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[2016.12.03]

アメリカ聖地巡礼紀行②
~古き良きルート66の町セリグマン~



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アメリカ・アリゾナ州にあるセリグマンは、古き良き時代の空気が残るルート66の小さな田舎町だ。
近年はアニメ映画『カーズ』に登場する町のモデル(即ち聖地)になった事で注目を集め、 多くの人々が訪れている。
しかし、そんな一般人向けの有名観光地である一方、町のあちこちには奇妙なオブジェが散見され、 何気に珍スポット的な要素も兼ね備えている魅力的な場所なのである。


セリグマン


アメリカの東西を横断する全長3755kmの一本道“ルート66”。
1926年の創設以降は主要道路として使用され、人々の生活や産業の発展に大きく貢献した。

ネバダ州とアリゾナ州で時差1時間あるのかよ!聞いてねえぞ!

10時のはずが急に時計が11時になって、1時間ロスした気分ですな・・・。

同じ国の中でタイムゾーンが複数あると訳分かんなくなるわね・・・。


文化発祥の地でもあり、皆大好きマクドナルドやケンタッキーなどのファストフード産業も、 ここで誕生した事で知られている。
しかし1950年代後半になると、ハイウェイの登場に伴って次第にその役目を失い、1985年に廃線となる。


すると、ルート66沿いの町セリグマンの床屋のエンジェル・デルカジロスさんと、 彼の兄でアイスクリーム屋のホアン・デルカジロスさんらが立ち上がり、 この歴史的な母なる道の保存を求めてアリゾナの議会に働きかけた。


その甲斐あって、ルート66は国定の歴史的遺産に認定され、「ヒストリック・ルート」として復活したのである。

例によって現地ツアーを利用して来てる為、ゆっくり見てる時間は無いぞ!

何このデジャブ・・・。
我々に許された残り時間は昼休憩の僅か30分だけですからね・・・。

バカなの!?ねえ、バカなの!?


ここで我々の状況を説明しよう。
現在、他のツアー客達は町の入口付近にあるカフェで、のん気にランチをとっている。
セリグマンにおけるルート66(チノ・ストリート)は、直線距離にして約1km余りであるが、 我々はここを30分以内に、道すがらいい感じの景色を押さえつつ、最終目的地であるドライブインに辿り着き撮影を終え、 集合時間までにカフェに帰らねばならないのである。

片道が徒歩14分で往復2kmくらいだから、走ればなんとか間に合うはずじゃ!

さすが大魔王様!体力面を考慮してないクソみたいな計算ですな!

あのさー、あたしだけカフェで待ってるってアイディアはどう!?


セリグマンの町は、ラスベガスから車で2時間程、ちょうどグランドキャニオンとの中間地点に位置し、標高1600mの山脈地帯にある。


元々この地は「プレスコット・ジャンクション」と呼ばれていたが、 1886年のサンタフェ鉄道の開通に伴い繁栄し、 事業の融資に貢献したニューヨークの銀行家ジェシー・セリグマンにちなんで改名した。


20世紀初頭はカウボーイ達で賑わう町だったが、1978年に州間高速道路(インターステート)40号線が開通した影響で車がほとんど通らなくなり、 町は一気に寂れた。


現在、人口は500人に満たず、人影や車の往来もあまり無い閑散とした雰囲気が漂っていた。

これは・・・果たして復活してるのか・・・?

ゴーストタウンをギリギリ免れていると言った感じですな・・・。

感謝祭の休暇期間だから開いてる店も少ないみたいね・・・。


『カーズ』の物語の舞台である「ラジエーター・スプリングス」は架空の町だが、そのモデルとなった場所と言うだけあって、周辺にはあちこちに年代物の車両が見かけられた。

おお、すげーいい感じに放置されたトラックの草ヒロ!
これは絵になるぞい!

大魔王様、そんなものに心奪われてる時間は無いですよ!

ランチを犠牲にしてまで来てるってのに、余計な道草食うんじゃないわよ!


また、この町のロードサイドには、 よく分からないオブジェなど、所々に小ネタのような要素が散りばめられており、何処かテーマパークっぽい感じでもある。

なんじゃこりゃ!?ちょっと面白そうじゃぞ!

だから、こんなのいちいち気にしてたら間に合いませんよ!

にしても、何で車の上にトイレがあるのよ!?


カフェ兼土産物屋の建物。壁にセスナ機が突っ込んでいる。

アメリカにとっては結構危険なネタじゃろ・・・。

別に昔からこうだっただけで、深い意味は無いと思いますが・・・。

だから、こんなのいちいちツッコミ入れてたら間に合わないわよ!


