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真っ青な空と海が美しい沖縄県の宮古島には、そんな爽やかなイメージとは裏腹に、“片足ピンザ”なる恐ろしい妖怪の都市伝説がある。
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島の方言でピンザ=ヤギを意味するとおり、一本足のヤギの姿(※1)をした妖怪で、
夜中に「ガングルユマタ」(※2)と呼ばれる十字路に出現し、鳴きながら猛スピードで人間を追いかけてくるらしい。
そして、逃げ切れずに頭上を飛び越えられた者は死ぬという(※3)。
※1:「じゃあそれは可哀想なヤギだろ」という意見もあるかもしれないが、あくまで妖怪である。
とはいえ、元々は普通のヤギだったようで、
農家の食用だった個体が足を切られながらも脱走したとか、自ら誤って足を折って闇堕ち(片足捻挫)したとか、複数の出生譚が語られている模様。
また、1本足ではなく3本足であるとも。
※2:飛び越えられると3日以内に死ぬとか、姿を見ただけで呪われるとも。
また、頭の上を跨ぐとか、背中に抱きついて脅かすだけともいわれる。
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ガングルユマタのユマタは、
宮古島の方言で四つ角を意味する。 ガングル(ガングリ)は諸説あるものの、
片足ピンザが現れる時の音や、ガン小屋(棺桶のような死者を運ぶ道具を納めていた)があった場所を指すともいわれている。
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島内で有名な場所らしく、タクシーの運転手に「ガングルユマタ」と行き先を伝えても通じるとか。
しかし、噂の現場は一見何の変哲も無い住宅街の交差点で、少なくとも昼間は心霊スポット的な嫌な雰囲気は全く感じられない。
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しかも、以前は交差点の片隅に、味わい深い外観の床屋(何故か三線も修理・販売)が建ち、
ささやかな見所となっていたようだが、それすら訪問時は解体済みの更地と化していた。
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代わりに道端には、ウサギ型の簡易ガードレールが嘲笑うかのように並び、
片足ピンザならぬ“両足ピョンタ”といった感じの様相を呈していて、脱力であった(あまりに被写体が乏しく、つい多目に撮影)。
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なお、同地は思いのほか車の交通量が多く、あるいは子供が遅くまで出歩いたり、交通事故に遭わないよう戒める寓話(※3)として、
このヤギの妖怪が生み出された可能性が考えられる。
※3:噂の発祥時期は昭和40年代らしく、国内の乗用車が急速に普及し始めた頃と重なる。
当時はまだ信号などの整備が不十分で、歩行者が死亡する交通事故の件数も激増していた。
あくまで仮説だが、そうした時代背景もあって、身近な存在のヤギが痛々しい姿となった化物を登場させる事で、
警鐘(ベル)を鳴らそうとしたのかもしれない。
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だがしかし、怪異は油断していると襲い掛かってくる為、
「片足ピンザなんか単なるメェ~(迷)信だろw」とか思って、走りにくい靴で肝試しに行かない方が賢明だろう。 |
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ところでヤギは、古くから生贄にされる動物(スケープゴート)の代表だが、
同時にバフォメットのような悪魔の象徴としてのイメージが強い。
これはキリスト教の台頭に伴い、それまで崇められていたエジプト神話の山羊神アモンなど、
異教の神々が邪神化された影響と考えられている。
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