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昨年末より、東京・上野公園にある「旧博物館動物園駅」の一部が一般公開され、
記念のインスタレーション作品『アナウサギを追いかけて』が展示されている。
長年閉鎖されていた廃駅が拝めるだけでも十分価値アリだが、
その内部をアート空間として演出するという興味深い試みは、鉄道好き以外からも多くの注目を集めているようだ。
“余計なもの”が好きな当サイトとしてもスルーできず、ちょっくら覗いてきました。
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噂の旧博物館動物園駅の入口は、
上野公園の一画である東京国立博物館の片隅に位置し、T字路沿いにポツンとある。
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こうして見ると、プチ国会議事堂みたいな重厚な佇まいで歴史を感じさせるが、
むしろ建築時期はこっちの方が古いらしい。
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皇室用地だった東京帝室博物館(現・東京国立博物館)の敷地内に建設された事から、ロイヤル感のある荘厳な西洋様式の外観となったようだ。
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博物館動物園駅は、かつて上野駅と日暮里駅の間にあった京成電鉄の地下駅。
戦前の1933年に開業し、東京帝室博物館や恩賜上野動物園の最寄りとして長年親しまれたが、
利用客の減少と駅構内の老朽化などの理由から、1997年に営業休止となった(2004年に廃止)。
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入口付近には、既に順番待ちの行列や撮影者の人だかりが出来ていた。内部は入れ替え制で、一度に入れるのは30名まで。
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一般公開の為に新たに作られたらしい扉のすぐ先には、明らかに異質なモフモフしたものが見えた。
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整理券を渡して内部に入ると、その物体の正体が判明。 そう、巨大なウサギである。
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今回の一般公開は、上野のリサーチを基にアーティスト達が作り上げた、物語の世界観で空間が構成されている。
この出オチっぽいオブジェ(高さ4m)にしても、建設に苦労した地下駅という背景にインスピレーションを受けて、
地中に巣穴を掘る“アナウサギ”の姿を表現したらしい。
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どう見ても、既に死んでいるようですが。
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足のつま先もピーン。
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さあ、いざ階段を下りて、幻の駅の内部へ。
過去にも何度かイベントなどで活用された事があるようだが、こうした正式な一般公開は初めてだという。
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窓の鉄板の錆び付き具合が、時の流れを感じさせる。 改修工事が行われた2018年には、
鉄道施設として初めて、景観上重要な歴史的価値を持つという事で、「東京都選定歴史建造物」に選ばれている。
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壁面の所々にある落書き。
駅の休止前に利用客が書いた、別れを惜しむメッセージなどだ。
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建物外観の汚れは洗浄されたものの、
こうした内部の落書きなどは、あえて営業当時の面影として消さなかったそうだ。
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階段中央のプロジェクターからは、エモいBGMとともに営業当時の駅の写真が次々スライドショーで映し出されていた。
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階段の下から入口の方を見上げたアングル。
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左手の奥には、少し気になるインスタレーションがあった。
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「失われたものの再生」について書かれた本が閲覧出来るスペース。
正直よく分からないが、キノコとか生えてていかにも地下っぽい感じの演出ではある。
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こちらは何かが閉じられた跡のようだが、切符売り場の窓口だったのだろうか。
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「いつか絶対に駅を再び開けて下さい」。
期間限定ではあるが、駅の閉鎖から21年の時を経て、この願いはようやく叶えられたようだ。
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おや、とても独特な人がいるぞ。
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「トップハム・ハット卿かな?」とか思いつつジロジロ見てたら、紳士が急に「これは何の骨だと思いますか?」とクイズを出してきた。
なんとなく、答えを間違えたらエグいペナルティが発生する、デスゲーム的なシチュエーションを思い出す。
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パッと見でクマっぽい事は分かったが、少し考えた末、上野という土地柄と台座素材の配色から、“パンダの骨”という答えに辿り着いた。
どうやら、かつて上野動物園で飼育されていたメスのジャイアントパンダ「ホアンホアン」の頭蓋骨(実物)らしい。
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答えを告げると、「ほっほっほっ、素晴らしい。あなたは良い目をお持ちのようだ」と語ったこの紳士は、
何を隠そう、本展示の技術協力を行った国立科学博物館の支援研究員・森健人さんであった。
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ホアンホアンは、この駅が営業休止となった同じ1997年に死亡した事もあり、
その骨格が普段展示されている国立科学博物館から特別に持ってこられたようだ。
すぐ近くには、森さんが3Dプリンターで作ったレプリカもあった。
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ホアンホアンのケースを取り囲むように、
他にも様々な動物の骨格標本が、それぞれの動物を示す毛皮付きの台座で展示されていた。
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なんとなく儀式めいた雰囲気だが、これらはレプリカなのでお触り自由だった。
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人間の頭蓋骨まで。
トイレのピクトグラムが、何だかアカデミックな感じに見えてくる。
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よく見ると、動物台座の背後には糞があり、ちゃんと動物ごとの形状やサイズ感までリアルに再現されていた。
作り物とはいえ、お食事中の方どうもすみません。
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ホームへと続く階段の手前は、ガラス扉で仕切られていた。
安全上の理由から、今回のイベントで入れるのはここまでという事らしい。
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それでも一応、ガラス越しの正面にはかつての切符売り場と改札などが見える。
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ホームはこの改札のすぐ先にある。
ガラス扉の向こう側の空間は、20世紀から時が止まったままになっていた。
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ガラス扉には、壁の落書きのオマージュとして、見学者が白ペンで自由にメッセージを書き込めるようになっていた。
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マナー広告にも、よく見ると同駅への愛に満ちた落書きがあった。
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「また会えることを願って」。
現時点では未定ながら、今後も旧博物館動物園駅は、地域の魅力に繋がる活用方法が検討されているようだ。
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以下、営業当時の駅の様子。
1997年3月時点の地上入口の建物はこんな感じだったようだ。
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同じく休止直前の改札口付近の様子。
切符売り場に自動販売機はなく、駅員による手売りだったようだ。
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同じく休止直前の駅のホームの様子。
ホームが短く、4両編成の電車しか停車出来なかった事も、廃止となった理由の一つだという。
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通路に描かれたペンギンの絵。
すぐ近くにある東京芸術大学の学生が描いたとされ、駅のアイコン的存在だったようだ。
よく見ると「こち亀95」という落書きがあるが、
『こちら葛飾区亀有公園前派出所』95巻にこの駅にまつわるエピソードが収録されており、このペンギンの絵なども忠実に描かれている。
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旧博物館動物園駅の一般公開は、
2018年11月23日から2019年2月24日まで、週末の金・土・日曜限定で見学する事が出来る。
ただし、入場整理券は午前中で無くなる事が多いので要注意。
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