> 魔界冒険記 > 飛びだせ!魔界ウォーカー > Article


[2014.12.27]

さらば!鬼怒川秘宝殿
~ついに閉館、純和風エロスの嵐~



  • このエントリーをはてなブックマークに追加

今年2014年は、秘宝館好きには悲報が飛び交う1年であった。
3月に佐賀の嬉野秘宝館が閉館し、9月には愛知の大聖寺大秘殿(ただし純粋な秘宝館シリーズでは無い)が閉館、 そして12月末を持って栃木の鬼怒川秘宝殿が閉館する事で、 とうとう国内の秘宝館と呼べる施設は熱海秘宝館を残すのみとなってしまう。


鬼怒川

なんだよ、このふざけた顔の子鬼の像はよ。

鬼怒太って言うらしいですね。むこうに親みたいな奴もいますよ。

あと、なんか駅前でアイドルがイベントやってるわね。AKBかしら?


さて、秘宝殿は山の中腹にあり、 鬼怒川駅からローカル線に乗り換えて最寄の龍王峡駅まで行けるのだが、 電車に乗ってるうちにもの凄い土砂降りになってしまった。

くっ、さては龍王の怒りに触れたか・・・!?

我々が鬼怒川に降り立った瞬間から急激に天候が悪化しましたね・・・。

どうやら日頃の行いが良すぎるようじゃな!てへぺろ!

ちょっとは悔い改めなさいよ!このアホンダラ!


豪雨によりハードモードと化した龍王峡駅(ホームの半分はトンネル内)の様子。

おいおい、階段が滝みたいになっとるやんけ!

もはや古代神殿みたいな雰囲気ですな・・・!

どうすんのよこの酷い有様・・・!


駅の改札から外を覗くと、 遠くの方は白くなって見えづらい程の殴りつけるような雨で、並の台風すら超えている局地的な嵐であった。
しかも、激しい雷が止め処なくすぐ頭上で鳴り響いていた為、命の危険を感じさせるには十分なシチュエーションとなり、 目的地を目の前にしてまさかの足止め。

天気予報なんかよりも自分を信じるぜ・・・!

ちゃんと見とけよ!バカ野郎!

アンタ達2人ともよ!大雨・洪水警報出てんじゃん!

こんな絶望的な荒天になってしまった訳だが、 当時はスケジュール的にこの日以外の探索は考えられなかった。
また、そもそも天気予報すらろくに確認していなかった為、傘はおろか一切の雨具を持ってこなかったという、 図らずもワイルドな状況となっていたのだが・・・


なんと奇跡的に改札に貸傘(無料)が。

と、ここで果敢にも貸傘で駅から打って出ようとしたところ、 改札の窓口にいた切符売りのおばあさんに声をかけられた。
RPGっぽい雰囲気で。

おばあさん:お若いの、命が惜しかったらやめときな。ここから先は危険だ。引き返すのも勇気だよ。

フッ、そうもいかないんじゃよご老体。

我々にはどうしても行かなきゃならない場所があるのです。

おばあさん:こんな天気の中、行かなきゃならない場所だなんて、そりゃ一体何処なんだい?

秘宝館です。(爽やかに)

///・・・。(照れ)

///・・・。(照れ)

おばあさん:・・・。


鬼怒川秘宝殿


親切なおばあさんが椅子を持ってきてくれて、 30分くらい駅の改札で外を睨みながら待ち続けた結果、ようやく雨も小降りになり(遠雷はまだ聞こえる)、 どうにか栃木県日光市の鬼怒川秘宝殿に到着。

いやー、一時は辿り着けないかと思ったぜ・・・!

ちょっと数百m移動するだけなのに結構時間かかりましたね・・・。

なんだってこんな苦労して行くところが秘宝館なのよ・・・。


我々が鬼怒川秘宝殿を訪れたのは2013年7月の事である。
既にこの時点で、鬼怒川秘宝殿の経営がそろそろ危ない・・・といった声が一部で囁かれているのを耳にしていた。

天気も景気も悪いから休みだったらどうしようかと思ったが、しぶとく営業してて何よりじゃ。

またの名を下野国風俗資料館って言うんですね。
さらに言ってしまうと下ネタの国って感じでしょうが。

あたしは雨宿りで仕方なく訪れた風を装うから、よろしくー。


入口で来る者を威嚇する天狗とおかめのオブジェ。
この施設、秘宝館ではなく、秘宝殿と名乗っているだけあり、 内部は純和風を基調としているらしい。
それではエロスの殿堂へいざ参らん。


内部に足を踏み入れるとこんな感じ。
エントランスには縁起物の祭り道具や春画などが左右それぞれに設置されている。


入口の正面にある鬼怒川お竜。
片乳や股間を出しながら花札勝負をする場面らしく、大博打という事なのか、彼女の足元には何故か壱億円札が置かれている。

堂々としてるけど格好が乱れ過ぎじゃろが!

