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ドイツのザクセン州にある古都バウツェンの森には、恐竜をモチーフにしたとあるレジャー施設が存在する。
一見、休暇を楽しむ人々で賑わう平和そうな公園なのだが、その奥地には、うっかり足を踏み入れた家族連れが子供の目を覆いたくなるような、
狂気じみた世界が広がっているという。
我々は一路、チェコから国境を跨ぎドイツへと向かった。
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まずは
プラハから国際特急ユーロシティに乗って、ドイツ東部の都市ドレスデンへ。
美しい車窓を眺めながら2時間かけて移動。
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ヒトラーの遺灰を流したとされるエルベ川じゃねーか。 |
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何故そんなネガティブにも程がある取り上げ方をするんですか・・・。 |
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あの人、南米か南極に雲隠れしたんじゃないっけ?(※逃亡説) |
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ドレスデン中央駅に到着後、ローカル列車のSバーンに乗り換え、
約1時間かけて50km程郊外へ向かう。
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こうして着いたバウツェン市街地の遠景。
チェコとポーランドの国境に近接し、『地球の歩き方』ではサラッと半ページ紹介されてるだけの小さな街だが、
その古く美しい街並みは、隠れた名所として観光客にも人気が高い。
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しかし、そんな街中はほぼスルーして、目的地に急いだにもかかわらず、バスを降りる場所を間違えた為、例の如く目的地まで1時間程歩く派目になった。
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誰のせいでいつも歩く羽目になってると思ってんですか・・・。 |
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ザウリアーパーク |
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のどかな田園風景の中ををしばらく歩くと、
遠くからもよく見える恐竜の大きなオブジェがあった。
間違いなく、今回の我々の目的地ザウリアーパーク(恐竜公園)だ。
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やっと着いた・・・。 ここに来る為だけにドイツに来た奴は、果たしてこの世界にどれだけいるんじゃろうな・・・? |
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何で一泊くらいしてかないのよドアホ!
なんちゅースケジュール立ててんのよ! |
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敷地内に入ると、広い駐車場を挟んだ先にエントランスがあった。
受付で入場料を支払うと、東洋人が来るのは珍しいらしく、スタッフのおばさんに妙に驚かれた。
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園内は予想以上に広大で、
中央広場の他、三畳紀、ジュラ紀、白亜紀といった時代ごとのエリアでざっくり構成されている。
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森の中の至る所を闊歩する原寸大の恐竜像。
犬の散歩がてら、太古の世界を体験できる科学アトラクションだ。
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なるほど、ドイツの科学は世界一ィィィという訳じゃな。 |
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こうした公園は日本にも似たようなものがあるが、
大小200頭以上にも及ぶインスタレーションアートが連なる規模感は、
なかなかそう味わう事は出来ないと思う。
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ビルくらいの高さのやつがあるとか大迫力じゃねーか。 |
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1978年、公園の裏に住むフランツ・グルースという彫刻家が、自宅の庭に恐竜像を作った。
その完成度の高さはたちまち近所の話題になり、やがて公園管理局が園内にも恐竜を制作して欲しいとグルースに依頼した。
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すると、眠れる獅子が目覚めたかの如く、グルースは制作に没頭。
あれよあれよという間に、公園はコンクリートの恐竜だらけとなった。
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こうしてドイツ最大の恐竜公園となった同地は、徐々に遊園地的なアトラクションも拡充していき、
2014年には年間22万人の来訪者を記録する人気の観光地となった。
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しかし1990年、入場料の分け前を巡り、グルースと公園側が揉める。
結局双方の折り合いはつかず、「それならもう知らん」とグルースは園内の恐竜作りを放棄して、
以後、自宅の庭でプライベートの創作活動に励む事となった。
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ちなみに、サクサク行かないと帰りの列車の予約時間に間に合わなくなるぞ。 |
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バス降り間違いのロスタイムさえ無きゃもうちょい余裕あっただろ馬鹿野郎。 |
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こうした大人の事情により、現在公園は表と裏の二面性を持つ状態になっている。
タイトル通りである表(一般向け)の恐竜公園を抜けると、
植え込みで仕切られたグルースの怪しい裏庭が広がっているのだ。
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小さな猿人が出迎える裏庭の入口。
恐竜時代の唐突な終了に戸惑うばかりだ。
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期待と不安を抱きながら小道を進むと、
まずは何故かアルパカの像があった。 早くも仕事から解き放たれた作者が、自由の翼を広げている事が察せられる。
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まさか弱肉強食のロストワールドの先に、こんなモフモフした奴が待ち受けているとはな・・・! |
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もしや女子受けを狙って、急遽可愛い要素を盛り込んだんでしょうか・・・? |
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このサイトじゃあるまいし、そんな付け焼刃なマネしないでしょ。 |
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と言うか、よく見ると奥の小屋でくつろぐ本物の姿も。
グルース本人は2006年に他界したが、どうやら彼が生前に飼っていたアルパカらしい。
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まさか肉がビールに合うからとかじゃないでしょうね・・・。 |
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広々としたアルパカ牧場のフェンス内には、
原始人達が火をおこそうと奮闘していた。
