> 魔界冒険記 > 魔界地図 -WONDER WORLD- > Article


[2020.05.02]

浄慶寺
~自由過ぎる羅漢像の庭~



  • このエントリーをはてなブックマークに追加

“あじさい寺”の異名を持つ通り、神奈川県川崎市の「浄慶寺」(※1)は、毎年美しく咲く紫陽花の名所として知られている。

※1:江戸時代に創建された浄土宗の寺院で、山号は麻生山。


1967年頃から植えられた紫陽花は現在、1000株を超えているという。


住宅街の裏山に位置する為、静寂が漂う秘密の花園的な雰囲気には心が洗われる。


だが、そのもう一方で、緑豊かな境内のあちこちに、ユニークな羅漢像が多数並ぶ“おじさん寺”でもあるのだ。


山門を抜けて周囲を見渡すと・・・






植物に紛れて小柄な羅漢様達が、 飲み食いしたり、尺八や将棋、腕相撲を行うなど、思い思いにくつろぐ姿が飛び込んでくるが、 これらは比較的まだオーソドックスな造形と言えよう(※2)。

※2:どうでもいいが、この多様性はなんとなくお菓子の「コアラのマーチ」を髣髴とさせる。
レアキャラのラッキーコアラならぬラッキー羅漢も、何処かにいるのかもしれない。






しかし、サッカーボールやゴルフクラブを携え、トランプのババ抜きに興じ、携帯電話やデジカメを操り・・・


テレワーク(寺ワーク?)の如くノートPCを駆使する様子など、 妙に現代的なモチーフの像も混じっており、二度見必至の状態なのである。


さらに、何故かタケノコと同化した者までいて、脱力感に襲われる。
苔生して自然に還りがちな羅漢像の、究極形態なのだろうか。


また、隣接する高台の秋葉神社にも・・・


中の人が不穏な感じの獅子舞や、味わい深いにも程がある狛犬などが参拝者を待ち構えている。


これらの像は、参拝者に楽しんでもらいたいという住職の思いから、十数年かけて増殖したらしい。


毎年1体ずつくらいのペースで石屋が新作を納品してくるらしく、デザイン自体は基本お任せだという。


余談だが、働かない人を「羅漢様」(働かん→らかん)と皮肉る俗語がある為、 このフリースタイルな感じは、ある意味で正しい状態とも言えそうだ。


そもそも羅漢とは「阿羅漢」の略称であり、 元々はサンスクリット語で“煩悩を殺した者”を意味する「アルハット」に由来する。


小乗仏教では、釈迦の弟子の中で最も段位が高い聖者(高僧)とされる。ちなみに病にかかるのは罹患である。




その割に、ここにいる彼らは俗物的で、あまり悟っているようには見えない・・・が、 何だか楽しげな親しみ易い存在として、人々に癒しを与えているようだ。


■関連記事
台湾珍寺弾丸ツアー~四次元ゴッドが座する謎のカオス寺~
瀬戸内なんじゃこりゃツアーズ②~これが地底マントラだ!!四国霊場で謎の暗黒仏像洞窟を完全踏破!!~

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ人は、多分こんな記事も読んでいます。

Back number

Maps

Archives

News Headline

ページのトップへ戻る
inserted by FC2 system