> 魔界冒険記 > 魔界地図 -WONDER WORLD- > Article


[2020.01.19]

辻川山公園
~妖怪が増殖する柳田國男の出身地~



  • このエントリーをはてなブックマークに追加

兵庫県福崎町は民俗学者・柳田國男の出身地であり、 彼の著作で語られた妖怪のオブジェが、町興しで周辺に多数設置されている。


その中でも特に力が入っているのが、柳田の生家(※1)が建つ「辻川山公園」だ。

※1:元々あった少し離れた場所から移築されてきたらしい。


1875年(明治8年)、柳田は医者の息子として生まれ、後に「自らの民俗学の原点」と評したこの家で、幼少期を過ごしたという。


そんな民俗学的な同地では、機械仕掛けの妖怪たちが定時になると作動し、衝撃的な姿で人々の前に現れる。


園内にある一見普通の池を眺めていると、突如として水面がブクブク泡立ち、中から河童の河次郎(ガジロウ)が出現するのだ。




そのビジュアルたるや、まるで家族連れに媚びたような可愛さは無く、小さな子供が泣き出しそうなグロい造形である(※2)。

※2:9~17時の毎時0分・15分・30分・45分になると現れる。
体表のヌメヌメ感がリアルで不気味さを増長していたが、定期的に清掃されているからか、 その後はだいぶ綺麗になり、本来の肌の色である茶褐色がよく分かる状態になった模様。


また、地上3mに作られた怪しい小屋からは、逆さ天狗が勢いよく飛び出し、滑車で坂の上を行ったり来たりする。


逆さ故に天狗の顔が分かりづらく、何故かどら焼きを持っている(※3)など若干玄人向けだが、 大掛かりな演出のクオリティー及び投入予算はなかなかのものだろう。

※3:大好物の“もちむぎどら焼き”(福崎町の特産品)らしい。
9時5分~17時5分の毎時5分・20分・35分・50分に現れる。


2016年の撮影時は、池のほとりには河童の河太郎(ガタロウ)と天狗の彫像が設置されていた。


これらは、 町が主催した「全国妖怪造形コンテスト」の一般の部・最優秀作品らしい。


河太郎と河次郎は兄弟河童という設定で、柳田國男の著書『故郷七十年』に出てくる駒ヶ岩の河童(ガタロ)がモチーフ。


それぞれ尻子玉もちゃんと持っており、売店では「かっぱサイダー」なる怪しい液体などでも商品展開されている。


高さ3mに及ぶ「天狗の森の妖翁」。
一般人が作ったにしてはクオリティーが高過ぎるが、どうやら『るろうに剣心』などの有名映画に携わる小道具担当の方による造形だそう。


なお余談だが、たまたま撮影時はずっと後方で、 何故か老人が天狗と似たポーズで座っていたので、妙に面白かった。


その後は妖怪が増え、鵺や砂かけ婆、山の神、ヤマバヤシの彫像の他、池に子河童2体も追加されたようだ。


また、最近では福崎駅前にガジロウが出現する水槽が設置されたとの事。


スペースの都合上、公園内の増設は一段落のようだが、少しずつ進化を続けるこの“妖怪タウン”に今後も注目したい。


■関連記事
新魔界大冒険:破③~カッパ・クライシス~
遠野郷フシギ紀行①~あの災害から幾年月、思い出のカッパ淵再訪~

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ人は、多分こんな記事も読んでいます。

Back number

Maps

Archives

News Headline

ページのトップへ戻る
inserted by FC2 system