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[2016.09.25]

八潮秘宝館訪問記
~ラブドールが佇む狂った楽園~



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埼玉県八潮市には、事もあろうに自宅を秘宝館に改造してしまった兵(つわもの)が存在する。
これまでその家の内部は、一部メディアの取材にのみ限定的に公開されてきた為、 半ば都市伝説の様な印象であったが、最近になって初めて一般公開が行われた。
今回はその時の様子を記したものである。


八潮秘宝館


2015年11月、八潮秘宝館の第1回一般公開は、 完全事前予約制という形の上、3日間限定で行われた。
場所は何の変哲も無い閑静な住宅街のど真ん中で、建物も至って普通の民家そのものだった。


この張り紙が無ければ、ここに秘宝館があるなどと俄かには信じられない事だろう。 というか案内があっても半信半疑である。


インターホンは故障しているらしく、 あらかじめメールで教えてもらっていた電話番号で直接呼び出すと、 館長である兵頭喜貴さんが自ら出迎えてくださった。
アダルトコーナーっぽい垂れ幕がかかった意外な入口から靴を脱いでお邪魔する。


内部に一歩入ると、いきなり目の前に広がる光景に面食らった。
そこは、先程の外観からはとても想像がつかない、怪しくライトアップされたオブジェの数々が並ぶ異空間であった。


これらは模造人体愛好家である兵頭さんが、 昔の特撮に出てくるキ●ガイ科学者の住んでる屋敷を目指した展示内容だという。


1階は旧日本軍が人造人間の少女達を集めて結成した「特殊看護部隊」の部屋で、人体実験や拷問、暗殺を行う特務機関という設定を基に作り込まれたものらしい。


これまでも当サイトでは、 夢のお告げがきっかけにせよ何にせよ、オーナーが黙々とオブジェを作ったり集めたりする所謂オヤジ系珍スポットをいくつもご紹介してきた。


しかし、大抵は持て余していた広い土地が利用されているのに対して、木造二階建ての自宅という有限な場所において、 これ程までに居住スペースを削ぎ落とし、思うがままに自己の表現を突き詰める姿勢は、ある意味非常にロックな精神を感じさせる。


秘宝館というと、熱海嬉野別府鬼怒川のように、昭和の遺産的な性の娯楽施設というイメージが一般的だ。


一方、この八潮秘宝館は、アダルトな雰囲気でありながらも、露骨なエロ描写はこの全裸巨乳お姉さんくらいがMAXで、 どちらかと言えばフェチズムをくすぐるような内容が大半を占める。


天井近くに掲げられた「八潮秘宝館」の看板。


車椅子に乗った謎の少女。
その手に抱かれた全身包帯の赤ん坊など、どう見てもホラーアトラクションの演出である。
もっとも、薄暗い中で仕掛けが動く秘宝館という施設自体が、基本的にお化け屋敷っぽい雰囲気が漂っている訳で、 こうした意味不明なドキドキ感も魅力だったりすると思う。


看護部隊の指揮官と思しき軍人っぽい女性。
ここの独自の世界観を狭い空間に凝縮したインスタレーションアート的な見せ方は、 たまに行われる都築響一さんのイベント展示などの印象に近いかもしれない。


ゴロリと置かれるお姉さんの生首。
うっかりヤバい所に来てしまったという事を実感させられる。


部屋の一番奥では、謎の花嫁がショーケースに入れられていた。


不吉極まりないカラスの首吊り死骸。
図らずもアングル的に、兵頭さんの頭に掴みかかりそうな雰囲気になってしまった。


キョロキョロしながら2階へ。
ありがたい事に内部は写真撮り放題だった為、結果的にえらい枚数を撮影してしまい、兵頭さんから呆れられる程だった。


階段を上ると、再び目の前に広がる光景に圧倒された。
八潮秘宝館のメインスペースであり、「狂った楽園」とでも言うべき異空間である。


倫理的にギリギリ感が漂う、木馬に跨るレオタード少女。
ここは、兵頭さんの夢の世界を表現したものだという。


「犯罪」の二文字を思い起こさせる可憐なランドセル少女。
精巧な作り物と分かっていながらも、 この無垢な瞳にジッと見つめられると、目覚めてしまいそうな危うさを感じる。


