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[2009.04.23]

イタリア怪紀行⑤
~啓示の道(後編)~



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前回に引き続き、本記事はダン・ブラウン著作の小説『ダ・ヴィンチ・コード』のロバート・ラングドン・シリーズ第2弾『天使と悪魔』の核心に迫るネタバレ要素を数多く含みます。
その為、これから小説を読む予定の方や、2009年5月15日全世界公開予定の映画を観る予定の方は、興醒め回避の為、それらの事後にご覧頂く事を推奨致します。

悪魔の穴開くサンティの土の墓より
ローマに縦横に現る神秘の元素
死の道が敷かれ、聖なる試練あり
気高き探求に天使の導きあらん


早く“啓示の教会”に辿り着かないと、イルミナティに盗まれたCERN(欧州原子核研究機構)の反物質が大爆発すんぞ・・・!
バチカンがマジでぶっ飛ぶ5秒前じゃぞ・・・!

そりゃ小説の中の事件でしょうが・・・。
現実とフィクションをゴチャらせて語らないで下さいよ。
私もさすがに、いちいちリアクションするのが面倒なんですよ。

ったく、バカの相手させられる方の身にもなってほしいもんだわ。
疲れるったらありゃしない。慰謝料請求もんよ。

かあ~、ノリが悪いやっちゃのォ。
これじゃから世間体に縛られてる畑の住人はよォ。
もうちょいキャッチしてくれてもいいじゃろがボケッ!

魔球ばっか投げてると敬遠されますってばヨ。

それより、次の場所は何処なのよ!?
さっさと済ませて、イタ飯食べに行くわよ!
もちろん、アンタの奢りでね!

マンマミーア!?
・・・えーとなあ、次の科学の祭壇は、ムカつく顔の奴の息が伸びる方の直線上で、“火”に関するベルニーニの作品がある教会じゃ!




【Fire:火】

4本の主要な通りが交差する為、周囲を車が激しく行き交うバルベリーニ広場。
ベルニーニの時代には中央にオベリスクが立っていたが、近年、地下鉄工事の際に倒壊を懸念されて移動された。
現在は、ベルニーニの手がけた4頭のイルカが支える貝殻に海神トリトーネが乗っている「トリトーネの噴水」があり、広場のシンボルとなっている。
また、後方には、『天使と悪魔』の最後の舞台(?)である5つ星ホテル・ベルニーニがある。


サンタ・マリア・デッラ・ヴィットリア教会。
バルベリーニ広場から徒歩3分程の近所に位置するこの教会は、建築家カルロ・マデルノの指揮によって、1608~20年に建てられた。
当時、新旧のキリスト教徒の戦いの最中、カトリック教徒側がガラクタの中から聖母マリア像を発見し、それを持って戦いに臨んで勝利をおさめた事から、聖母を讃える教会が作られたとされる。
「ヴィットリア」は「ヴィクトリー」の意味。

お次はここの教会ですか。
我々が滞在してるホテルからも近いじゃないですか。

うむ、第三の科学の祭壇にして、拉致られた枢機卿の一人が火あぶりで焼き殺されるトコじゃ。

魔女狩りの時に、自分らの宗教が散々やってきた蛮行であの世逝きだなんて、皮肉なものね。

内部は、バロック美術の粋を凝縮した壮麗な空間が広がっている。

てゆーか、気づけば我々魔族なのに、普通に教会に足を踏み入れる様になっちゃってますが、いいんでしょうかね・・・?

んな事気にすんなや。
最近は天使も悪魔も縄張り争いとか、なあなあじゃから。
金融危機の波でカトリックも不況じゃから、教会に軽く寄付金でも払っときゃ誰も文句言ってこねえじゃろ。

所詮、あの世もこの世も金次第って訳ね。淡白な・・・。

この教会は小さいながら、左右それぞれに3つの礼拝堂があり、金色に輝く正面の祭壇も妙に魅力を放つ。

さては、あれが“火”に関する作品ですかね。
何かビッグバンしてる様に見受けられますが。
蝋燭も沢山ありますし。

いや、あんなん全然違う。もっとこう、天使がいてエロいやつじゃい。
家族団らんのお茶の間で放送したら若干気まずくなるよーな。

潔癖症の教会にそんなのある訳ないじゃん。
・・・って、もしかして、アレの事かしら?

