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珍スポ界隈で“幻の人形師”として知られる浅野祥雲(※1)。
彼の作品群は東海地方の複数箇所(※2)に点在しており、中でも最大規模の施設が愛知県日進市の「五色園」である。
※1:本名・浅野高次郎(1891~1978年)。
岐阜県生まれのコンクリート造形作家で、“東海珍スポットの父”の異名を持つ。
元々は土人形職人だった父親の影響で土人形を作り始め、
やがてより大型の作品を手掛けるべく、コンクリートを素材とした等身大の塑像という、独自の創作スタイルを編み出した。
※2:とりわけ五色園、桃太郎神社、関ヶ原ウォーランドは「祥雲3大聖地」と見做されている。
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大安寺という寺院にある日本唯一の宗教公園で、広大な敷地内(※3)のあちこちに100体以上ものコンクリ像が並んでいるのだ。
1934年(昭和9年)、浄土真宗の開祖・親鸞聖人にまつわる逸話を視覚的に伝道すべく、初代住職・森夢幻により創設された。
※3:愛知万博の会場にも程近い同地の面積は約20万坪で、実に東京ドーム15個分に及ぶ。
五色園という名が5種の樹木(松・竹・梅・桜・紅葉)の彩りに由来するだけあり、丘陵を丸ごと抱える緑豊かな公園である。
かつては今よりも広かったらしく、温泉や動物園まであったとか。
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入口は高速の料金所のような雰囲気で、
サファリパークの如く直接車で園内を巡る事も可能。
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園内の道端では平安貴族が宴を催し、原っぱでは僧侶が車座になり・・・
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橋の上では武士が対峙し(※4)、崖上では山伏が戦隊の如く佇み・・・
※4:こちらはもはや親鸞聖人と関係なく、豊臣秀吉の少年時代である日吉丸の逸話を表している。時代も違うしカオスである。
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木陰では般若が鉈を振り上げ、池の畔には大蛇化した老師がいたり、丘の中腹には仏像が布団で寝ていたりなど、
それぞれの不思議な名場面がジオラマで再現されている(※5)。
※5:全部で24場面あるらしい。
コンクリ像は目立つ場所だけでなく、荒れた山道や雑木林の奥に隠れている場合もあり、余す事なく拝観するのは結構骨が折れる。
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コンクリ像の数々は、ドラマチックで圧巻の迫力。
それでいて、公園遊具のような極彩色の塗装(※6)も手伝ってか、シリアスな表情なのに何処かユーモラスを感じさせる。
※6:経年劣化で色褪せる為、コンクリ像は有志のボランティアによって、不定期にペンキでお色直しされているようだ。
それ故、訪れる時期によっては作品の印象がだいぶ異なる模様。 |
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寺から依頼を受けた祥雲は、自身初の物語性がある作品として、
10年がかりで約2mのコンクリ像を大量に制作し、名古屋市内の自宅から牛車に積んで20km程離れた同地まで個別に運んだという。
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祥雲の独特な作風を確立した黄金期の作品達が、シュールな魅力を放ちながら、墓参りに来た人々を見守るテーマパークなのだ。
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