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定番のB級物件である愛知県犬山市の桃太郎神社の近くには、
訪れた珍スポ愛好家を引き寄せ迷い込ます、個性的なマスターが営むLOVE&ARTな喫茶店が存在する。その名も「パブレスト百万ドル」。
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この前一緒に長崎行った逆本にやさしい鬼の写メを送りつけてやったら、「朝からこれはキツそうですね」って返ってきたぞ。 |
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なんかお腹が減っちゃったわ、どっかその辺で食べていきましょうよ。 |
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パブレスト百万ドル |
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桃太郎神社の撮影完了後、
ちょうど昼時に近づいていた為、何処かで軽く昼食でもと考えていたところ、犬山遊園駅付近で実に気になる建物を発見。
こんな物件があるなんて、正直当時は知らなかった。
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原色バリバリな外壁の情報を読み取ると、
一応喫茶店のようである。 しかしこのカオスっぷり、いわゆるオヤジ系珍スポットの雰囲気に他ならず、割と先を急いでいたものの、見過ごす訳にはいかなった。
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美術喫茶を称する店の外には、現在進行形でペイント作業中といった感じで、道具が無造作に置かれていた。 |
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建物全体が巨大なキャンバスと化しており、ペンキで店舗情報から意味不明な内容まで縦横無尽に描かれている。
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印象的に店前に置かれた2匹の緑色の犬。
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意を決して薄暗い内部に入ると、
奥の方では何やらマスターと思しき人と先客達がいて賑やかな雰囲気。
我々に気づいたマスターの奥さん(多分)が出迎えてくれた。
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あの、念の為聞くのですが、こちらコーヒーとか飲めるお店でしょうか? |
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奥さん:ええ、そうですよ。
よく分からないまま入ってくるなんて勇気ありますね。怪しいから大体の人は入って来ないのよ(笑)
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入った瞬間、いきなり
例のBGMとナレーションが大音量で流れ、モニターで上映中であった『ナニコレ珍百景』。
この店が取り上げられた回の録画らしく、マスターの姿が映ると店内は爆笑の渦だった。
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どうやら確信犯的に“珍”押しの店らしいですね・・・。 |
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マスターは先客グループの応対に忙しそうであった為、
ひとまず奥さんに昼飯を注文し、あとで色々と話を伺わせてもらう事に。
メニューのラインナップは思いのほか軽食も充実しており、何より全体的に値段がリーズナブルであった。
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内部の雰囲気だけ把握して、
すぐに店を出るつもりだったので、あまり時間がかからなそうなミックスサンドなどを注文したところ・・・。
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なんつーボリュームなのよ・・・。これホントに550円? |
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まさかの前菜付きで、関係無い三色団子やバナナとかまであるじゃないですか・・・。 |
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店内の様子はこんな感じ。
全体的にはカラオケスナックっぽい雰囲気だ。
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身振り手振り店内について説明してくれるマスターの大沢武史さん。 なんとなく往年の岡本太郎を髣髴とさせるが、およそ御年72歳(2014年3月当時)とは思えない若い格好にも目が釘付けである。
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マスター:そういや一昨日もジャニーズJr.のなんとかって言う男の子3人がテレビの取材で来たんだよ。
結構いい男だったな。
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店自体はもちろんの事、ご主人のキャラも放ってはおけなさそうですからね・・・。 |
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さっきまで普通にランチしようとしてただけなのに、
なんでまたこんな変な所にいるのかしら・・・。 |
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店内のあちこちには、外壁同様にマスターがペンキで描いたアート作品が飾られている。
龍の絵は昔からマスターの頭の中にイメージとしてあった存在を描いたものらしい。
一方、子供の絵はというと、56歳の時に生まれたご自身の息子さんの姿らしく、生き別れて以来、かれこれ11年会っていないという。
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迂闊な事聞いちまったが泣かせる話じゃねーか。
年頃の息子がこの有様をどう思うかは別として。
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余計な事言ってんじゃないわヨ。いつかまた会えるといいわね。
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しかし、アマチュアとは思えない程の力強いセンスをお持ちですよね。 |
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奥さん:そうそう、うちはトイレも見所のひとつですよ。
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マスター:おお、そうだ、奥にあるから見ていきなよ。
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トイレが見所と薦められる店も珍しい・・・と思いながら、店内の奥へ。
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でーん。
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マスター:ドヤ!?