左側の奥には、ヴェネツィアの枢機卿コルナーロの依頼でベルニーニが設計した聖テレサ礼拝堂がある。
そして、その礼拝堂の中央には、ベルニーニの代表作である「聖女テレサの法悦」が収められている。
仰向けの聖テレサが、爪先を丸めてオルガズムに悶える様子を表現しているポルノ的作品とも言われ、『天使と悪魔』では、神との一体感を味わった恍惚(エクスタシー)の表情が、製作当時は批判の対象にもなり、法王ウルバヌス8世のダメだしで、当初設置されていたバチカンから、ローマの端の方にあるこの教会へ移設されたとしている。
(しかし、実のところ、この作品は法王ウルバヌス8世の死後製作されたものであり、バチカンに置かれた事実も無いらしい)


16世紀、スペインはアヴィラのカルメル会修道院の尼僧であった聖テレサは、眠っている最中に、天使による至福の訪問(脱魂体験)があったと主張した。
彼女の日記には、「天使の偉大な黄金の槍(矢)が火炎に包まれ、幾度も私の中へ入っては心臓を刺し貫き、そのあまりの甘美さゆえに、果てなきを願わずにはいられない・・・」という内容が記されていたそうだ。
しかし、後の一部の批評家達は、聖テレサの体験は霊的というよりは性的だったのではないかと結論付けている。
先端に火を灯した天使の槍、情熱に燃え上がる女性、そして、天使の種類が熾天使(セラピム)なる本来“火の者”という意味の存在である事。“火”の科学の祭壇としては、確かにおあつらえむきな場所だ。

どう見てもセックスの隠喩です。本当にありがとうございました。

お楽しみやがってからに・・・。
こりゃ確かに賛否を招きそうな作品ですね。
まあ、思ったよりは全然エロくなかったですけど。

どんだけエロいのを想像してたのよ、このムッツリスケベ。

ぐはっ!?しまった、私とした事が墓穴を・・・!教会だけに。
うわっ、大魔王様が感染った・・・。(自己嫌悪)

えーと、次の科学の祭壇へ行くのも、ここの天使の導きに従えばいい訳なんじゃが・・・んん?

どしたのよ?

これはおかしい・・・。そんなはずは・・・!?

ええ、どうやら今日の私はおかしい様ですね・・・。
慣れない異国の地での旅疲れの所為でしょうか。
少し頭を冷やした方がいいのかもしれません。

ヨシオちょっとうっさい!何なのよ?

小説では、「天使の槍の矛先は西を指している」と書いてあるんじゃが、コレ北を指してね?

え?

は?

前述の通り、「聖女テレサの法悦」は教会左側の一番奥に位置しており、もし『天使と悪魔』に記されている通り、天使の持つ槍の矛先が西を指しているとするならば、これらの彫像は教会の“右側”に位置しているか、教会自体が丸々180度反転していなければならない。
しかし、実際にはどうひいき目に見ても、天使の槍の矛先は北を指しており、そっちはローマの郊外である。

なんてこったいって感じですね・・・。
ここに来て現実の壁が立ちはだかるとは・・・。

アハハ、作者のダン何とかに一杯食わされたわね。
印税目当てなんだから、多少は都合がいい様にアレンジもするわよ。

・・・まあ、アレじゃ。
細かい事ァいちいち気にせず、先に進もうぜッ!!
西に行くぞ、西に!

重要な設定が破綻したのに、あっさり開き直りましたね・・・。




【Water:水】

ナヴォーナ広場。
南北に細長いアリーナ状の形をしており、紀元1世紀のドミティアヌス帝が造らせた競技場が元になっている。
車が乗り入れないという事情もあり、土産物の露店や似顔絵描き、時には大道芸人が立ち、賑わいを見せている。


広場の中央にはベルニーニが1648~51年に手がけた「四大河の噴水」がある。
これは、ナイル、ガンジス、ドナウ、ラプラタの4つの大河を讃えている作品であり、それぞれの大河を表す彫像が、高さ17mのオベリスクを取り囲んでいる。

ローマ市内のベルニーニの作品で、水に関係する場所っつったらココじゃろ!奴の代表作じゃ!

