|
|
|
|
|
戦国時代、織田信長が今川義元を討ち取った「桶狭間の戦い」。
最近の大河ドラマ『どうする家康』では、この戦が初回に描かれた事で話題となったが、
当時、今川家に仕えていた徳川家康にとっても大きな転機であった。
|
|
|
|
|
|
愛知県豊明市には、そんな桶狭間の古戦場跡が残されており、凄惨な歴史を今に伝えている。
|
|
|
|
|
|
ひっそりとした竹林の斜面には、今川義元の仏式の墓碑(供養塔)が。
彼の300回忌に建立されたものだという。
|
|
|
|
|
|
ところで家康は、狡猾さから後年「タヌキ親父」とも揶揄されたそうだが、
この古戦場がある街には、奇しくも“タヌキだらけの家”が存在するのだ。
|
|
|
|
|
|
噂のその家は、閑静な住宅街の中に紛れ、言わば“奇襲”(※1)の如く建っていた。
※1:「桶狭間の戦い」と言えば、兵数の劣る織田軍が奇襲によって今川軍を破った、というイメージが強い。
しかし近年の研究では、奇襲ではなく、正攻法で勝利を得たとする説が有力のようだ。
|
|
|
|
|
|
朝焼けに照らされた家の外観は、まさにカオス。
無数の何かがゴテゴテと取り付けられ、まるで要塞のような印象である。
|
|
|
|
|
|
ブロック塀に近づくと、信楽焼のタヌキを主としたオブジェが、溢れんばかりにズラッと並んでいた。
|
|
|
|
|
|
土地の歴史を反映しているのか、甲冑姿の狸武者の姿も。 さながら“令和狸合戦”といったところか。
|
|
|
|
|
|
タヌキが纏う衣装の他、パイプを利用した祠や棚など、所々に手作り要素も見受けられる。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
よく飲食店の入口に信楽焼の置物が佇んでいるように、「他を抜く」に通じるタヌキは、
江戸時代から商売繁盛などの縁起物として人気である。
しかしそれにしても、あまりにタヌキ愛が抜きん出た物件だ。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
この“変な家”は、その名も「世界唯一狸王国」。
飲食店などではなく、あくまで一般の民家である。
|
|
|
|
|
|
どうやら、家のご主人のタヌキ好きが高じまくり、自宅を大胆に改造してしまったようだ。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
今でこそすっかり名古屋のベッドタウンだが、ご主人がこの家を建てた50年前の頃は、周辺は畑だらけで、まだ僅かな住宅しかなかったそうだ。 当時タヌキが出ると言われたものの、ご主人は探しても出会えなかった為、
代わりに信楽焼のタヌキの置物を庭に飾ったのだとか。
|
|
|
|
|
|
すると、それを見た近所の小さな女の子が喜んだ為、以降ご主人はもっと子供らを笑顔にさせたいと、
約200体ものタヌキの置物を収集。
ついには王国となり、地元小学生の“待ち合わせスポット”や、ポケストップにまで変化(へんげ)したという。
|
|
|
|
|
|
こちらの信楽焼が「村長」らしいが、そんな事よりも、背後にいる影のフィクサーらしき存在が気になる。
|
|
|
|
|
|
鍋の中で「狸汁反対」と訴える自虐的なタヌキ。 オタマの角度に力強い反対の意思が感じられる。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
「たぬき食堂」に「狸美容院」など、独特な世界観が展開。
「宴会は300匹まで 余興はカエル合唱 皮算用銀行のカードが使えます」といった表記など、
ご主人のこだわりが伺える小ネタも点在している。
|
|
|
|
|
|
この密度が最も濃い中央部は、「たぬき村」が基本コンセプトらしい。
|
|
|
|
|
|
「催し案内 ドロブネの反省会 場所 カチカチ山」
タヌキが纏う甲冑なども、ご主人が1つ1つ段ボールで手作りしたものらしい。
|
|
|
|
|
|
「役所だより シガラキ焼どうしの結婚は血族結婚となり禁じます 村長」
同種はダメでも、タコとくっつくのは良いのだろうか。
|
|
|
|
|
|
色々とツッコミたくなる要素はあるが、一番衝撃的なのが、この「生きてた狸」であろう。
剥製らしき代物が壁に取り付けられ、なんともグロい状態に。
|
|
|
|
|
|
「狸クイズ? 風もないのに 歩けば ゆれるものは なあに」
もちろん、答えはキン(ry
|
|
|
|
|
|
|
|
|
生垣には、小ぶりのタヌキが実るように飾られ、“タヌ木”といった感じになっていた。
|
|
|
|
|
|
2階の北側には、鎧兜の鍬形に顔が付いた謎のオブジェが、象徴的な感じで陣取っていた。
表面に豆電球らしきものがあるので、夜はピカピカと光る仕様なのだろうか。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
「狸武者 発祥の里」という謎のアピールが記された看板。
余談だが、明治時代には“軍隊狸”なる都市伝説が巷で囁かれたそうだ。
人間に変身した狸が日露戦争に出征し、ロシア軍と戦って日本軍の勝利に貢献したというものだ。
桶狭間が近いので、狸武者もそんなイメージなのかもしれない。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
そして、やはり目を引くのが、東側に建つ謎のタワー。
先端近くには「狸」と記され、怪電波でも放っていそうな印象だ。
|
|
|
|
|
|
屋根付近にも「狸」の文字がある他、何故か龍や鳥のような生物の姿も。
「狸王国」だからと言って、タヌキだけに捉われない柔軟性が伺える。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
地域で長年愛されてきた狸王国だが、
2024年現在、建物の老朽化に伴うリフォーム工事中らしく、オブジェは一旦全て撤去されている模様。
今後は厳選したタヌキを配する事で、王国を存続させる予定だという。
|
|
|
■関連記事
・つるかめハウス~鶴と亀だらけの日本一めでたい家~
・川西カラクリ屋敷~老人が自宅に作ったヘンテコ装置~
・三浦鏝絵美術館~左官職人が描いた不思議な立体画~
・ヘンテコ・ロードサイダーズⅢ~路上のカオス&アートな物件5選~
・ももいろクレイジーZ~ピンクにまみれた芸術の桃源郷~
|