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[2021.02.03]

大国寺
~南国の手作りコンクリ仏パラダイス~



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九州の南端・薩摩半島の美しい開聞岳と東シナ海を背に、 広大な茶畑が続く細い山道を上っていくと、謎の巨像が突如出現する。


道端にデーンと鎮座するその姿は、極彩色の“お坊さん”だ。
高さは3階建てのビル位あり、異質な存在感に圧倒される。


ここは鹿児島県枕崎市にある真言宗の寺院「国見山大国寺」の山域で、巨像は宗派の開祖・弘法大師(空海)を象ったもの(※1)。

※1:弘法大師(空海)は平安時代の僧侶。四国八十八ヶ所霊場を開山した事でも知られる。
弘法大師が開いた真言宗は、仏教の真髄の教えを説く密教の宗派で、宇宙の本体であり絶対の真理である「大日如来」が本尊。


訪問時は(2019年)1月で、入口に門松があって少しシュールだった。
巨像の土台部分には扉があり、内部を覗くと物置のようになっていた。


大き過ぎる大師から数百m先の境内にも、あちこちに大小様々なコンクリ仏像が100体超並び、言わばファンキー・ブッダ・パラダイス。


最も目を引くのが、建物の屋根の上に乗る大師像(再)。
ちょうど信者達が参拝中だったが、どうしてもテーマパークっぽい雰囲気が漂う。












山門のミニ八十八ヶ所霊場(※2)を過ぎると、 他にも如意輪観音、千手観音、釈迦如来、弥勒菩薩、白龍観音、大日観音などのカラフルな像が、 縦横無尽の配置かつ漫画風のとぼけたご尊顔(※3)で出迎えてくれる。

※2:参拝すると、四国八十八ヶ所霊場を巡ったのと同じ仏力が得られる、良コスパのシステム。

※3:余談だが、この地域一帯では、“田の神さあ”(田んぼの神様)や“仁王どん”といったユルい造形の像が割と密集している。


ローソク祈願所なる建物の屋上で参拝出来る、高さ8mの大仏像。
やる気が無さそうな表情だが、1975年に海の方へ向けて設置してからというもの、 元々頻繁に被害を受けていた枕崎に、大型の台風があまり上陸しなくなったという。まさに守護神的存在だ。


境内には、お百度参りスペースや、弥勒菩薩の魂が入った弥勒石、豊富に棲み付く寺猫などの見所も。








とりわけ参道の階段周辺の仏像密度が凄く、 ゆるキャラっぽい地蔵や犬猫の像(動物墓がある)も混在し、メルヘンな雰囲気すら漂う。










また、頂上の涅槃像が横たわる青い龍門の先には、独特な壁画で彩られた本堂と大師堂が建ち、空海や宇宙の真理を感じさせる。


これら味わい深いヘタウマな像や絵は、1964年に同寺を開山した住職・川上英明師(※6)が、仏の声を聴きつつ手作りしたものらしい。
本堂ではなんと住職Tシャツなどのオリジナルグッズも購入可能。




住職は高野山で修行した後、大日観音の姿を目にしたこの地を密教の霊場と確信し、大国寺を開山。
出土した石に胎蔵界大日如来の姿を見出し、手作りで御本尊として祀ったという。








寺は九州八十八ヶ所百八霊場の第97番札所に当たり、現在では国内14ヵ所、海外6ヵ所の別院を持っているらしい。
現在はイタリアから来日した僧侶が後継者となり、彼が制作した像が増殖中との事。今後の更なるアップデートが楽しみな珍寺である。


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