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[2021.02.18]

はにわの西浦
~石材ストリートの埴輪専門店~



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古墳時代に儀式や魔除けの為に作られた“埴輪”は、基本的に古墳周辺か博物館、または公園などに置かれているイメージが強い。
しかし、多分それらの場所よりも埴輪の密度が高く、しかも、現在進行形で生産を行っているという謎の施設が、茨城県桜川市にある。


筑波山麓に位置する同市の真壁町は、良質な花崗岩の産地(※1)で、県道沿いに石材店が並び、墓石や石像などが林立している。
そんな“石材ストリート”で異彩を放ち、赤茶色の埴輪の大群が突如出現する場所が、世にも珍しい埴輪専門店「はにわの西浦」である。

※1:この一帯は、常陸三山(筑波山・加波山・足尾山)から生成された約6000万年前の花崗岩が採れ、 日本石材三大産地ともいわれる程、石材加工業が盛ん。
特に墓石生産量は日本一を誇り、東日本の大半が真壁産の「真壁石」で作られている。










古い校舎風の木造2階建て(※2)の店内外には、至る所に大小の埴輪がズラッと陳列され、カオスかつノスタルジックな雰囲気。

※2:植物で外壁の看板が覆い隠され、フラッと立ち寄って良い場所なのか分かりづらいが、 1960年代から「西浦製陶」として営業を始めた老舗らしい。










1000体以上もある故にここだけでは収まりきらず、少し離れた駐車場にもギッシリ並び、もはや古代遺跡の様相を呈している。








モチーフは実に様々で、『学校の怪談』(※3)を思い出す“踊る埴輪”(※4)を筆頭に、 武人や農夫、土偶、馬などの動物の他・・・

※3:トイレの花子さん、テケテケといった“学校の怪談”を題材とした小説シリーズで、それを原作とした複数の実写映画化やアニメ化もなされている。
作中では怪異の原因として埴輪(通称・ハニ太郎とも)も登場する。

※4:デフォルメ顔で踊るようなポーズを取った、一般的によく知られる人物埴輪の俗称。
サイズは8cm程から最大3m近いものまであり、思わず圧倒される。




河童、貧乏神の他、オリジナル像も散見され、意外と自由な作風。
また、壺、花瓶、傘立て、郵便ポストなどの実用品も目立つ。


これらはご主人・山中誠氏の手作りで、全て購入可能。
焼き上がりの色味や造形、表情はどれも微妙に異なり、一点物しかない。


元々は植木鉢屋だったそうだが、近くの畑で赤土が採れる事がきっかけとなり、父親の代から埴輪作りが生業になったという。










少し怪しいが、愛嬌と温かみある埴輪の数々に心癒される空間だ(※5)。

※5: 店には工房が併設されており、埴輪作り体験も可能らしい(現在は不明)。


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