いきなりツッコミ所が多くて困惑ですよ!

ヨシオ気をつけなさい、その言い方は何だか卑猥よ!


受付の脇にあるインパクトのある道祖神。
ここで待機していた受付の方が我々に気付き、「まさかこんな天気で客が来るとは!?」といった顔で出迎えてくれた。
入場料1000円(通常1500円の割引価格)を支払うと、当然他に誰もいなかったらしく、施設の電源をオンにしてくれた。

秘宝館を丸ごと貸切とか贅沢じゃよな!

普段も天気関係なく人が少ない気もしますが、 どうなんでしょうね・・・。

どうせならこ洒落たレストランとかが良かったわよ!


癌避観音。
序盤は割りと真面目に信仰の対象となっている像が祀られている。


子宝祈願の授かり御神木。
妊娠したい女性はこれを撫でて願えばいいという代物だ。


1階の受付の後は、すぐに2階へ登らされる事になり、 館内の薄暗さと老朽化した雰囲気が期待と不安を感じさせる。
画像は階段の踊り場の様子。

さっきから天狗とおかめのオブジェが多いけど、なんなの?

ありゃー、それを聞いてしまいますか・・・。

そんなのチンコとマンコの暗喩に決まってんだろ!
言わせんな恥ずかしい!

ッ!?


さあ、という訳で、今回もおちんちんランドが始まるよ!


まずはズラリと並ぶ陰陽石(男女の陰部に似た形の石)ゾーン。


これは栃木県の川治温泉にある「お撫で石」という陰陽石。
縁結びや子授けに霊験あらたかという事で、興味ない振りしてさり気なく撫でに来る女性も多いとか。


こちらも立派な道祖神。
猥褻物と思う事なかれ、道祖神は集落や村の境界などに祀られていて、 外部からの悪霊の進入や災いを防ぐ言わば守り神のような存在なのである。
つまり、これらは列記とした性器崇拝の信仰に基いた学術的な展示なのだ。

ほう、これは実に興味深い・・・!民俗学的に・・・!

そうです、 我々には別にいやらしい気持ちなどは微塵も無く、あくまで学術的な観点から・・・。

バーカ!今更誰に言い訳してんのよアンタ達は。


次の部屋に入るとセンサーが感知し、 滝が流れる演出とともに天狗とおかめが両脇の岩陰からヌーッと弧を描くように登場。
「奉献虹見滝舞」という展示作品らしい。

つーか雰囲気的にはお化け屋敷っぽいよな秘宝館って・・・。

暗闇の中、急に作動する人形仕掛けや音と光の演出は、 確かに通ずるものがありますね・・・。

でも完全に出てくるまで時間あるから結構スルーされてそうだけどね・・・。


「坂東武者出征前夜」。
戦に赴く前夜、夫婦が別れを惜しむ姿が再現されている。
哀愁漂うムードの中、妻の「いかないでえ~」という叫び声が聞こえてくる。
ダジャレの説明みたいで無粋だが、戦に行かないで欲しいという意味と、性的な意味でまだイかないでという事らしい。

むしろ女のほうがイッてるやんけ・・・!

戦に行く前から一戦交えやがって・・・!

だからって何も鎧着けたまま出陣しなくても・・・。


「造下野薬師寺別当暮色(道鏡)」。
お経を読む道鏡が、卑猥な妄想を抱いて下半身をモッコリさせるという、ただそれだけの展示。 背後の鏡の中に邪念が浮かび上がる。

坊主のくせに煩悩まみれかよ!
脳内メーカーの結果ヤバそうじゃな!

木魚台が傾く程のモッコリっぷりとは、一体どんな修行してるんだ・・・。

しかも妄想の内容が結構アブノーマルなプレイじゃないのよ!


