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[2020.02.18]

全興寺
〜閻魔大王が命の尊さを説く地獄堂〜


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大阪府大阪市の下町、平野の商店街に位置する「全興寺(せんこうじ)」は、境内に“地獄堂”なる独自の施設を備えた寺院(※1)である。
薄暗い地獄堂(※2)内は、いかにも仕掛けがありそうな賽銭箱の上に閻魔大王が鎮座する他、 赤鬼や奪衣婆の像などが置かれ、お化け屋敷とゲームコーナーが混じったような雰囲気。

備え付けのドラを叩くと、閻魔様がガチなトーンで喋りだし、横の鏡におどろおどろしい地獄絵図が映るシステムとなっている。
最後は地獄の長が自ら、「こんな所に行かぬよう、悪い事をせず、自分の命を大切に」と諭してくれる、実に道徳教育的な場所なのだが、恐怖のあまり途中で泣いて逃げ出す子供も多い模様。

1989年、中高生のいじめや自殺が大きな社会問題となっていた事を受け、住職・川口良仁氏がこの地獄堂を設立した。
近所の高齢女性から聞いた、「親に昔“悪い事をしたら地獄へ落ちる”と言われて育ったおかげで、悪い事をする気になれなくなった」という話をヒントに、江戸時代の古いお堂を改装したらしい(※3)。

境内には他にも、石仏に囲まれた地下空間「ほとけのくに」(※4)や、レトログッズの展示がある「小さな駄菓子屋さんの博物館」(※5)、「地獄の釜の音が聞こえる石穴」などの見所があり、ちょっとしたテーマパークの様相を呈している。
下町の優しさが生んだ、恐ろしくておもろい寺なのである(※6)。

※1:寺の起源は、飛鳥時代に聖徳太子が仏堂を建て、薬師如来像を安置した事による。
その後、周囲に人が住み始め、平野の町を形成していった。

※2:入口の壁には「地獄度・極楽度チェック」なる占いマシーンがあり、 日頃の行いに関する10の質問(2択)に答えると、地獄行きor極楽行きかの判定がなされる。

※3:以前は入ると自動ドアが締め切られる仕様だったそうだ。
しかし、恐怖で非常ベルを押す人が続出した為、現在はドアが開けっ放しに。

※4:四国八十八箇所霊場の砂を納めた手すり付きの階段を下りると、151体の石仏に囲まれた部屋の中心に曼荼羅のステンドグラスがあり、 そこに座って瞑想を行う事が出来る。

※5:住職が小さい頃(昭和20〜30年頃)に集めた、駄菓子の箱や包装紙、玩具など数百点のコレクションが展示されており、1993年に蔵を改修してオープンした。

※6:訪れた時は人懐っこい黒猫がいて、まるで境内を案内してくれているかのようだった。
ちょうど帰りがけに、散歩中の地元民と思しき老人2人が、「あんな地獄なんか子供騙しの嘘っぱちやろw」と、 色々と台無しな事を言っていたものの、そうしたざっくばらんな感じで親しまれている様子もまた、下町の寺ならではの良さに思えた。


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