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玄関ではフィギュアの浅田真央の絵が出迎えてくれる。 どうやらマスターがファンらしい。
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レジ付近の壁は、変遷を辿る店の外観写真や訪れた客達の記念写真などでビッシリ。
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お客さんが描いて送ってくれたというマスター夫妻を漫画キャラ風にしたイラストが飾られていた。大勢のファンがいるようだ。
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注文してもいないのに、
サービスでプリン(それも結構なクオリティー)を出してくださった。
世知辛い現代社会でこうしたおもてなしは素直に感激である。
しかしこのお店、ちゃんと採算は取れているのか心配にもなる。
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デザートも食べ終え、そろそろ引き上げるつもりだったが、
自らカップを持ってきて、一緒に呑み始めるマスター。
マスターによると、どういう訳か珍スポット好きというのは、
男性の高校教師(それも教科は国語)が多いのだという。
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マスター:ところで『東京別視点ガイド』って東京では有名なのか?
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気を許してくれたのか、ご自身の昔話を饒舌に語るマスター。
マスターがこの店をオープンさせたのは25歳であった昭和42(1967)年の事らしく、
もともと普通の喫茶店として40年間営んできたそうだ。 しかし、何年か前のある時、
剥げていた屋根を自分で塗装した事をきっかけに眠れるアーティスト魂に火がつき(それまで絵を学んだ事はなく、趣味という訳でもなかった)、以来、抑えられぬ創作意欲を爆発させているのだという。
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なるほど、夢のお告げとかじゃないものの、
典型的な珍スポ・コースを着実に歩んでいるようじゃな。 |
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やはりオヤジ系物件のご主人というのは、
大器晩成というか、晩年になってから大きく羽ばたくみたいですね・・・。 |
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さて、興味深い店の成り立ちも聞けた事だし、
予定も押しているので、もういい加減お会計を済ませて店を出ようとしたところ・・・
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さらに追加される飲み物とデザート。
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止まらない昔話、帰れない我々。
早口で訛りがある為、正直一部聞き取れなかったりしたが、内容の多くは女がらみの武勇伝で、
まるで昔からの悪友同士みたいなノリで盛り上がった。
ちなみに、マカダミア・ナッツがキーアイテムとして出てくる面白エピソード(詳細は省くが、やはり女がらみ)を話してくれたのだが、
帰りに渡された土産もマガダミア・ナッツであった。
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(こんなに愉しげに話してるのに言いにくいですよ・・・) |
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店内屈指の撮影スポットらしい龍の絵の前で記念撮影。
なんとマスターの方から一緒に撮ろうと言ってくださった。 驚くほどフレンドリーだ。
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マスター:よく見たらアンタ、結構いい男だな。
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いやいや、マスターの方こそその歳でなかなかじゃぞ。 |
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しかし、いつまでも若々しくやりたい放題なこの感じは、ひょっとしたら、男にとって理想的な歳の取り方なのかもしれないですね・・・。 |
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その後も常連客すら巻き込んで謎の撮影会はしばらく続いた。
定位置だという緑の犬の前でポーズを取ってくださったマスター。
ご自身のスカジャンと建物の背景が溶け込んだこの配色はお気に入りらしく、なんと初音ミクにインスパイアされたものだという。
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マスター:初音ミク、いいよな!
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そういえば、豊年祭(ちんこ祭り)目当てで名古屋に来たという事を告げたところ、なんと帰り際、
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マスターがちんこ飴(さずかり飴)をくれた。
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マスター:これもやるよ。お土産に持ってきな。
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昨日人が多くて買うの諦めたのに、まさかこんなところでゲット出きるとは・・・。 |
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ほんの30分位のつもりだったのに、採算度外視の愛あるサービスの数々
(+止まらない長話)のおかげで、なんやかんや2時間も店に滞在してしまった。
その影響でこの後の当初予定していた探索は諦める事となったが、それを補って余りある予想外の収穫だったので結果オーライである。
この出会いは恐らくそういう運命だったという事なのだろう。
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このサイケデリックな外観のグラフィックアートは、マスターの閃きでどんどん上書きされる為、
現在はまた異なるバージョンにアップデートされている模様。
フリーダムで気さくなマスターとご理解ある優しい奥さん(実は元妻とも)の素敵なお二人が営むこのお店、
いつまでもお元気で続けていただきたいものです。素晴らしいおもてなしをありがとうございました。
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久しぶりに訪ねたおじいちゃんちみたいな居心地の良い店じゃったな。
近所にあったら入り浸るのに。
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帰りもわざわざ外まで見送りに出てきてくれて、長年の友人みたいに熱い握手をしてくれたしね。 |
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コスパ的にも最高でしたし、また是非そのうち来たいですね。 |