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[2020.03.24]

レトロスペース坂会館
〜お菓子工場に併設のおかしな空間〜


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北海道民に“坂ビスケット”の愛称で親しまれる、札幌市西区にある製菓メーカー・坂栄養食品(※1)の本社工場には、 ディープ過ぎる私設博物館が併設されている。その名も「レトロスペース坂会館」。
1994年オープンの同館には、主力商品のビスケットが昔懐かしい味わいでもあるせいか、 昭和の生活雑貨などのコレクション(※2)が数万点も展示されているのだ。

だが甘い香り漂う館内に一歩入ると、いきなり緊縛されたリカちゃん人形(一部は洋式トイレに座っている)がズラッと並ぶ異様なSM祭壇(※3)が登場し、ここが単なる工場のオマケでない事が察せられる。
実際レトログッズで溢れる通路を進むと、 珍スポ名物のマネキン(生首)や、呪われていそうな人形、 女性タレントのヌード写真など、アダルトでサブカルな物も混在し、全体的に怪しい雰囲気(※4)。

これらは、先代社長の息子である館長・坂一敬氏(取締役開発部長)が蒐集したもので、そのきっかけは偶然出会ったマネキンだった。
今から20数年前、坂氏が電車で老婆に優先席を譲られ、自身の行く末を案じていたところ、ゴミ捨て場で複数のマネキン(※5)を発見。
まるで用済みの人間のような姿に自分の将来が重なり、思わずマネキンを拾って以来、不要品を集めるようになったとか(※6)。
かくて救われた古き良き時代の品々が、訪問者を昭和のパラレルワールドへとタイムスリップさせてくれるのである。

※1:北海道では「しおA字フライ」というアルファベット型ビスケットで有名。
1911年に士別市で創業した澱粉工場を前身とし、終戦後にビスケット製造を開始した。

※2:家電や玩具、人形、仮面、こけし、衣服、文房具、漫画本、風俗雑誌、レコード、医薬品、 戦争関係品など、実に様々な物が所狭しと展示・収蔵されている。
多くは昭和30〜40年頃に実際に使用されていた物で、全国各地から譲り受けたのだという。

※3:痛んだ人形をそのまま出せなかった為、縛る事で一工夫した館長のアート作品らしい。
バービー人形も何体かあるが、それらは魔改造されておらず、リカちゃん(日本)を縛る側という事を表している模様。まさかの国際風刺である。

※4:以前は2階の窓辺にビキニを着たマネキンが並んでいたが、来訪時は撤去済みだった。
どうやらそれは、「いかがわしい展示のせいでビスケットが売れない」と、同館を快く思わない会社の現・社長(館長の従兄弟)側との内輪揉めの影響らしく、一時は建物取り壊しの危機にまで陥ったようだ。しかし、2018年に館長側が裁判で勝訴し、施設の存続が決定したという。

※5:余談だが、偶然にも記事更新日の3/24は「マネキン記念日」である。
1928年に東京の上野公園で開かれた「大礼記念国産振興東京博覧会」で、高島屋呉服店が日本初のマネキンを陳列した事にちなむ。
ただ当時は現在のような人形ではなく、マネキンガールという実際の人間であった。

※6:やがて元レストランの建物1階を改装し、コレクションの展示を始めた。
どれも貴重な展示物に思えるが、元は各家庭で普通に使われていたものであり、また、 周辺の人通り減少を防ぎたい思いも開館理由の為、入場無料にこだわっているらしい(運営継続の為、奥の売店でのビスケット購入や寄付はやんわり促している)。


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