何か移動する理屈が雑になってませんか?
教会ですら無いですし・・・。

ただの広場の噴水じゃん。
こんなのいくら見たって、コンビニにすら辿り着けないんじゃないの。

まあ、もともとローマは殆どコンビニ無さ気ですけどね。

ドやかましい!オベリスクがあるからいいんじゃい!
ここが第四の科学の祭壇なの!

でも、ここには今までアテにしていた天使の像がありませんよ。
大河を擬人化したマッチョなおっさん4人と、動物(馬、ライオン、蛇、アルマジロ)が少々置いてあるだけですが。

まさか、このセクハラなオヤジ共が天使だとでも言うんじゃないでしょうね・・・?だとしたら、そのセンスにゃ脱帽するわ。

・・・えーと、どうじゃったかなー?
“啓示の教会”を示す最後の道標は・・・。

広場の南側からオベリスクを望む。
1477年に法王シクストゥス4世が、ここに市場を移してから庶民の生活の中心地となったらしい。


オベリスクの先端には、オリーブの枝をくわえた鳩の彫刻が佇む。
実は、これは銅製の白鳩であり、一羽の白鳩というのは、異教では平和の天使の象徴なのである。

あっ、あそこの鳩って、生きてる奴かと思いきや、彫刻の一部なんですね。何たるフェイク。

あー、アレじゃ!あの鳩が天使代わりの道標じゃ!
オベリスクの先端っちゅー、気高き場所にいるアレが向いている方に“啓示の教会”があるんじゃ!

えっ、アレなの!?最終的に鳩頼みとはねえ・・・。

【Earth】サンタ・マリア・デル・ポポロ教会
【Air】サン・ピエトロ広場
【Fire】サンタ・マリア・デッラ・ヴィットリア教会
【Water】ナヴォーナ広場

4つの科学の祭壇がある位置を地図上で、向かい合う頂点同士を結んでいくと、この様になる。

“ローマに縦横に現わる神秘の元素(Cross Rome the mystic elements unfold)”――クロス・ローム・・・十字架。

そう、ローマ市内の中心地に巨大な十字架が現れるのだ。

どうじゃコレ!ゾックゾクするやろ!これぞ、イルミナティ・マジック!

あー、ホントですね。でっかい十字架になりますね。
・・・で、これが何か?

このバカチン!もっと驚けコラ!これだから最近の若い子は!

でもさ、これって何か意味あんの?
だって、目的地は鳩の向いてる方なんでしょ?
バッテンの中心地とは方角が全然違うし。

バッテンの中心地には別に何もねえよ。
十字の横線と鳩が向く方角が交わる部分に注目してみい。

ああ、何か☆型を半分にした様な感じの土地に、大きい建物がありますね。

って事は、ここがそうなのね!






サンタンジェロ城は、バチカンと目と鼻の先、テヴェレ川の右岸に屹立している城塞である。
ローマで最も有名な建物の一つであり、聖天使城、カステル・サンタンジェロ(Castel Sant'Angelo)とも呼ばれる。
135年に、ローマ帝国の皇帝ハドリアヌスが自らとその後継者たちの墓(霊廟)として建設を開始し、皇帝アントニヌス・ピウスが在位している139年に完成した。


かつては軍事施設としても使用され、14世紀からは法王達により要塞として強化され、またその頃から牢獄や法王の避難所として使用された。現在は武器博物館となっている。
城の正面にあるサンタンジェロ橋には、他ならぬベルニーニによる12体の天使の彫刻が城門へと導いている。


城の敷地は五芒星(ペンタグラム)の形で広がっている。
世界中で魔術の記号として用いられ、扱い方一つで守護に用いることもあれば、上下を逆向きにして悪魔の象徴(デビルスター)と呼ばれる事もある。
また、土・風(空気)・火・水の四大元素に霊(エーテル)を加えた5つのエレメントが、それぞれの頂点に対応されているという。


城の名の由来は、590年にローマでペストが大流行した際、時の法王グレゴリウス1世が、この城の頂上に、剣を鞘に収める大天使ミカエルの姿を目撃し、これがペスト流行の終焉を意味したという伝説にちなむそうだ。

とうとう“啓示の教会”に辿り着いたな・・・!

