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[2021.06.06]

如意輪寺
~大量のカエル像で埋め尽くされた古刹~



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梅雨の象徴的存在の一つであるカエルだが、福岡県小郡市の住宅街にある「如意輪寺」(※1)は、通称“かえる寺”として知られている。

※1:正式名は「横隈観音 清影山 如意輪寺」。
同市では一番古い真言宗の寺院で、奈良時代の最盛期にあたる天平元年(729年)に行基が開寺した。






九州八十八ヶ所百八霊場の3番札所であり、奈良時代に創建の由緒ある寺の境内には、現在約1万体ものカエル像がゲロゲロ・・・いや、ゴロゴロ設置されており、 多くの参拝者を驚かせているのだ。


この寺は元々、別にカエルと縁がある訳ではなかった。


しかしある日、住職が中国旅行の際に骨董屋で見つけた小さな翡翠のカエル像を気に入り、「無事“帰る”」と願いを込めて購入(※2)。

※2:この1990年代当時は、京都にいた住職が実家の如意輪寺を継いだ時期であった為、気持ちを新たに“変える”という意識もあったとか。


それ以来、住職のコレクター魂が覚醒したのか、カエルは見る見る増殖し、いつしか寺を埋め尽くす程に景観を“変える”事となった。




黄金色のカエル顔が口を開けた「くぐりがえる」は、公園遊具の如く口の穴を潜る事で「元気がかえる・悪い事かえる・若がえる」とされている。








リアルなものからキャラクター風の造形まで、大小様々なカエルの石仏やオブジェが立ち並び、まるでテーマパークのような雰囲気。


だが、一番の見所は本殿の奥にある。


ちなみに、 本尊の「木造如意輪観音立像」(県の指定有形文化財)は、12年に一度開帳される秘仏なのだが、 通常は坐像である観音様としては非常に珍しい立像となっている(※3)。

※3:その理由は定かではないが、本田不二雄・著『ミステリーな仏像』では、 住職が「即、衆生を救いに行ける姿だ」という見解を示している。次回その姿を拝めるのは2025年らしい。


千体仏が安置された胎内巡りを抜けた先が、「かえる部屋」になっているのだ。










仏像に混じって、住職が世界各地から集めた珠玉のカエルグッズのコレクション(置物やぬいぐるみなど)が多数展示されている。


また、毎年6月6日の「かえる記念日」(※4)には、 如意輪寺で法要法話、かえるの舞い(※5)、かえる音頭、インド古典舞踊、くじ引き大会などのイベントが催され、大いに盛り上がるようだ。

※4:かえるの鳴き声「けろ(6)けろ(6)」の語呂合わせから、「かえるの友の会」の会員である作家の矢島さらが1998年に提唱。

※5:獅子舞のようなかえる舞が口をパクパクさせながら、金棒を持った鬼の前で踊って邪気を払うという独特なもの。
2016年の熊本地震をきっかけに、「辛い事を幸せに“変える”」という思いから作られたという。
なお、新型コロナウイルス感染拡大防止の為、残念ながら今年はイベント自体が中止となった。




ところで、中国では古くよりカエルは仙人の使いと見做され、 腰が低く常に前へ飛び跳ね、目的を達成するとされる存在らしい。






広大な境内を一巡すれば、所々にある住職の励ましの言葉(石碑)に癒され、生命力に溢れたカエルパワーが得られるかもしれない。


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