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アルパカ肉のBBQパーティーでも開催するんですかね・・・。 |
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フェンス越しに毛深い生物達を眺めながら歩いているとと、前方に気の抜けた感じの大男が現れた。
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ところで、先程からムスッとした表情で引き返してくる家族連れを見かけるのですが、一体どうしたんでしょうか・・・。 |
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「こっちだ」とでも言わんばかりに、彼が指示する方に進んでいく。
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ふと、原っぱの方に目を戻すと、
ずっと奥の方に制作途中と思しきオブジェが設置されているのが見えた。
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野外プレイしとるがな。
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気を取り直して前進し続けると、
いよいよ本格的に哺乳類の時代が到来した。
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さっきのアレはほら、現代アート的な表現なだけで、ワシらが必要以上にエロく捉えてしまっただけなのかもしれんぞ・・・。 |
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そうですね、きっと我々の気のせいか見間違いですよね・・・。 |
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そうね、ちょっとたくさん歩いて疲れが出てるのかもね・・・。 |
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石や木などを使用して暮らす猿人達。 個体数も増え、だんだんと雰囲気が活気付いてきた。
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かと思えば、急に恐竜がぶり返したりと、よく分からない。
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表の方よりも多少
バイオレンス度が上がっている事もあり、作り込みは相当なものである。
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公園遊具にでもありそうな、癖の強い間抜けヅラの恐竜もいた。
・・・いや本当に恐竜なのだろうか。
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どさくさに紛れて、とうとう実在しないクリーチャーが登場。
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しれっとレプティリアン(ヒト型爬虫類)もいた。
どうやらグルースは、単なる恐竜マニアという訳でもなかったようだ。
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普段は人間に紛れて生活してるみたいですよ。 『月刊ムー』とかに書いてありました。 |
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あー、たまにそんな感じの人見かけるわよね。原宿とかで。 |
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裏庭の中央には、圧巻の一大ジオラマが広々と展開している。
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原始時代を最も象徴する光景であるマンモス狩り。
近年では、効率の悪さや発掘された骨の状況などから、実はほとんどマンモスが狙われる事はなかったとも言われているようだが(諸説あり)、
自らが持つ知恵と武器で巨大な得物を捕らえんとするその様子は、人類の台頭を強く印象付ける重要シーンである。
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古過ぎて最近の若い子は知らないですよ、YouTubeで検索しないと・・・! |
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なんで自宅の庭にこんなの作ったのかホント理解できないわ・・・。 |
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さて、ここの片隅には、チェーンで不自然に遮られた一画があった。
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何もアナウンスが書かれてないのがかえって不気味ね。 |
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クロマニョン人の男女。
フリチン野郎の方は像の彫刻を持っている。
ラスコーの洞窟壁画で動物を描いたのもこの辺の人達らしい。
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人類の草創期という壮大なテーマのジオラマが徐々に進行していくのかと思いきや、
何の脈絡も無く巨大なハエとか置いてあるから困ったものである。
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ったく、油断できないったらありゃしないわね・・・。 |
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だんだんと男女がイチャイチャし始めた。
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さあ読者の皆さん、ブラウザを戻るのなら今のうちですよ? |
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さながら乱交パーティの如く、森で繰り広げられるリア充達の情事。
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思えば、よくドイツは日本と共通点が多い国として比較される。
戦後は焼け野原から奇跡的な経済復興を果たし、
国民性は勤勉で真面目、技術力があり医療や車産業が突出し、そして風俗店が多い事も特徴的だ。
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どうじゃい?これを見る為に遥々ドイツまで来た気分は? |
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ただドイツでは、性風俗産業の規制が日本より緩い為、性に対する意識が割とオープンらしい。
だからなのかは不明だが、こうした明らかにアダルトな要素であっても、
誰でも入れる自然公園の中にあっけらかんと設置してあるのかもしれない。
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ヨシオ、ドス黒い欲望が普通に口に出ちゃってるわよ。 |
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グルースの心の闇が、ここぞとばかりに本領を発揮している。
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ちょっとこのくだりをたくさん撮り過ぎじゃないですか? |
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でも多分ここが今回のハイライトだから、好事家どもにたっぷり見せないとな。 |
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仲睦まじい感じのブスなカップルもいた。
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と、少し油断したその時!
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チョメチョメする原始人が大量発生!
