シルクロードで知られる中国の新彊ウイグル自治区には、数々の怪奇現象が起こる「魔鬼谷」と呼ばれる深い谷があるらしく、地元遊牧民に恐れられているという。文字通り“悪魔の谷”を意味するそこは、果たして何なのだろうか?
魔鬼谷は標高5000m級の山々が連なるコンロン山脈の東端、 ウイグル自治区を南北に流れるナリンゴル河の中流域にある、周囲を険しい山に囲まれた長さ100km程の谷らしいのだが、 特に夏場は怪奇現象が頻発する事から、地元遊牧民は殆ど近づく事はないそうだ。 例えば、ある夏の日、魔鬼谷の周辺に突然黒い雲がかかると、青白い閃光が発生した。 単なる雷雲かと思いきや、一向に雷鳴も轟かず雨も降らない。 しかし代わりに、谷底の方から複数の遊牧民のもがき苦しむようなうめき声が聞こえてきたのだ。 その声はまるで周囲の山々に木霊するように次々と聞こえてきたという。 驚いた村人達が谷に下りてみると、そこには多くの遊牧民と、放牧していた家畜のヤクの遺体が転がっていたのだ。 しかも、奇妙な事にどの遺体も無傷であり、雷に打たれたような形跡も無かったのだ。 彼らの身に一体何が起きたのか、その原因は今も解明されていないが、 一説にはある種の毒性ガスが発生したのではないかとも言われている。 また、太平洋戦争中には、3人の日本兵が上長に財宝調査を命じられてこの谷に派遣された事もあるらしいのだが、 しかし彼らは一向に帰還せず行方不明になってしまったそうだ。 そこで、1個小隊による本格的な捜索が行われたが、結局3人は発見できなかったという。
1985年には、アメリカの科学者グループと中国との合同で魔鬼谷学術調査隊が結成されて現地入りしたが、 詳しい調査が行われる前にすぐに打ち切られてしまった。 その理由も不可解な現象によるもので、 調査隊が谷に下りると持ってきていた全てのコンパスの針が狂ってグルグルと回りだしたらしく、夏にも関わらず突風が吹き荒れ、 さらに隊員の間にも頭痛や吐き気を訴える者が続出し、遭難の危険性もある事から、調査隊はやむなく計画を断念して早期に引き上げてしまったそうだ。 調査に参加した科学者によると、 コンパスの動きからこの谷の地磁気に異常があると考えられ、それが気象にも影響を及ぼし怪現象を引き起こしているのではないかという見解を示したという。 さらに調査隊は、標高5000mを超える山の付近で無線を使おうとしたところ、当時最新型の機器で晴天だったにもかかわらずノイズばかりで交信が出来なかったそうだ。 しかし、天候が一転し、どんよりとした曇り空の日になると使えるようになったらしく、 今にも雷雨になりそうになると、むしろ何故か鮮明に音声が聞こえてきたという。 こうした状況には、調査隊の科学者達も頭を抱えたそうだ。
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