「百花繚乱太閤幻夢」。
同秘宝殿のメイン展示物である秀吉の5Pの様子。
ちなみに館長の初恋の相手に似た女性も紛れ込んでいるらしい。

全身を使って複数の女を攻める、実に見事な奇襲作戦じゃ・・・!

これが天下人が見れる景色か・・・!なんたる戦国エロ無双・・・!

悪魔もビックリな下品な乱交パーティじゃないの・・・!


「雷鳴日光街道狼藉」。
江戸時代の日光街道で一人旅する娘を駕籠かきが強姦、娘の悲鳴は雷鳴の音にかき消されるという衝撃的な展示。


比較的ソフトタッチな内容の展示に留める秘宝館もある中、 ご当地の要素を盛り込んだオリジナル展示がメインの鬼怒川秘宝殿では、 こうした目を背けたくなる粗野な要素も包み隠さず、江戸時代以前の性文化として紹介してくれているのだ。

なんという見るに耐えないゲス顔・・・!
これ放送しちゃって大丈夫かな・・・?

残念ながら、ドン引きしてサイトの貴重な女性読者が全滅してしまうかと・・・。

そんなの気にするくらいならそもそも来るんじゃないわよ・・・。


「生写恋情任生手管」。
地元栃木県の特産物であるかんぴょうを作っている農家の様子で、 かんぴょうのカーテンの背後に隠れた下男と娘が、立ちバックスタイルで 禁断の情事に耽る。


するとそれに気付いた父親が興奮して、 イチモツが壁を突き破るという実に脱力な展示。

なんて力強い如意棒・・・!さてはコイツ、名のある戦士か・・・!?

田舎は開けっ広げなんですなあ・・・。

くだらな過ぎて我が目を疑うレベルだわ・・・!


「艶容温泉郷恋花開」。
男女の混浴を覗きながら自分の股間に指を伸ばす女。
反対側のアングルはなかなか際どい・・・というかアウト。


リア充な感じで乳繰り合う男女。

うむ、男のほうが志村けん、女の方が高橋真麻っぽい顔なのがアレじゃな・・・。

確かにこれは色々とアレですね・・・。

ちょっとアンタ達、随分失礼な奴らね・・・。


こちらはピンクで露骨に妖しい雰囲気が漂う「エロスギャラリー」。


あっさり日本的な世界観を飛び出し、 インド音楽のBGMが怪しいムードを作る薄暗いエロス聖堂。
壁に並ぶ神々の彫刻は、世界遺産にも登録されている インドのマディヤ・プラデーシュ州カンジュラーホにあるヒンドゥー寺院のものを模したレプリカ。


秘宝館ではよく目にする男女一体のミトゥナ像。
豊穣の願いが込められた性的結合がモチーフのエロティックな彫刻で、何だか 説明書きも壮大であった。

なるほど、やはりエロいパワーこそが地球を救うという事か。

オルゴン・エネルギーみたいな感じなんですかね。

でもきっと、アンタ達は滅亡させるタイプね。


中央の石柱には、ホログラムで妖艶な人の姿が浮かび上がる。


この通路は性に関する知識が学べる「ラブ・サイエンス」のコーナー。


男女の性感覚分布図なるもの。
膝の後ろや足の裏までラインナップされているのは、マニアックさを感じる。

いやこれ、サイエンスでも何でもねえじゃねーかヨ。

保健体育の教科書に載ってそうな感じですね・・・。

このパネルに一体いくらかけたのか、そっちの方が気になるわよ。


様々な性行為の体位が相撲の技のようなタッチで描かれたパネル。 いわゆる四十八手である。

ふむふむ、これはなかなか勉強になるな。うわ、あんな方向で・・・。

なるほど、確かに裸と裸の熱いぶつかり合いは、一種の取組みたいなものですもんね。

ちょっと何感心してんのよバカが。


常にアダルトビデオが上映されている「ラブネネマ」。


観客ゼロでもスクリーンにひたすら垂れ流され続ける 男女の性行為(さすがにモザイクはかけておいた)。
なんとも言えない気持ちになる。

こんなの誰もわざわざ足を止めて見ないじゃろうに。
・・・まあワシは一応見るけどな。

今やネットで簡単に高画質を楽しめる時代ですからね。
・・・でもこれはこれで古い映像なのがそそりますね。

この救いようの無いド変態共が・・・!


