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[2021.08.01]

おちんこ地蔵尊
~秩父霊場に鎮座する性なる珍像~



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近年の埼玉県秩父市は、幽霊少女が登場する例の感動アニメの聖地として知られ、象徴的な荒川の旧・秩父橋が特に人気だ。


作品名は『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』、通称「あの花」。
秩父が舞台の青春群像劇で、2011年春にテレビ放送された。
ドラマ性が高い切ないストーリーと、図らずも震災の喪失感が漂う時期とマッチした事もあってか、 普段アニメを観ない層まで巻き込むほどの感動と話題を呼んだ。


その為、今も聖地巡礼に訪れるファンが後を絶たず、 作品は秩父のアイコンの一つと化し、巨大ロケット花火で知られる「龍勢祭り」や、 町興しのイベント、PRなどの多方面で積極的に活用されている。


作品内でも印象的に登場する “あの橋”を渡った少し先には・・・


「徳雲寺」という秩父十三仏霊場の札所があり、世にも珍妙なお地蔵様が鎮座しているのだ。


秩父十三仏は別名「とみまいり」とも呼ばれ、1980年に始まった比較的新しい霊場。
秩父盆地に点在する13の古刹から形成されており、約108kmの巡礼路となっている。


それぞれの寺には、初七日から三十三回忌まで13回の追善供養仏事に配当した仏や菩薩、 即ち十三仏が安置され、参拝者に家門の繁栄や福徳円満をもたらすという。
なお、5番札所である「金龍山徳雲寺」の本尊は勝軍地蔵菩薩。


そんな寺の山門の横に、 誰が呼んだか、その名も「おちんこ地蔵尊(世継地蔵尊)」がある。
上品に“お”をつけても下ネタだが、別にふざけている訳ではない。


列記とした子宝や安産のご利益がある性神で、伊勢神宮の奥の院・金剛証寺に祀られた地蔵の分身(※1)として奉納されたのだという。

※1:分身としているが、金剛証寺のおちんこ地蔵とはだいぶ形状が異なる。
オリジナルは一般的な地蔵と同じ石造りで、股間に突起がある大小2体が祠に奉納されている。
造形のインパクトは正直乏しいが(以前道端で見かけた珍像の方が衝撃的だった)、 率直過ぎる名称にはつい興味を引かれるというものだ。


山門付近の祠に安置されたおちんこ地蔵は、割と新しく見える小柄な木像で、穏やかな表情を浮かべる。


そして「安心してください、履いてませんよ!」と言わんばかり(?)に、股間を大胆に露出している。


通常の地蔵に比べ、妙にスラッとした下半身なのが印象的だ。


おちんこ地蔵自体のおちんこは、せいぜい小便小僧くらいの可愛いモノだが、 それを補強するかのように、周りにはアダルトな男根も複数陳列され、おちんちんランドと化している。


中には女陰に挿入された男根のようなものまであったが、邪な心の持ち主にはそう見えるだけで、単なる気のせいなのかもしれない。


言い伝えによると、昔々、伊勢国に“徳ヱ門”と“さわ”という漁師の円満夫婦がいたが、子宝に恵まれず、 地蔵に祈る日々を送っていた。
そんなある夜、夫婦の夢枕にフルチンの地蔵が現れ、「汝らに子宝を授けん」 と宣言。 すると後に、本当に健やかな子宝が授かった。


これをとても喜んだ夫婦が、夢に現れた地蔵の姿を石に刻み、金剛証寺に奉納したものが、オリジナルのおちんこ地蔵という事らしい。






地蔵がフルチンで現れた理由は結局謎だが、“10年後の8月”(※2)であるこの夏、聖地&性地巡礼してみるのも悪くないだろう。

※2:2021年は「あの花」放送10周年であり、 EDテーマ『secret base ~君がくれたもの~(10 years after ver.)』のこの歌詞にちなみ、8月に秩父で記念イベントが開催予定。
ただし、新型コロナウイルスの状況によっては変更となる可能性があり、また、現地へ訪問する際は感染対策を徹底すべし。


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