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[2013.09.08]

人を死なす呪いの歌
~『暗い日曜日』&『トミノの地獄』~



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以前も人を死に至らしめる呪物をご紹介しましたが、この世にはどうやら、 聴いたり歌ったりするだけで人を死なせてしまう、“呪いの歌”があるようなんですね。
今回はサービスで、その恐ろしい歌の音源と歌詞も掲載しておきましたんで、各自くれぐれも取り扱いに気を付けてくださいね。


【聞くと死にたくなる自殺の聖歌 『暗い日曜日』】

シェレッシュ・レジェー(Seress Rezső)▲

『暗い日曜日(Gloomy Sunday)』は、1933年にハンガリーで発表された、シェレッシュ・レジェー(レッソ・セレシュ)作曲による歌の作品なんですがね、曲調や歌詞がこりゃもう陰惨でしてね、聴いた者のタナトスを掻き立てて、自殺を決意させちゃうってな、自殺ソングと言われているんですよ、ええ。
1930年頃、ブタペストのユダヤ人街にあるレストラン「クラチュ」(現在も営業中)のピアニストであったシェレッシュ・レジェーは、自身の失恋をきっかけとして、この『暗い日曜日』を作曲したそうなんですがね、もともと誰にも理解出来ない様な私的なものであった事から、世間に発表するつもりはなかったそうなんですね。
しかし、クラチュを後にしたシェレッシュ・レジェーは、同じくブタペストのレストラン「キシュ・ピパ」(現在も営業中)に移り、ピアニスト活動を行っていたところ、1933年に、同店の経営者であったヤーヴォル・ラースローにより仏詞がつけられ、『暗い日曜日』がハンガリーで発売される事になった。
すると意外にもこの曲はたちまち大ヒットとなり、喜んだシェレッシュは、すぐに、曲を生むきっかけとなったかつての恋人に連絡したそうなんですよ。
これをきっかけとして、またよりを戻そうと考えたのでしょうね。
ところがですね、シェレッシュからの連絡を受けたその女性は、翌日になって、服毒自殺を遂げた遺体として発見されたんですよ。
そして、彼女の手元に残されていた1枚の遺書には、ただ「暗い日曜日」とだけ記されていたそうです。

演奏中のレジェー▲
でもって、『暗い日曜日』は1936年に、フランスのシャンソン歌手ダミアが創唱して海外に広まり、アメリカで英詞がつけられ、ビリー・ホリディが歌うと世界的なヒットとなり、その他にも、ルイ・アームストロング、サミー・デイヴィス、ビョーク、レイ・チャールズ、エルヴィス・コステロ、マリアンヌ・フェイスフル、トム・ジョーンズ、また、日本でも、美輪明宏、越路吹雪、金子由香利、夏木マリなど多くのシャンソン歌手によってカヴァーされているんですね。
しかし、ヒットするにしたがい、ハンガリーでは、この曲に関わった者の自殺が続出したそうなんですよ。例えばですね・・・

○有名なハンガリーの歌手パール・カルマールがこの曲を歌い、生放送で流す予定だったラジオ局の局長エルネー・セーチが急死し、当日のラジオ放送が中止になるという事件が起きた。

○ブダペストで若い青年が、この曲の演奏をジプシーバンドに頼んだところ、彼はシャンパンを飲みながら曲を聴いていたが、その後、勘定を済ませた彼ともう1人の男は突然ピストルを取り出して、自身のこめかみを撃ち、その場で自殺した。

