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[2021.05.22]

能勢の高燈籠
~電動台車が走る正浄遺伝子組替祈願霊場~



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大阪府の北端にある能勢町は、時に“大阪のチベット”と呼ばれる自然豊かな山里だが、 その外れには巨大な燈籠が聳え立っている。


いや、正確には燈籠型の仏塔で、名を「能勢の高燈籠」という。


ここは「要会」という宗教法人が1997年に建てた施設で、入口には「正浄遺伝子組替祈願霊場」なる仰々しい看板が設置されている。


塔内は6層に分かれ、DNAと同じ螺旋状の緩やかなスロープを右回りで上る事で、参拝者は清められ功徳を積むという構造。






中央の吹き抜け周辺には、33体の観音像と約700体の博多人形などがズラッと並び、何やら賑やかで雅な印象。




日本各地の霊場・寺院の写真や模型も設置されている。
同じく螺旋構造で知られる栄螺堂の如く、塔内を巡る事でその御利益にもあやかろうという事なのだろうか。


しかし、その階段状の台座(金の襖の中)は信者の墓所だというから、ギャップが凄い。


壁面には水晶板が用いられているが、これはお経に記された仏の浄土を再現したもの。
また、その神秘的な力によって各家の先祖や参拝者の安泰を祈念しているという。
それを推すように、門の掲示板には「ピラミッド(塔)パワー(神力)」という文字も記されている。




そして、厳かに流れる読経BGMに混じり、絶えずヴィーンと異音を鳴り響かせているのが、ここの名物の“自動巡拝往復装置”である。




壁沿いの線路上を回転寿司の如く、位牌やお札、蝋燭を乗せた“施灯台車”(電動の小型トロッコ)が走り、坂を昇り降りしているのだ。






中には人形が乗ってたり、機関車の模型もあり、なんともシュール。




これは先祖供養や願掛けの為、参拝者の代わりに1~6階を自動で巡拝するというシステム。まるで大掛かりなマニ車(※1)だ。

※1:チベット仏教で用いられる円筒状の仏具。
表面や内部にマントラ(お経)が刻印され、手で回転させた数だけ、唱えるのと同じ功徳が得られるとされる。




参拝者が故人の名を位牌に、願いをお札に手書きする。
特に「三界万霊御供養」は1回1万円のお布施が必要な上級コースで、塔内を1日中巡拝し続けるらしい。






1往復につき奉納金1000円だが、置かれた奉納者名の回数表示が上に行く程増え、 最上階では1000回達成の猛者達も。
台車は最上階に到達するとUターンし、下の階に戻っていく。




最上階の6階には戦没者霊位が祀られているが、 その前には何故か、お茶運び人形と阿波踊り人形が回転寿司マシンに乗っている。


また、帰りはここの扉から外に出て、周辺の景色を見渡しながら、建物側面部のスロープで下まで降りられる造りになっている。


台車に思いを乗せて塔内を延々回れば、あなたの魂も浄化され、生まれ変われるかもしれない。


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