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[2021.06.22]

観音聖地
~不気味な観音像が佇む謎の廃宗教施設~



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廃墟化した淡路島の巨大観音像(※1)の解体作業が始まった今日この頃だが、 同様の長年放置された神仏像は、恐らく各地にまだ多数存在し、時に“魔界”と呼ぶべき異空間を形成しているのだろう。

※1:兵庫県淡路島市の「世界平和大観音像」。台座を含む高さは100mに及ぶ。
1982年に淡路島の実業家・奥内豊吉氏によって、観光施設「豊清山平和観音寺」(1977年オープン)のシンボルとして建てられ、当時は世界最大の像として話題になった。
しかし、1988年に奥内氏が他界し、夫人が営業を続けるも2006年に他界した為、同年2月26日に閉館。 以降は長年放置され、“むち打ち観音”としてサブカル界隈に知られる存在に。
その後、2020年に国の所有となり、2021年6月14日についに解体工事(2年がかりで行う作業の準備)が開始された。


北海道石狩市の山中に位置する通称「観音聖地」もそんな場所だ。
詳細は不明だが、水子を供養する宗教施設の成れの果てともいわれ、地元の一部では心霊スポットとして認識されている模様。
ネットの掲示板には、肝試しに深夜訪れた若者の体験談が書かれており、 お経が聞こえたり、線香の臭いがしたといった話もある(※2)。

※2:古いログなので現在は見当たらないが、「行き方(場所)がよく思い出せない」という声も妙に散見されたのが、少し気になるところではある。
確かに、周辺には看板や目印などは無く、場所が結構分かりにくいのだが(夜間なら尚更)、 訪問者達が口々にそう証言する様子は、脳が記憶を拒絶したのか、 あるいは二度と行けない悪夢的異空間に迷い込んだかのようで、不気味な印象を抱かせる。


入口に架かる短い橋には、欄干に縛り付けられた奉納箱と・・・


車止め付近に何故か、ハイヒールサンダルとぬいぐるみがあった。
先客の忘れ物だろうが、呪詛的な儀式の跡みたいで、なんとなく気味が悪い。


それらを横目に荒れた坂を上ると、やがて木陰に奇妙な金色のシルエットが。


なんと、2体の“首無し観音像”だ。




人々から忘れられ、朽ち果てたその姿は、まさに諸行無常。




周辺の斜面には、他にも複数の観音像が点在。




いくつかは、台座の下に崩れ落ちていたり、木々の奥に隠されるように立っている為、総数は不明。




今回撮影出来た一部の像も、鬱蒼とした斜面を藪漕ぎして、ようやく目の前まで辿り着けた。






「妖怪は信仰を失い零落した神」という柳田国男の説もあるが、半壊や全壊した異形の闇堕ち状態で、逢魔が時の薄闇にひっそり像が佇む光景たるや、 モノノケの棲み家のような不気味さである。






頂上には、中央にやはり観音像が屹立し、鳥居や祠、燈籠がある。


頂上の像に関しては背後の支柱に固定され、他はともかく、これだけは倒壊させたくないという意思が感じられた。
縛り付けられた姿は危険過ぎて封印されたようでもあったが。






さらに、付近には独特な形状の墓標が並ぶが、 大半は倒壊しており、なんとも物悲しい雰囲気。


本来であれば、ミニ観音像がボトルキャップフィギュアの如く並ぶ墓標のようであったが、 ほとんどが見るも無残に倒壊し、像が残るものは極僅かな状態だった。まるで廃仏毀釈(※7)だ。

※7:明治元年(1868年)の神仏分離令をきっかけに起こった仏教弾圧運動で、 日本各地の多くの寺院や仏像、経文、仏具などが破壊された。
同行して頂いた小嶋独観氏(神社仏閣ライター)が、墓標を前にポツリともらしたワードだが、言い得て妙で印象的だった。






だが一方で、奥に新しい倉庫風の建物も。実に謎多き聖地である。





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