秘密の隠れ家がバチカンのこんな近所だったなんて、灯台下暗しにも程がありますよ。メガネ探してたら頭に乗せてたみたいな・・・。

最初からココに来れば良かったんじゃない?

ばッ!?お、お前、そりは違うぞ!
ソフトクリーム食う時だって、いきなりコーンの方からは食わないだろが!それとも何か?お前はコーン先行型のストレンジ・ガールか!?

わ、分かったわよ・・・。

城の頂上からローマを見下ろしているのは、1753年に設置された青銅製の大天使ミカエル像。
伝説通りの剣を鞘に収める姿が凛々しい。

シーツを纏った半裸にトランクス一丁たあ、さてはコイツ、寝起きだったんじゃね?ほら、急いで身支度してる様に見えね?

んな訳あっかい!天使のファッションは大体あんなもんですよ!

アンタこそ寝ぼけた事ばっか言ってんじゃないわよっ!ドアホ!

城の後方からは、パセット(小道)と呼ばれる回廊がバチカンへと続いている。
これは、約1.2kmの細長いもので、バチカンが包囲された時に、何人もの法王が脱出路として利用したそうだ。
ある法王は、人目を忍んで愛人と密会する為に利用したり、敵対者が拷問される様を見物したりする為に利用したとも言われる。


トコロデ、何故カ扉ガ閉マッテイルゾ・・・!?

あ、今日休みみたいですヨ。
ガイドブックに書いてありました。

何かもうバッキャロー!!!

まさか“啓示の教会”が月曜定休日だとはね・・・。

お宅は床屋さんかゴルァ――ッ!!!

心中お察ししますが、落ち着いて下さいよッ!
ほらっ、暴れないっ、叫ばないっ、睨まないっ!ドー、ドー!

そうよ、そうよ!そのうち何かいい事だってあるわよ!
道で小銭とか拾うわよ、きっと!

恋しさと切なさと心強さを胸に、城の左奥に見えるバチカンを望む。
スケジュールの都合により、この日以外に城に行くのは厳しく、入場を断念せざるを得なかった。
まあ、祭りは準備が一番楽しいってのと一緒で、“啓示の道”は辿り着くまでの過程が面白いのである・・・と己に言い聞かせて撤収するのも、大人の判断て奴だ。




仕方が無いので、最後にラングドン教授がもの凄い方法で訪れる事となる、ティベリーナ島にやって来ました。
この小島はテヴェレ川の中洲に位置しており、紀元前293年に、ギリシャ神話における医学の守護神エスクラピウスを祀る神殿が建てられた地で、1656年のローマのペスト流行で、罹患者の隔離場所となって以来、テヴェレ川の水を使って治療をすると病が治る等、神秘的な癒しの力があると信じられてきた。
今も16世紀から続く現役のファーテベネフラテッリ病院があり、療養の地として知られている。

神秘的な癒しの力とやらで、慢性の性病治してもらえこの野郎ッ!

八つ当たりで人を勝手に事実無根な病人に設定すんなッ!
自分こそ年中無休の水虫治してもらえやッ!

あー、もう、ガタガタうっさいわねえ!
いっそ仲良く川に落ちちゃいなさいよ、このダメ・シニョーレ共がッ!

島の南側には、紀元前2世紀に造られたという、ローマ最古の石橋「ポンテ・ロット(壊れた橋)」がギリギリその姿を残している。
石橋を渡る時はくれぐれも、こんなになるまで叩かない様に。


川の側面から見た島の外観。
島内には病院の他にも、教会や警察、ジェラート屋等が存在する。


天気のいい日はローマっ子が犬を散歩させたり、寝そべって日光浴したりしている、そんな憩いの場的スポットだ。

な、なんと、実はこの島こそ、イルミナティの真の隠れ家であったんじゃよ・・・!

無理して嘘ぶっこかないで下さいよ・・・。虚しいだけデス・・・。

もう分かったから早くイタ飯食べに行きましょうヨ!
パスタにするわよ、パスタに!

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