象が起こるのだ。
粒子が均一である花崗岩はきれいに亀裂が縦横に入りやすく、真球に近い石球が出来ることがあるそうだ。

今もコスタリカの地で神秘的な風景を作り出している石球▲
主にサンホセ市内の公園や邸宅など、様々な場所に飾り石として残されている。

また、最近になって、ディキス人の確かな製作方法は不明ながらも、直径2メートルの真球を作る事は可能だと唱える人物が現れた。
その人物とは、20年以上にわたりコスタリカの巨大石球群を研究している考古学者フランシスコ・コラレス・ウヨア博士である。
コラレス博士の仮説によると、10人程の職人によって巨大岩石を動かし、数本程度の丸太の上に乗せ、石を少しずつ転がしながら、球の形に近づくように角や縁の部分から削っていくのだ。
石球の大きさに合わせた木片を使って歪みを確認しながら、そうして10年近くの年月をかける事で、真球に限りなく近い巨大石球を手作業で作る事が可能だという。
実際に日本の石材加工業者が石を削る工具のみ現代の物を使用し、仮説と同様の手作業によって直径60センチの石球を作成した。
そしてこの石球の真球率は、コスタリカの石球に劣らぬ精度の高い真球率だったのである。
つまり、手作業でも限りなく真球に近い石球を作り上げる事が可能という事が判明したのだ。やる気さえあれば。
また、発見された地域には石材の花崗岩が無かったという事であったが、 彼らは村から何十キロも離れた花崗岩のある場所から、自分たちの住む村まで何年もかけ、大勢で石球を転がして運んできた可能性が高いのだよ。


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