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[2019.12.15]

フンデルトヴァッサー・ハウス
〜自然を愛した天才芸術家の奇想建築〜


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オーストリアの首都ウィーンの街なかに、緑の木々が生い茂った外観の、明らかに異彩を放つ建物が聳えている。
芸術家のフリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサーが創造した、その名も「フンデルトヴァッサー・ハウス」である。

まるでテーマパークのような奇抜な見た目だが、居住者がいる歴とした集合住宅で、同国の文化遺産にも指定されている。
建物は至る所に植物が植えられ、土と草で覆われた屋根(空中庭園)やベランダ、グネグネ波打つカラフルな壁と床など、全体的に遊び心溢れる雰囲気ながら、不思議と周囲の景観にも馴染んでいる。

自然を愛したフンデルトヴァッサーは、都市部のビルのような画一的で無機質な直線を排除し、 植物のように成長する命の象徴たる曲線を多用した、独自の表現様式にこだわる人物だった(※1)。
1972年、彼がテレビ番組に出演した際、“植物と共に生きる家”の構想を語ると、それに共感した当時のウィーン市長が建設を依頼。
従来の建築理論の常識を外れた内容だった為、建築家との衝突など紆余曲折ありつつ、着工から3年後の1986年に完成した(※2)。

すると、「悪趣味」という一部の意見とは裏腹に入居希望者が殺到。
フンデルトヴァッサーは、「家そのものが植物と共に成長してほしい」という願いから、室内を自由に作り変える事も住人に認め、 思い描いた理想の建築を見事に実現させたのである。

※1:フンデルトヴァッサーは「百水」を意味する雅号で、本名はフリードリヒ・シュトーヴァッサー(1928年〜2000年)。 “ウィーンのガウディ”とも呼ばれた芸術家(画家・建築家)である。
「自然との調和」を目指した作風で知られ、絵画や建築の創作においては、自然界に存在しない直線の使用を嫌った。
そうした作家人生を歩んだきっかけは、彼が第二次大戦後、旅の途中アフリカの大地で伝統的な赤土の家を目にし、 自然と共に暮らす人々の姿に強く惹かれた事だったという。
ちなみに、巨匠・宮崎駿も彼のファンで、作品の世界観や三鷹の森ジブリ美術館の造りに影響を受けたとか。


※2:住人がいるので内部は見れないが、建物は住戸が53部屋、事務所4軒、テラス19ヶ所が設けられ、約250本の木が植えられている。カフェやグッズショップも併設。
建設中、施工職人は壁を平らで直角に作りがちだった為、フンデルトヴァッサーが夜な夜なハンマーで角ばった部分を壊す事もあったという。


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