○14歳の少女が『暗い日曜日』のレコード盤を抱きしめたままドナウ河で入水自殺した。

○ニューヨークでタイピストがガス自殺をし、その遺書には葬式には『暗い日曜日』を演奏してほしいと書いてあった。

○バーで飲んでいた初老の紳士が、バンドに『暗い日曜日』をリクエストするなり、店の外に歩き出して自身の頭を銃で打ち抜いた。

○ベルリンでは、首吊り自殺をした若い女性の遺体の足元に、『暗い日曜日』の楽譜が落ちていた。

○80歳の老人がこの曲をかけながら、7階から飛び降り自殺をした。

○ローマでは、自転車に乗った少年が、老婆がこの曲を歌っているのを聴いた直後、その老婆に持ち金の全てを手渡し、そのまま陸橋から下の線路へ身を投げて自殺した。

自殺者てんこもりのイメージ▲
この曲を聴いて、実に100名以上の人々が犠牲になったと見られ、ついに政府の要請により『暗い日曜日』の販売が禁止、イギリスのBBC放送やアメリカ、フランスの放送局でも次々と放送が禁止された。
こうした事件からしばらくの時が流れ、一連の騒動が落ち着いた頃、BBCはインストゥルメンタル(歌無し演奏のみバージョン)という条件で、『暗い日曜日』を再び放送したんですね。
ところが、放送から間も無いある晩、ロンドン市警に「アパートの一室から、延々と同じ音楽が流れ続けている」という住人からの奇妙な通報が寄せられ、警官が現場に向かい、その部屋のドアをノックしたものの反応が無かった為、ドアを蹴破って中に入ると、そこには女性の遺体が横たわっていたそうなんですよ。
そして遺体の側では、自動蓄音機が延々と『暗い日曜日』をリピートしていたそうなんだ。
なお、女性の死因は鎮痛剤の過剰摂取によるものだそうです。
この事件により、BBCは再びこの曲の放送自粛を余儀なくされ、現在でもその封印は解かれていないってな話らしいですよ、ええ。
また、『暗い日曜日』の作曲者シェレッシュ・レジェーも、1968年1月11日、前の週の日曜日に69歳の誕生日を迎えたばかりであったこの日、自宅のアパートの窓から飛び降り自殺をし、遺体となって発見されたそうです。

この呪いの歌と自殺の関係性を突き止めるべく、多くの精神分析医や心理学者達によってこの曲は研究されたそうでしてね、考えられている一つの仮説としては、歌が発表された1933年は、ヒトラーがドイツの首相となり、ハンガリーなどの東欧諸国では、権力による抑圧といったナチズムが社会を疲弊させており、そんな閉塞した状況下で、この歌が持つ絶望的な旋律が、人々の弱っていた心の中にあった恐怖の因子を掻き立て、自殺を多発させたのかもしれないって事らしいんですがね、未だにその真実は判っていないみたいなんですねえ。
なお、世界各国の自殺率(人口10万人あたりの自殺者数の多さ)の調査結果によると、OECD加盟国では1位はハンガリー、2位が日本であり、先進国G7諸国中では日本が1位との事ですよ、ええ。

『暗い日曜日(Gloomy Sunday)』▲

『暗い日曜日』(邦訳)

暗い日曜日
両腕に花をいっぱい抱えた
私は私達の部屋に入った
疲れた心で
だって、私にはもう分かっていたのだ
あんたは来ないだろうと
そして私は歌った
愛と苦しみの歌を
私は一人ぼっちでいた
そして声を殺してすすり泣いた
木枯らしがうめき叫ぶのを聞きながら
暗い日曜日


苦しさに耐えかねたら
私はいつか日曜に死のう
生命の蝋燭を燃やしてしまおう
あなたが戻ってきたとき
私はもう逝ってしまっているだろう
椅子に座ったままで
目を見開いて
その瞳は
あなただけを見つめている
でも、どうか怖がらないで
私はあなたを愛しているのだから
暗い日曜日



