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[2023.03.08]

第3村(天竜二俣駅)見学レポート



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2021年に公開され、大ヒットを記録した映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』。
その舞台として登場する、「第3村」のモデルとなった静岡県浜松市の「天竜二俣駅」が、 公開から2年経った現在も、引き続き熱い注目を集めている。
珍スポへ向かう道すがら、せっかくなので聖地巡礼に立ち寄った。


天竜浜名湖鉄道(以下、天浜線)の「天竜二俣駅」で下車すると、 ホームには早速「第3村」と表記された駅名看板があった。
シン・エヴァとの期間限定コラボによるものだ(2023年1月末で終了)。


よく見ると「©カラー」と書いてある。
天浜線が第三セクター鉄道だから、 箱根の「第3新東京市」の後継に当たる場所(モデル地)として選ばれたのだろうか。


ひらがなバージョンのホーロー看板も。
何も知らない人が見たら、本当にこの駅名だと信じそうである。


ちなみに、本来の駅名「天竜二俣」は、天竜川と阿多古川の二股のデルタ地帯を意味しているとか。


1935年(昭和10年)に旧国鉄の二俣線として開業した天浜線は、同駅に本社と車両基地があり、 木造の駅舎やホーム上屋など、昭和の国鉄時代の名残が多数見受けられる。


駅に着いて早々、ノスタルジックな雰囲気が漂い、撮り鉄にならざるを得ない事を察していると・・・


ちょうど、名物の「転車台&鉄道歴史館見学ツアー」が始まった。
通常は立入禁止の車両基地内にある施設(国の登録有形文化財)が見られる為、急いで売店でチケット(大人600円)を買い、ガイド率いる行列の後を追う。
しかし、かなりの見学者数である。


しばらく歩くと、 映画にも一瞬登場した気がする高架貯水槽が。
昭和初期は、蒸気機関車の走行に必要な水を70トンも貯めていたそうだ。


貯水槽の横から基地内に入り、 趣深い木造の長屋が連なる通路を進んでいく。


まるでタイムスリップしたかのようだが、左側の建物は運転区事務室や運転区休憩所として、現役で使用されているらしい。


開いた窓から内部を覗くと、意外にもそこは浴場だった。
煤だらけになった機関士達が、仕事終わりに体を洗ったそうだ。
現在は沢山のヘッドマークが展示されている。


交通安全を祈る「鉄道神社」。
こちらも見学ツアーでしか拝めない、レアな宗教施設と言える。


足元には、石を並べて作った「第3むら」の文字も。なかなか憎い演出だ。


長屋を抜けると、そこには印象的な扇形車庫が建っていた。
映画では診療所となっていた場所だ。


そして、車庫の手前には、第3村を象徴する「転車台」があった。
直径約18mの円形構造で、機関車を方向転換する為に造られたものらしい。


昔は電気ではなく人力で動かし、掛川駅や豊橋駅などでも使用されたそうだが、もはや現存するのは同駅だけとの事。


見学者向けのデモンストレーションで、実際に転車台に車両を載せて回転してくれた。


劇中では「狭いながらも楽しい我が家」として登場する、バラック感のある長屋。
転車台の真横に位置していた。


普段なかなかお目にかかれない、整備中の車両。


転車台の動きを堪能した後は、扇形車庫へ移動。
なんと築80年の木造製で、こちらも現役で使われているようだ。
戦前・戦中の鉄が不足した頃に建設されたという。


1番の扉内には車両が格納されていた。
こんなに間近で真正面から見られる事も、そうそう無いだろう。


この電車の前が「鉄道歴史館」の入口になっている。


訪問時はたまたま、見学者の半数以上が高齢者で、 恐らく作品自体は観た事が無いであろうジジババ達が、口々に「エバンゲリオンのなんだ」と言って入っていく姿が、 なんだか妙に面白かった。


第3村の住人であるキャラクター達のパネルもお出迎え。
レトロ推しに徹するのかと思いきや、別にそんな事は無かった。


やはり劇中に出てきた「空襲警報発令」も、実際に掲示してあった。
空襲で焼ける事も無く、よく今日まで残ったものだ。


館内はあまり広くないが、天井が割と高く、体育館のような印象。


壁際には、 蒸気機関車の運行に使われた道具など、貴重な鉄道資料が所狭しと並ぶ。


マニアでなくても嬉しい、車両基地のミニチュア模型。


今とは物価がだいぶ異なる、昔の運賃表。
30~40円で移動出来る時代があったのだ。


何故か1人だけ離れて配されたアヤナミレイ(仮称)のパネル。
村に溶け込み、農作業に励む役どころの所為だろうか。


シン・エヴァにおける第3村の説明パネル。
本編カットやアングル確認用のミニチュア俯瞰図、庵野監督がロケハンに来た時の写真もある。


■第3村とは
「未曾有の大災害を生き延びた人々が暮らす集落。 転車台を中心に、仮設住宅とみられる建屋や鉄道車両を活用した公共施設が立ち並んでいます」


天浜線は『ゆるキャン△』の聖地でもあり、 ラッピング列車が走るなど、やはり積極的にコラボを行っているようだ。
関係者曰く、人気コンテンツがクロスオーバーした事で、以前より幅広い客層が訪れるようになったとか。


見学ツアーは30分程だが、安値の割に満足度の高い内容であった。
ちなみに、電車に乗って動く洗車機や転車台を体験するツアーもあるようだ(要予約)。 駅舎の方に帰ってくると、ビーストモードっぽいミニ機関車が。


改札前にある第3村のフォトスポット。記念撮影をする人が続出していた。


駅舎内の売店「てんはまや」では、 ここぞとばかりに大量のエヴァグッズが売っていた。
天浜線とのコラボ商品も複数並び、 第3村キーホルダーやアクリルスタンド、手ぬぐいなんかも。


なお、図らずも帰りは、エヴァ・ラッピング列車(TH2111)に乗る事が出来た。


ホーム側のデザインは、ロンギヌスの槍を持つ第13号機となっていた(見えないが、反対側は初号機)。神の機体ならぬ神の車体である。


車両の扉部分は、まさかのゲンドウ君で圧が強い。
余談だが以前、テレビ番組『世界の何だコレ!?ミステリー』において、当サイト提供の画像が使用された際、 中の人である立木文彦さんがナレーションをしてくれて、非常に感慨深いものがあった。


もちろん車内もエヴァ仕様。
シリーズが完結を迎えても、全然オワコン化していない状態だ。


遠州鉄道に乗り換えると、今度は2号機デザインのラッピング列車があった。
変形や暴走はしないはず。


駅構内の所々にも、本編カットや版権イラストなどが。
ローカル鉄道だからこそ成せる、充実のコラボである。
ちなみにこの路線、都市伝説「きさらぎ駅」のモデルとして知られる「さぎの宮駅」もあり、 2022年は映画公開に合わせて、やはり駅名看板が取り換えられるなどした。


そして辿り着いた終点の駅は、看板が「シン・ハママツ」の表記になっていた。
本日(記事更新日)発売の円盤には、新作特典映像が収録されるなど、依然として話題を集めるエヴァ・シリーズ。
「さよならは、また会うためのおまじない」という劇中の台詞もあるように、 なんだかんだで、今後もシン・展開を期待せずにはいられない。


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