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徳島県小松島市の「立江寺」は、四国八十八ヶ所の第19番札所にして、とある恐ろしい伝説が残る古刹である。
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四国八十八ヶ所の根本道場で、「四国の総関所」や「阿波の関所寺」として知られる。
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邪心の持ち主や罪人が訪れると罰が下ったり、山門から先に進めなくなるとの言い伝えもある。
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天平19年(747年)に行基によって開かれ、弘仁6年(815年)に弘法大師が訪れた際、小さい本尊は失われる恐れがあるとして、自ら高さ1.9mの延命地蔵像を刻み、
本尊とした時から寺名は「立江寺」となった。
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境内の奥に鎮座する、「黒髪堂」なる少し変わった名前のお堂を覗くと・・・
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黒い髪の毛が巻きついた藁のようなものが奉納されている。
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このちょいグロ注意な代物は、“肉付き鐘の緒”という寺宝で、次のような身の毛もよだつ由来を持つ。
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その昔、大阪にお京(※1)という若い芸妓の娘がおり、要助という男と出会い結婚したものの、
夫婦生活が続くうちに彼女のワガママぶりが悪化。ついには鍛冶屋長蔵という愛人まで作ってしまう。
※1:お京は石見(島根県)浜田の桜屋銀兵衛の娘だった。 16歳で大阪新町に芸妓として売られた後、22歳の時に要助と結婚し、故郷に戻り夫婦生活を送った。
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要助はすぐに妻の不倫に気付き激昂するが、逆ギレしたお京は長蔵をそそのかして夫を殺した挙句、讃岐(香川県)の国へ逃亡。
当初は2人で心中するつもりが死に切れず、やがて四国巡礼の旅を始めると、享保3年(1718年)に立江寺へ辿り着く。
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そして地蔵尊を拝もうとしたところ、なんとお京の髪の毛が逆立ち、本堂前の鐘の緒に巻き付いたのである。
狼狽したお京は、住職にこれまでの行いを懺悔すると、彼女の髪の毛は頭皮ごと剥がれ、どうにか命は助かったという(※2)。
※2:その後、2人は改心して出家し、立江寺の近くに庵をむすび、一心に地蔵尊を念じて生涯を終えた。
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こうした伝説にまつわる遺物は、往々にして肩透かしな感じだったりするが、肉付き鐘の緒は残されたお京の毛量が予想以上に多く、なかなか衝撃的なジャパニーズホラーだった。
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