【音読すると死ぬ禁断の詩 『トミノの地獄』】

西条八十▲

『トミノの地獄』は、大正から昭和にかけて活躍した童謡や流行歌の作家として知られる、詩人の西条八十(やそ)が、26歳の時(1918年)に出版した処女詩集『砂金』に収録されている作品で、トミノという少年が地獄を旅するという内容の、幻想的かつ不気味な13行の詩なんですがね、実はこれ、黙読なら問題無いそうなんですが、声に出して読むと死ぬ、もしくはとんでもない凶事が起こると言われているんですよ、ええ。
まさに伝染歌かつ自虐の詩ですね。
八十はこの詩集により象徴派の詩人としての名声を高めたとされているんですがね、そのちょっと前までは、経済難に陥ったり、大失恋を経験したりと、苦しい時期であったそうで、『砂金』に収録されている詩は、物悲しく重い内容の作品が多いそうなんですよ。
その中においても特に難解で謎めいているのが、この『トミノの地獄』でしてね、八十自身はこの詩について語る事は殆ど無かった為、文人達の間では、一体どういう意味を持つものなのか、しばしば議論になった様なんですね。
そもそもこの話の出所は、学者の四方田犬彦(存命)が2004年に出版した『心は転がる石のように』だそうでしてね、このおどろおどろしくも美しい、残酷ながらも妖しい魅力を放つ詩が、オカルトサイトなどで「音読すると死ぬ文章」として紹介された為(ここもだが)、近年ネット上を中心として囁かれる様になり、いつのまにか「黙読でも回数を重ねると死ぬ」とか、「音読すると周囲に災いが降りかかる」、「30秒以内に読めれば問題無い」なんて事も言われ出し、噂が派生しているみたいなんだなあ。
実際、掲示板やウェブラジオなどで勇者がこの詩の音読を試みたりしているんですがね、中には途中で背後に不気味な気配を感じたり、妙な重圧に襲われ、気分が悪くなるなんて人もいるそうなんですよ。
もっとも、そーいう原因は精神的なものであるとも考えられ、この『トミノの詩』の噂がネット上で煽られて尾ひれがついたのは間違いなく、大本の“読むと死ぬ”っていう話は、マルチ作家(劇、詩、歌、小説、映画、競馬評論など)の寺山修司が、「この詩を音読した為にしばらくして亡くなった」という風聞から始まったもの(また、自身の監督作品である映画『田園に死す』内で、『トミノの地獄』の歌が使用されている)だそうですが、彼の死(敗血症による病死)に別に不審な点はなく、彼自身、著作『墓場まで何マイル?』内で「自分は肝硬変で死ぬだろう」と記している事からも、呪いなどによるものではない事が伺える。
大体、“しばらくして”から亡くなったと語られている辺り、こじつけた感が否めないですしね。
また、この話をもたらした四方田犬彦という人物も、すごい知識人ではあるそうですがね、その反面、かなりのお茶目さんらしく、『トミノの地獄』も「みんなに教えてあげよう!」ってなノリで結んでいる辺り、実は信憑性はあまり無い様なんですねえ。

初音ミクに『トミノの地獄』を読ませてみた▲

『トミノの地獄』

姉は血を吐く、妹(いもと)は火吐く、 可愛いトミノは宝玉(たま)を吐く。
ひとり地獄に落ちゆくトミノ、地獄くらやみ花も無き。
鞭(むち)で叩くはトミノの姉か、鞭の朱総(しゅぶさ)が気にかかる。
叩けや叩きやれ叩かずとても、無間(むげん)地獄はひとつみち。
暗い地獄へ案内(あない)をたのむ、金の羊に、鶯に。
皮の嚢(ふくろ)にやいくらほど入れよ、無間地獄の旅支度。
春が来て候(そろ)林に谿(たに)に、暗い地獄谷七曲り。
籠にや鶯、車にや羊、可愛いトミノの眼にや涙。
啼けよ、鶯、林の雨に 妹恋しと声かぎり。
啼けば反響(こだま)が地獄にひびき、狐牡丹の花がさく。
地獄七山七谿めぐる、可愛いトミノのひとり旅。
地獄ござらばもて来てたもれ、針の御山(おやま)の留針(とめばり)を。
赤い留針だてにはささぬ、可愛いトミノのめじるしに。


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一人隠れんぼin樹海

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