|
|
|
|
|
北海道民に“坂ビスケット”の愛称で親しまれる、札幌市西区にある製菓メーカー・坂栄養食品(※1)の本社工場には、
ディープ過ぎる私設博物館が併設されている。その名も「レトロスペース坂会館」。
※1:北海道では「しおA字フライ」というアルファベット型ビスケットで有名。
1911年に士別市で創業した澱粉工場を前身とし、終戦後にビスケット製造を開始した。
|
|
|
|
|
|
1994年オープンの同館には、主力商品のビスケットが昔懐かしい味わいでもあるせいか、
昭和の生活雑貨などのコレクション(※2)が数万点も展示されているのだ。
|
|
|
|
|
|
だが、甘い香り漂う館内に一歩入ると・・・
|
|
|
|
|
|
いきなり緊縛されたリカちゃん人形がズラッと並ぶ異様なSM祭壇が登場し、ここが単なる工場のオマケでない事が察せられる。
|
|
|
|
|
|
痛んだ人形をそのまま出せなかった為、縛る事で一工夫した館長のアート作品らしい。
|
|
|
|
|
|
バービー人形も何体かあるが、それらは魔改造されておらず、リカちゃん(日本)を縛る側という事を表している模様。 まさかの国際風刺である。
|
|
|
|
|
|
一部は洋式トイレに座っており、狂気ぶりに拍車をかけている。
|
|
|
|
|
|
館内はレトログッズで溢れ、
家電や玩具、人形、仮面、こけし、衣服、文房具、漫画本、風俗雑誌、レコード、医薬品、
戦争関係品など、実に様々な物が所狭しと展示・収蔵されている。
|
|
|
|
|
|
多くは昭和30~40年頃に実際に使用されていた物で、全国各地から譲り受けたのだという。
|
|
|
|
|
|
女性タレントのヌード写真や・・・
|
|
|
|
|
|
珍スポ名物のマネキン(生首)・・・
|
|
|
|
|
|
呪われていそうな人形など、アダルトでサブカルな物も混在しており、全体的に怪しい雰囲気。
|
|
|
|
|
|
これらは、先代社長の息子である館長・坂一敬氏(取締役開発部長)が蒐集したもので、そのきっかけは偶然出会ったマネキンだった。
|
|
|
|
|
|
今から20数年前、坂氏が電車で老婆に優先席を譲られ、自身の行く末を案じていたところ、ゴミ捨て場で複数のマネキン(※2)を発見。
※2:余談だが、偶然にも記事更新日の3/24は「マネキン記念日」である。
1928年に東京の上野公園で開かれた「大礼記念国産振興東京博覧会」で、高島屋呉服店が日本初のマネキンを陳列した事にちなむ。
ただ当時は現在のような人形ではなく、マネキンガールという実際の人間であった。
|
|
|
|
|
|
やがて元レストランの建物1階を改装し、コレクションの展示を始めたという(※3)。
※3:以前は2階の窓辺にビキニを着たマネキンが並んでいたが、訪問時は撤去済みだった。
どうやらそれは、「いかがわしい展示のせいでビスケットが売れない」と、同館を快く思わない会社の現・社長(館長の従兄弟)側との内輪揉めの影響らしく、一時は建物取り壊しの危機にまで陥ったようだ。しかし、2018年に館長側が裁判で勝訴し、施設の存続が決定したという。
|
|
|
|
|
|
どれも貴重な展示物に思えるが、元は各家庭で普通に使われていたものであり、
また、周辺の人通り減少を防ぎたい思いも開館理由の為、入場無料にこだわっているらしい。
|
|
|
|
|
|
ただし、運営継続の為、奥の売店でのビスケット購入や寄付はやんわり促している。
|
|
|
|
|
|
かくて救われた古き良き時代の品々が、訪問者を昭和のパラレルワールドへとタイムスリップさせてくれるのである。
|
|
|
■関連記事
・カオスの間~混沌が支配する謎の異空間~
・京都魔界案内①~秘宝館トイレ付きオトナ秘密基地~
・八潮秘宝館訪問記~ラブドールが佇む狂った楽園~
|