お姫様ベッドに横たわる女性。


元気に歩き回れず、心を閉ざしてしまったようなクララ的な雰囲気がそそる。


ラブドール以外にも昔ながらのマネキン人形もあった。
もし彼女達が生身の人間だったなら、昭和VS平成のギスギスした人間関係になっていたかもしれない。


妖しく艶やかに乱れ咲く少女達。
男子禁制の秘密の花園を覗いてしまったかの様な、いけない気持ちにさせられる。


ベッドの上には可愛くない赤ん坊も転がっており、オカルティックなオーラを放つ。


奥にはさらに4畳ほどの部屋があり、 兵頭さんが人形を見て悦に浸る為のソファーが置かれている他、さらにもう1体の女性が座っていた。


アンニュイな表情を浮かべる美人女医。
一見すると素敵な保健室の様にも思えるが・・・


女医の手元には無造作に胎児が置かれ、やっぱり危ない雰囲気。


窓際ではカメラをぶら下げた人体模型がこちらをジッと見つめ、カオス度を盛り上げていた。


意味ありげに立てかけられた義足。


棚の上などのサブスペースにも、見逃すには惜しい小ネタ的な展示物がたくさん。
最近では、兵頭さんの知り合いや噂を聞きつけた人から、処分に困ったモノなどが色々提供されてくるらしく、 ちょっとしたリサイクルセンターの様な立ち位置にもなっているという。


振り向くと、先程は無かったはずの古びた人形がベッドの上にあってギョッとした。
確認したところ、別の訪問者による持ち込みのマイドールだった。
限定公開という事で、各地から選りすぐりの物好きが集まるらしく、初日には北海道からわざわざ駆けつけた人もいたらしい。


居間を挟んだ反対側は兵頭さんの私室。


所狭しと大量の玩具コレクションなどが並べられ、 オタク部屋というよりは、さながら○○先生の仕事場再現みたいな博物館のコーナーのような印象を受けた。


秘宝館のお約束である陰部神社もタンスの上に鎮座。
大魔羅大明神が祀られていた。


兵頭さん(後方の人)がこうした創作活動を始めたきっかけは、 今から15年程前に空き地でマネキンを拾った事が始まりだという。
その美しい姿に惚れ込んだ彼は、以来“彼女”を全国に連れまわして、写真撮影をするようになったそうだ。


そしてその後は、自然の流れでオリエント工業のシリコン製リアルラブドールに到達し、現在では12体の女性達を所有しているらしい。


兵頭さんのお気に入りだという、 木馬のロリ娘をお尻ごしに眺めるアングル。あまりの背徳感から画がブレた。


こうして少し引いたアングルで見ると、 隣の部屋は中央にコタツが置かれ、見事に生活感溢れる普通の空間だ。
まるでSF映画みたいに、敷居を境にして別次元の空間と繋がっているように思えてくる。


以前は東京右半分にある葛飾区のアパートで、同様のドール部屋を展開していたそうだが、2014年にお隣の八潮市に一戸建て中古物件を数百万円で購入。
東京と埼玉の境にある八潮市の隅っこに位置し、周辺を川で囲まれた陸の孤島のような立地が気に入ったのだという。


特殊看護部隊が増えてると思ったら、 さっきのマイドールの人が白衣姿で撮影してた。


しかし世の中、色々な活動をしている人がいるようだ。
(※ご本人に撮影許可を得ています)


ドールの衣装や部屋の内装は日々変更が加えられているそうだ。
1時間余りの滞在の最後に、月並みな質問と思いながらも我慢できず、兵頭さんに「これからも自宅のアップデートを続ける予定ですか?」と尋ねてみたところ、笑顔で「もちろん!」と力強く答えてくださったのが、何だかとても印象的だった。
ちなみに、八潮秘宝館の一般公開は今後も不定期に行う予定だそうで、 どんな風に進化を遂げていくのか気になる人は、兵頭さんのブログを要チェックである。

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