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[2022.08.15]

祝梅温泉
~ボウリングのピンが傾くディープな秘湯~



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北海道の空の玄関口・新千歳空港にも程近い、千歳市の田園地帯の道端には、何故か大きなボウリングのピンが傾いている。
だが、別にここに、ボウリング場やラウンドワンがある訳ではない。
そのピンが指し示す先には、 廃墟好きや珍スポ好きから一目置かれる(?)、「祝梅温泉」なる変な秘湯が存在するのだ。


同地には2015年と2016年の都合2回訪れている。
どちらも帰りのフライト時間まで余裕があったので、 オマケのつもりで北海道旅行の最後に立ち寄った。


温泉は広大な田畑のど真ん中に位置しており、注意していないとスルーしそうなくらい、入口の様子がさり気ない。
その為、最初の訪問時は付近でうっかり道を間違え、とんでもない所に車が迷い込んでしまった。



そこは廃材で溢れた未舗装の一本道で、さながら“禁断の地”のようであった。
あまりに印象深かったので、思わず1年後にも再訪したくらいである。


温泉を探して半信半疑で進んだものの、道はどんどん荒れ果てていく状況。
無理して返却直前のレンタカーに傷がついたり、 角材を持った地主のおじさんに襲撃されたらヤバいので、仕方なく慎重に引き返し、どうにか脱出した。


“近くに謎の櫓がある”という情報に惑わされ、櫓が建つ脇道へ逸れてしまったのだが、実はそこは目的地の少し手前の道だった。
こんな気になる物があったら、ついそっちの方へ吸い込まれてしまうというものである(※1)。

※1:どうやらGoogleマップ頼りで来ると、手前の道の方へナビゲートされてしまうようだ。


その後、すぐに目印のピンを発見し、祝梅温泉に到着。
ピンは絶妙なバランスで木の枝にもたれかかり、かろうじて転がってはいないものの(※2)、どういう訳か盛大に傾いている。

※2:どうでもいい話だが、何故か立っている時と倒れてる時があるという。
最近の写真を確認したところ、周辺の木々は伐採され、現在ピンは転がってしまっているようだ。


どうやらこの奇妙な看板は、温泉の掘削(ボーリング)にかかった洒落らしい。
もしかしたら、経営が傾いているという事も自虐的に示しているのかもしれない。
そういえば、この数日前に訪問した「ホテルのうきょう」にもピンがあったが、北海道のオーナーはボウリング好きが多いのだろうか。


敷地内には、至る所に廃材が積み上げられ、退廃的な雰囲気が濃厚に漂う。
「本当に営業してるのか?」「そもそも温泉なんかあるのか?」という気持ちにさせられるが、温泉はピンから数十メートル進んだ辺りにある。


建設会社の如くやたら置かれた木材は、源泉を加温する為のものらしい。
これだけ在庫が豊富だからか、ここの温泉はめちゃくちゃ熱い事で知られているようだ。


細部を見ると、こっちもこっちで瓦礫が多く、 納屋の周辺など、なんとなく『北の国から』のBGMが聞こえてきそうな佇まいだ。


しかし、それなりに雑然としているものの、 先程迷い込んだ酷道に比べると、まだ整備されているように見えるから不思議である。


辿り着いた温泉の建物は意外と普通。
手前の納屋同様、あばら家のようなボロボロの外観を勝手に想像していたので、少々肩透かしではある。


「まさか個人の民家ではないか?」とも思ったが、ちゃんと入口の看板に「祝梅温泉」と書いてあって安堵した。


普通にジモティらしき人が入っていたので、内部の撮影はしなかったが、広い湯舟には烏龍茶のような黒い湯が張られている。
植物由来の有機物が溶け込んだモール泉で、ヌルヌルのスベスベ感がある肌触りだ。


浴室からの眺めはこんな具合。
目の前に池があって開放感が味わえるが、黄色い像のオブジェなど、やはり独特なセンスも見受けられる。


空港からもアクセスしやすい立地ながら、実に秘境感が強い温泉だった。
ところで、その帰り道、謎の櫓の近くに“門らしきもの”がある事に気づいた。
何でも無い道路の両脇に、何故かブロックが高々と積み重ねられており、不自然なオーラを放っていたのだ。
もしかしたら、この周辺一帯が、誰かが夢想して廃材で築いた、一種のパラダイスなのかもしれない。


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