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[2020.11.07]

FUTURO
~森の奥に隠された謎の廃UFOハウス~



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遠い昔、遥か彼方の銀河系から飛来した宇宙船――そんな風に見える薄汚れた白い楕円形の物体が、森の中に人知れず存在している。
まるで映画『E.T.』のワンシーンのようでもあり、その筋には有名な「レンデルシャムの森事件」(※1)を髣髴とさせる光景でもある。

※1:1980年にイギリスの森で発生した未知との遭遇。
「イギリス版のロズウェル事件」とも呼ばれ、多数の軍関係者が目撃し、公式文書や録音テープが公開されている。詳しくはリンク先で。


この奇妙な建物は、北欧フィンランド生まれの小型移動式住宅「FUTURO(フトゥロ)」。通称“UFOハウス”である。


1968年にフィンランドの建築家マッティ・ スーロネン氏が、「スキー場の斜面に山小屋を建てたい」という友人の要望を受けて設計した。
道路が無いような僻地でも、ヘリコプターで運べる軽量さや組み立て易さ、諸々の科学的数値に基づき検討された結果、 この高さ4m、幅8m程のプラスチック製の円盤型が理想的となったという。


20世紀特有のレトロフューチャーなデザインが注目を集め(※3)、日本にも1970年代に2機輸入され、この別荘地の森に着陸した。

※3:造られたのは僅か数十軒だが、世界中に輸出されている(現存は18軒とも)。
しかし、維持・管理が難しいのか放置され、廃墟化している物件も少なくない。
中でも割りと有名なのが、台湾・台北の海岸沿いにあるUFO群だろう。
リゾート地のレジャーハウスとして設置されたが、 今では「幽浮船廃墟」と呼ばれる状態に。
ただし、そもそも純正のFUTUROではなく、模造建築という話もある。




その後、1機は2000年代初頭に某専門学校に売却(※4)されたが、もう1機は乗組員を失い忘れられ、長年所在不明となっていた。

※4:オーナーがカラオケルームとして使用していたらしいが、放置気味だったせいかレストアした後、当時500万円で売りに出された。
現在は群馬の専門学校の敷地内に設置されている。


しかし近年、海外の廃墟マニアによって再発見(※5)され、謎の廃UFOハウスとして、一部ネット上をざわつかせたのである。

※5:最初に発見したのは2001年、雑誌『CasaBRUTUS』の編集チームと思われ、同誌の北欧デザイン特集などで記事が掲載されている。


ドーム状の内部には、中央に暖炉用の円卓があり、それを取り囲む座席が窓辺に連なり、名前通り(※6)の近未来的SF感が漂う。

※6:「未来」を意味するFUTURO。
宇宙開発に夢や希望を抱いた、60年代のスペースエイジを象徴する建築として評価が高い。
しかし、1973年のオイルショックの影響で製造中止となり、21世紀に至る前に歴史の表舞台から姿を消し、幻の住宅となった。 あまりにも早過ぎた未来だったのだ。






半世紀近く経っている事もあり、窓が割れたり床の崩落などの劣化は生じているものの、頑張れば修復可能な程度のように思われる。




手狭だがトイレやシャワー、洗面台、台所、寝室など、一通りの機能も備わり、見た目だけでない実験的な居住空間だった事が伺える。


本来1980年頃に解体予定だったが、木が邪魔で見送られ、今日まで取り残された模様。意外な未来に不時着した、稀有な物件だ。


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