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[2019.12.28]

風雲文庫
~熱海の山奥に隠されたヒトラー博物館~



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静岡県熱海市の山上、急勾配の細い坂道を登り切ると、閑静な別荘地の奥に隠された異空間「風雲文庫」に辿り着く(※1)。

※1:位置的にはちょうど、定番・珍スポットの熱海秘宝館&熱海城が聳える山上から、さらにしばらく先に登っていく感じ。熱海駅付近からも山の稜線に聳える五重塔が見える。


この観光ガイドには載らない(案内板すらない)施設は、 よりにもよって独裁者“アドルフ・ヒトラー”の遺品などを展示する博物館なのだ。


鬱蒼とした雑木林の中の怪しい門を入り、半信半疑で獣道めいた庭を進んでいくと・・・




やがて前方の木々の合間から、奇妙なアーチ状の鐘楼がある建物と、何故か地面に置かれた釣鐘、そして各階にボスがいそうな五重塔などが姿を現す。


釣鐘は、まるでナチス製のベル型UFO「ディグロッケ」のようでもある。






よく見ると、草陰にも地蔵や小人などのオブジェがあり、侵入者を監視するかのようにこちらを向いていた。


明らかに下界とは異なる時が流れている。


建物前で掃除中だった老婆に挨拶し、入場料を支払うと、奥にある五重塔「風雲閣」に案内していただけた。




苔生した阿吽像が守る先に、聖域めいた遺跡の如く、その塔は聳え立っていた。


塔の正面には、ナチスのシンボルマークであるハーケンクロイツ(鉤十字)があり、 いよいよもって不穏な雰囲気が漂う。






老婆が明けてくれた鉄扉の入口周辺には、石仏や手水舎などがあり、 「戦時遺品!それは最良の教師である」と書かれた札が木の枝から吊るされていた。


残念ながら塔内は撮影禁止(※2)なので、肝心の展示物はお見せ出来ないが、各階に第二次世界大戦などの戦争遺品が大量に収蔵されている。

※2:1970年の開館当初は撮影可能だったが、ある時取材に訪れたテレビ局の関係者が、 「これは世間には公開しないほうが良い」といった反応を示した為、それを聞き入れた対応らしい。


主に防災頭巾やガスマスク、機関銃の薬莢、憲兵のマントや腕章などが並び、 硝煙を思わせるカビ臭さも相まって、生々しい迫力の空気感に満ちている。


そんなディープ過ぎる空間にクラクラしつつ辿り着いた最上階では、バルコニーから美しい熱海の360度パノラマビューを堪能できる。


続いて、鐘楼がある別棟「ヒーローの家」(※3)へ。

※3:内部では、割烹着姿の老婆がお客に桜湯をふるまい、質問や雑談にも快く応じてくれる。


地下に続く階段を降りると、ヒトラーの愛用品(※4)や絵画を始め、 スターリン、ムッソリーニ、フセイン、ナポレオンといった名立たる独裁者達の遺品コレクションが、 所狭しと無造作に並ぶ暗黒迷宮が広がっている。

※4:ヒトラーの軍服や帽子、最後の日まで執務したという机と椅子とキャビネット、『我が闘争』を執筆したというタイプライター、 愛人エヴァ・ブラウンのコートやオペラグラスなどなど、ここでは紹介し切れない程のお宝グッズの数々が並ぶ。


同館のシンボル像である“ワルキューレ”(※5)は、 北欧神話における戦の女神であり、戦場で死んだ者の中から英雄を選び、天上にある主神オーディンの宮殿「ヴァルハラ」に運ぶ存在。
つまりこの施設は、現代日本に再現された“戦死者の館”という事なのかもしれない。

※5:写真は同館のパンフレットより。
ちなみにワルキューレといえば、ヒトラーが好んだワーグナーの曲名や、1944年のヒトラー暗殺未遂事件の際に利用された作戦名でもある。


だが、一体何故こんな貴重な物が熱海にあるのか、そもそも本物なのか、ひたすら謎が謎を呼ぶが、その答えは今もよく分かっていない。


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