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ほのぼのとした空気と狂気が混在する奇妙な小道。
さり気なく閉鎖されるのも頷ける危険痴態・・・いや地帯である。
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わざわざヨーロッパまで来て、我々は一体何を見させられているのか、我々は一体何をしているのか・・・という感覚に改めて陥る。
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何だかとてもやるせない気持ちが込み上げてきてます・・・。 |
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ヨシオ、気持ちは分かるけどまだ負けたらダメよ・・・! |
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もはや箸休め程度の存在と化した恐竜も、引き続きちょいちょい設置されている。
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今にも飛び立ちそうなプテラノドン。
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小池でバトる首長竜とモササウルス。
こうして見るとちょっとした怪獣大戦争っぽい感じがする。
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人類の祖先でもある両生類、原始的四肢動物も完全再現。
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こんな殺伐とした場所で平然とボーッとしてるなんて、ヤバい奴ですよね・・・! |
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!!?
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ヤバい感じの奴らがソフトクリームを狙っているぞ。
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こんなのアイス食べても垂れ流しじゃないのよ・・・。 |
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洞窟の中で熊と対峙する原始人達。
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こちらはチームプレイで熊を仕留めようとする様子。
どうやら目標をキルポイントに誘導して不意打ちするのが、この時代の常套手段らしい。
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そんなドタバタの横には、創造主グルースの功績を称える案内板が掲げられていた。
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在りし日のフランツ・グルース。 恐竜を製作中の貴重なお姿である。
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でも、こうして見ると思ったよりはクリエイターって感じですね。 |
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もっとマッド・サイエンティストっぽいイメージだったわ。 |
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トイレの前にも惜しみなくトリケラトプス。
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そんなこんなで、裏庭の最深部に到達すると、
なんとアイス屋さんがのん気に店を構えているではあるまいか。
手前にあり過ぎて意味不明だったが、
どうやら先程のソフトクリームの置物は、ここを示唆していたようだ。
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辿り着けた者だけが味わえるご褒美みたいな感じね・・・。 |
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!!?
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見覚えのあるヒゲと恐竜がいた。
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まさか日本のスーパースターが、こんなドイツの片田舎の施設のオチになっているとはな・・・! |
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小さい女の子が例のBGMを口ずさみながら楽しげに跨る姿には、感動すら覚えましたね・・・。 |
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もう一台あったヤバい感じの恐竜ライド。
一般的に認知されている恐竜の色なんて適当らしいので、これくらいビビッドな奴が実際にいた可能性もあるが、とりあえず目がイッてるのが恐い。
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裏庭の最深部から見えるグルースの家。
現在も親族が暮らしているようで、手前にはいかにもなオブジェが見えた。
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『コナン・ザ・グレート』っぽい戦士VSドラゴンの像。
グルースの「本当は俺こういうの作りたかったんだよ」という具合の作家魂が解き放たれているように思う。
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散々恐竜だの猿だの見せといて、自宅の像は妙にカッコいいやんけ。 |
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アイス屋でソフトクリームを買ったら、やはり東洋人が来るのは珍しいとの事で、サービスでお菓子を頂きました。ダンケシェーン。
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生真面目なイメージでしたが、ドイツの方々は陽気で優しいですね。 |
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何でまた若干モヤッとする事言うのよ、素直に感謝しときなさいよ。 |
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裏庭もようやく折り返し地点。
行き止りの最深部から少し戻って、来た時とは別のルートを進む。
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再び木立の中、はじめ人間達のライフスタイルが立体絵巻で展開。
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1万年前頃まで南アメリカ大陸に生息していたメガテリウム。
全長6~8m、体重3tもあった巨大なナマケモノで、二本足で立ち上がって木の枝を前足で引き寄せ、長い舌で葉を食べていたという。
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そしてラストは、まさかの未知との遭遇。
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地上に降り立った宇宙人。 ライトセーバーのような武器を片手に、未開の惑星探査に訪れたといった感じである。
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スピルバーグも脱帽せざるを得ない劇的な展開じゃな・・・! |
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人類の進化を後押しする為に、知識や技術を伝えに来たのかしらね・・・。 |
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宇宙人の顔にも個人差があって芸が細かい。
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後方には別のグレイタイプの宇宙人。 あるいは、恐竜の絶滅や人類の繁栄といった地球の歴史も、全ては種を撒いた彼らによる、壮大な実験のシナリオ通りだったりするのだろうか。
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生命の物語を一巡し、そして我々は悟った。
少なくともグルースは、別に毒にも薬にもならない生ぬるい観光施設が作りたかった訳ではないのだと。
この惑星に起こった奇跡と進化の可能性について、ただ思うがままに、
純度の高い生々しさと共に、再現したかったのかもしれない。
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ドイツが誇る狂ったジュラシックパーク。
恐竜だらけの森に深入りし、まるで世界の秘密を覗いてしまったような満腹感に包まれながら、我々は同地を後にしたのだった。
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あれ、ドイツってUber(タクシー手配アプリ)使えねーのか。 |
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えっ、どーすんですか、バスもう無いみたいですよ!? |
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