中でも特に目を引くのがこちらの長屋だ。


土産物店「ラスティ・ボルト(錆びたネジ)」。


こちらの屋根の上には、誰の趣味かは知らないが、B級スポットの重要ファクターであるマネキンがズラッと立ち並んでいる。
これは恐らく、かつてこの町にあったカウボーイ御用達のキャバレーを再現したものと思われる。

モンゴリアン・デス・ワーム的な怪物から避難してる人々に見えるな。

『トレマーズ』ですね、木曜洋画劇場で昔観ました。

どうやら思いのほか結構キてるみたいね、この町。


店の軒先に誰か客が座ってると思いきや、 これもよく見るとマネキンだった。

エルヴィス・プレスリーか?やっぱり生きてやがったんじゃな。

そういやそんな都市伝説もありましたね・・・。

300万ドルの賞金ってまだ有効なのかしらね。


50年代にタイムスリップしたような雰囲気のストリート。
四車線もあるが、動く車より停まっている車の方が多く、歩行者天国状態であった。

ほれ急げ!
ここまで10分かかってるから、あと10分で全部撮影して、残り10分で1km戻らないといけないぞ!

くっそ、何で私はルート66を自分の足で走ってるんだ・・・!?

ったく、いつもいつも、ホントにもういい加減にせんかい!


「エンジェルとヴィルマのルート66ショップ」。
外に設置されたねじりん棒が物語る通り、以前エンジェルさんが営んでいた床屋を改装した土産物屋である。
店内は天井に至るまで、 ここぞとばかりにルート66グッズで埋め尽くされていた。


この日は残念ながらいなかったが、 エンジェルさんは既に90歳近いが今も現役で、運が良ければ会えるそうだ。


店の前の通り沿いには、シンボルのようにクラシックカーが停められている。

あれ?何でミナミの帝王が乗ってるんじゃ?

竹内力じゃねえよ!これもプレスリーですよ・・・。

ジェームズ・ディーンと随分仲が良さそうじゃない・・・。


土産物屋の隣りの敷地には、謎の巨大ニワトリと牛骨が乗ったクラシックカーが設置されていた。

チェルノブイリのマンモス・チキンみたく、放射能の影響で超巨大化したニワトリか?

随分と『マッドマックス』っぽい世界観ですね・・・。

何なのこれ?ドライブスルーの聖地か何か?


この辺が観光のメインエリアなのだが、 やはりマトモに営業してる店は極少数であった。


通りの東端にある 「デルカジロス・スノーキャップ」というドライブイン。
エンジェルさんと一緒に ルート66の復活に尽力したホアンじいさんの店で、この町の名物の一つであるとても美味いハンバーガーが食べられると聞いていたのだが・・・

はい、この店も閉まってるー。

我々の昼飯が夢と消えたか・・・。

酷い時期に来ちゃったもんね・・・。


店の前には、後方にクリスマスツリーが積まれたド派手なクラシックカー(1936年型シボレー)が停められ、観光客用の撮影スポットとなっていた。


オーナーのホアンさんはこの店で50年間に渡って働いた後、 2004年に亡くなった。現在、店は親族によって営業されているそうだ。


さて、この店の裏庭は、ホアンさんの遊び心が炸裂したツッコミどころ満載の場所となっている。


まず見えてくるのが、看板だらけの何だかよく分からない建物。


正面にはどういう訳かトイレのオブジェが設置されている。

いや、アメリカンサイズのウンコがハミ出してるやんけ!

トイレの花子さんみたいな奴もいますぞ!

ルート66ってのはこんな感じでいいの!?


近くには、 犬小屋に体を突っ込んだ変死体があった。

ルート66殺人事件かよ・・・。

私らは行く先々で死体に出くわす名探偵じゃないんですから・・・。

いかにも欧米人が好きそうなブラックジョークね・・・。


こちらは電話ボックスで変死しているおっさん。

ここはデスロードかよ・・・。

過疎り過ぎてとうとう住人をカカシで作ったパターンのやつでしょうか・・・。

こんなところで一瞬ギョッとさせられたわね・・・。


美化委員もビックリな、水洗トイレの花瓶。

なるほど、この手があったか!

これじゃ使えないでしょうが・・・。

つーかこの町、さっきからやたらトイレ多くない?


一番奥の方には、ホアンさんのコレクションであるクラシックカーが複数置かれていた。
これらはルート66が主要道路だった1950~60年代に使われていたものだ。


『カーズ』は当初、『ルート66』という作品タイトルが予定されていた程、この地と関わりの深い作品となっている。
と言うのも、プロデューサーであるピクサー社のジョン・ラセター氏がセリグマンに訪れた際、 ルート66の父であるエンジェルさんの話に感銘を受け、物語の着想を得たそうだ。


セリグマンでは元々、使わなくなった車のフロントガラスに目を描いて展示していたらしく、 それがそのまま『カーズ』に登場するキャラクターのモデルになったという。

ちなみに『カーズ』とか観た事あります?

菅原文太の『トラック野郎』シリーズならあるぞい。

ディズニー映画なんか観て心がピュアになったら取り返しつかないわ。

そ、そうですか・・・。


寂れた雰囲気ながらも、様々な味付けがなされ、アメリカの魅力が凝縮されたようなセリグマン。
あなたもグランドキャニオンに行く際は、古き良き時代の空気を感じに立ち寄ってみてはいかがだろうか。

よし、撮影完了につき撤収!ダッシュで戻るぞ!

あーあ、これだから団体行動ってやつは嫌なんだ・・・。

こんだけ車あるのに、何で帰りのバスやタクシーが無いのよ・・・。

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