これまで世界各地で発生したUMA事件では、 一般的に知られている動物がヒューマノイド化した、“〇〇男”の目撃報告が多数なされているが、 その中でも特に武闘派な存在が「トカゲ男」だろう。 たまたま沼地を通りがかった人々を襲い、車を傷つけたりする恐ろしい怪物だ。
1988年6月29日の午前2時頃、アメリカ、サウスカロライナ州ビショップスヴィルのクリストファー・デーヴィス(当時17歳)が、父親の車で帰宅途中、スケープオレ沼の近くでタイヤがパンクしてしまった。仕方なく、修理する為に外に出て、タイヤ交換をし終えたその時、闇の中にギラギラ赤く光る目が、草むらから凄いスピードで近づいてくるのに気づいた。よく見ると、その姿は全身緑色のウロコに覆われている、トカゲの人型の様な怪物だったのである。体長は2m位で、両腕が長く、手足はどちらも3本指で、大きな口には、乱杭歯が見えたそうです。また、腐った様な嫌な臭いを発していたそうだ。驚いたクリストファーは、慌てて車内に逃げ込み窓を閉めようとした。ところが、怪物は窓から手を突っ込んできたのだ。 目撃者クリストファー・デーヴィス▲事件を報道する新聞紙面より。 17歳のくせに深夜ウロついているあたり、うっかりパパの車を傷つけてしまい、失態をごまかす為に怪物の目撃談をでっちあげたのでは?という邪推も頭をよぎるが、それは一旦置いておこう。 クリストファーは必死で車を急発進させ、怪物を振り落としたが、しつこい怪物は、走り去る車を追跡し、屋根の上に飛び乗ってきた。フロントガラスに手をかけ、ワイパーを掴もうとする怪物を、クリストファーは車を蛇行させて茂みの中に振り落とす事に成功し、全力で家に逃げ帰ったそうだ。クリストファーは、車のエンジンをかけっ放しのまま家に飛び込み、頭から布団を被って震えていたそうで、何事かと思って問い掛けてきた父親のトミーに対し、興奮していて、満足に答えられなかったという。車のエンジンを止めにいったトミーは、車のバックミラーが捻じれ、屋根に奇妙な引っかき傷がついていた事を見て、首をかしげ、後日、クリストファーから事の詳細を聞き、 半信半疑ではあったそうだが、念の為に郡保安官に通報した。この事件は多くの新聞で取り上げられ、これがきっかけでそれ以後も、目撃報告が相次ぐ事になる。この怪物トカゲ男は「沼男」、「泥男」とも呼ばれ、昔からアメリカ南部で多くの人間に目撃されていたそうだ。 変態チックなトカゲ男のイメージ▲夜道には十分気をつけよう。 父親のトミー・デーヴィスの話では、息子は帰宅時、顔面蒼白の半狂乱で、とても作り話には思えなかったそうだ。また、通報を受けて、すぐにデーヴィス家にやってきたリストン保安官は、クリストファーに事情聴取を行ったそうで、当初、彼は悪質な悪戯にでも引っかかったか、あるいはブラックベア等の動物を誤認したのではと考えていたそうだが、後の調査で、この怪物と遭遇したのは、クリストファーが最初ではないという事が判明したそうだ。クリストファーの事件より6日前の6月23日の夜、ジョージ・ホロマン(当時32歳)とその友人が、スケープオレ沼の橋のたもとで井戸水を汲んでいた時、森の中から、大きな目の巨大な怪物が突然現れて、沼の方へ消えていくのを目撃したそうだ。また、クリストファーの目撃から2週間程後の7月14日の夜、ブラムレッドに住むウェイズ夫妻が、やはり沼の橋のたもとで、トカゲそっくりの顔をした大きな赤い目の怪物を目撃したそうで、24日午前3時頃には、ガールフレンドを車に乗せて、スケープオレ沼付近を走っていたロドニー・ノルフが、前方を横切る黒っぽい生物を見て、急ブレーキをかけた。一瞬、鹿か何かかと思ったそうだが、その生物は体長2mはあったらしく、しかも、そいつが車の方に振りむいた際、大きな目が不気味に赤く輝いたそうだ。ロドニーは恐怖を感じつつも、好奇心にかられ、橋を渡って沼に消えようとしているその怪物を追おうとしたそうだが、ガールフレンドに止められた為、仕方なく町に戻って警察に通報した。 足跡の石膏を持つウェイン・マトキンス保安官と州警察のマイク・ホッジ▲ これを受けて、ただちにウェイン・マトキンス保安官と州警察のマイク・ホッジが、現場に急行して調査を開始した所、沼に通じるゴミ捨て用のドラム缶3本が、路上に引きずり出されて潰され、中身が辺りに撒き散らされているのを見つけ、その近くの地面に巨大な足跡が残っているのを発見した。足跡は長さ約35cm、幅約10cm、深さ約3cmで、指の数は3本だったらしく、2人は犬を連れて、点々と続くその足跡を400m程辿って行った所、沼の辺で消えていた。追跡を断念した彼等は、パトカーまで引き返したが、なんと、彼等が乗ってきたパトカーの轍の上に、新たな足跡が残されていたのだ。その後、現場で石膏にとられた3組の足跡は、写真と一緒にFBIに送られ、専門家による鑑定と調査を依頼された。
こうして怪物騒動はエスカレートしていき、それをさらに煽るかの様に、ある時、地元のラジオ局が「トカゲ男を捕獲した者には100万ドルの賞金を与える」と報じた為に、この小さな町に、野次馬やハンターが大勢押し寄せる事になった。この騒動の最中、8月5日には、ショー空軍基地に配属されていたアメリカ空軍2等兵のケネス・オレが、トカゲ男と遭遇して襲われ、首を負傷して血まみれになりながらも、銃で反撃し、数発を命中させるというバイオレンスな事件が起きたそうだが、その際もトカゲ男は、平然と沼に逃げ込んだという。トカゲ男の正体については、宇宙人に連れてこられたエイリアン・アニマル説、軍の極秘実験により生み出されたバイオ生物説、皮膚病の一種で、ウロコの様な皮膚になる病気の魚鱗癬の患者であるという説があげられている。「沼男」とも言われてる事から、コイツはアメリカ版の河童なのかもしれない。なお、このトカゲ男、1988年の1年間だけ頻繁に目撃された後、しばらく姿が見られなくなったものの、近年になって再び同生物の犯行を思わせる車の破損等が報告されているらしく、今後も注目の存在と言えるだろう。
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