「TOUCH DOLL」と名付けられた全裸女性のエロいプレート。
「ご自由にお触りください」とした結果、案の定、乳首とアソコが真っ黒だが、 意外にも太もも部分も結構触られているようであった。


座禅草花占い。
おみくじを引いて中央のアレっぽいものを撫でるのが掟らしい。


数々の展示の最後に現れる赤い回転ベッドの鬼怒川モンロー。
この手の施設には定番のセックスシンボルだが、当初のコンセプトである純和風路線は一体どうしたんだよと言った感じだ。

欲張って他の秘宝館の人気要素を持って来たら、こんなんなったって感じじゃな・・・。

最後の方は何だか無国籍な感じになってるわよね・・・。

しかし、本人もまさか自分がこんな異国の温泉地のB級お約束要員になるとは思わなかったでしょうな・・・。


出口近くにあるお土産の売店。
単なる記念品から実用品まで、様々なアダルトグッズが販売されている。

ヨシオ、おっぱいボールいっぱい買えよ。

いや、いらないですよ。

じゃあ、あたしが買おっかな。

え?

いや、ワシが買おう。

えーと、じゃあ、私が買います。

どーぞどーぞ。

どーぞどーぞ。

おいコラ!?なんだよその適当なノリは!?


無人の売店を見張るファンキーなヅラを被ったマネキン。


温泉街っぽい雰囲気のおっさんのゲーム機は、残念ながら「調整中」であった。 こうした案内表示も秘宝館にありがちなものだ。


ガラスケースの上に無造作に置かれたアダルトグッズ。
なんと破廉恥な。


お土産品の近くにあるマネキン。
以前はラブ・シネマの中に置かれていたらしい。


同じく、ドスケベな水着を着せられたマネキン。
かつては正式な展示品だったようだが、その浮いた存在感が馴染まなかったのか、 今ではこんな中途半端なポジションに。


展示室を抜けた後にある出口付近の休憩室。
ここには飲み物の自販機の他、UFOキャッチャーなどのゲーム機が置かれている。


もちろん、景品の内容は一部モザイクが必要になるようなアダルトグッズである。

来場者の減少や建物の老朽化に伴い、今年いっぱい(2014年12月31日17時)をもって33年の歴史に幕を下ろす鬼怒川秘宝殿。
全国的な秘宝館ブームに乗って1981年にオープンした当時は、 連日ツアーバスが詰め掛け、多い時の来場者は1日1000人以上にも及んだという。
しかし、バブルの崩壊をきっかけに客足は鈍るようになり、 展示されている人形の制作や施設の建設に関わった職人の多くも亡くなった為、整備も行き届かなくなり、 今回の閉館の決断に至ったようだ。
またひとつの昭和が終わる事に寂しさを感じるが、今はとりあえず長い間お疲れ様でしたと言いたい。


今やすっかり絶滅危惧種となってしまった古き良き昭和時代の遺産である秘宝館。
もはや恥かしがって行くのを躊躇っている時間はない。
日本の文化が生んだ下品で最高な性の娯楽施設に、あなたも今のうちに訪れてみてはどうだろうか。

なかなか刺激的な雨宿りであったな。
もっとも、かえって濡れてしまったかもしれぬがな・・・!

いい感じにまとめようとしてるのに、急に真顔で下ネタ言うなやッ!

アンタなんか全裸で磔になって展示されてりゃいいのよ!



オマケ

鬼怒川駅に何故かいたトリケラトプス。
秘宝殿亡き後の鬼怒川は一体何処へ向かうのだろうか。

鬼怒川に来たつもりが白亜紀にトリップしたのかと思ったぞい・・・。

結構な駅構内のスペース割いて何でこんな事に・・・。

妙にリアルだから恐がって誰も記念撮影してかないじゃん・・・。


秘宝殿を出た後に見かけた消防車両。
凄まじいゲリラ豪雨は、 土砂崩れや停電、住居の浸水など、 あちこちで結構な被害を出したらしい。


その後、弱まっていた雨が再び本降りになり、帰りの電車の車窓に見えた 冠水状態の町並みはこんな感じに。
同地域でのアメダスの統計開始以降、1時間の降水雨量を更新する記録的な嵐であったらしい。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ人は、多分こんな記事も読んでいます。

Back number

Archives

News Headline

ページのトップへ戻る
inserted by FC2 system