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愛媛県宇和島市の住宅街にある「多賀神社」は、“世界一の性資料館”を自称する「凸凹神堂」が併設された聖地(性地)である。
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古代遺跡のような雰囲気も漂う、鬱蒼とした境内のあちこちには、お約束通り男根をモチーフにしたナニかが多数並んでいるのだ。
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主祭神はイザナギノミコトで、古来より延命栄寿、治病子授けなどに霊験あらたかとされる。参道の特徴的な鳥居付近には・・・
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トルハルバン(※1)っぽい像が鎮座しており、早速独自の宗教的世界観を感じさせられる。
※1:韓国・済州島の守り神で、島内各所にモアイの如く鎮座している石像。
名前は「石製の爺さん」を意味し、とんがり帽子を被った丸っこい人物の姿をしているが、それ即ち男根のメタファーであり、
鼻を触ると子宝のご利益があるともいわれる。
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こちらは宮司の自宅だろうか。
趣深い雰囲気ながら、謎のオブジェやテキストがあったり、色々と違和感がある玄関周りだ。
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木陰を注意深く見回すと、手彫りらしき石仏がさり気なくあるが、そのうち何体かのシルエットはどう見てもイチモツ。
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大正時代、春画家の7代目宮司・久保盛丸(モリマル)氏が、
「性は宗教なり、哲学なり、性は道徳なり、科学なり、性は生命なり、人生なり」の思想のもと、
「大生殖宗」なる独自の宗派を開基した。
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そして、
“陰と陽に関する東洋一の研究道場”として、この「凸凹寺」を作ったのである。
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疑珍暗鬼(※2)に陥りつつ、一見普通の拝殿で拝もうとすると・・・
※2:何でもかんでも男根の形のように見えてしまう、エロ系珍スポット特有の症状を指す造語。
特に石や木などの自然の造形物に対しては、邪な疑いの目が強くなる。
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建物の側面には一際リアルな造形の金精様“大陽根依代”が、まるでミサイルの如く雄々しく安置されている。 |
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そして境内の一番奥、番人のように韓国石人像(聖徳太子っぽい)が立ち並ぶその先の建物が、噂の凸凹神堂(凸凹寺)である。
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3階建ての館内には、先代の宮司・久保凸凹丸(アイマル)氏が世界各地から蒐集したという、約5万点もの性文化財(民俗・性風俗関連の資料文献)が所狭しと展示収蔵されている。
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凸凹丸(なんと本名)氏が父・盛丸氏の遺志を継ぎ、インディ・ジョーンズの如く集めた秘宝の数々は、
木像や石像、曼荼羅などの性器崇拝の奉納物から、写真、絵画、春画、民芸品、SM道具といった日常卑俗的な物まで多岐に及ぶ。
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それらが手書きの説明文とともにショーケースや壁、天井に至るまでズラッと陳列されており、
悟りを得るべくじっくり眺めようものなら、見学に丸一日を要する程のボリューム(※3)。
※3:現在は凸凹丸氏の長男・盛浩氏が宮司を務め、親子三代に渡って管理を行っている。
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とりわけ最上階の部屋は、木彫五百性像(結合中の五百羅漢)が大量にあって圧巻の迫力なのだが・・・
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“撮影料2万円”につき、残念ながら内部の写真は無い。
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神社なのに「破廉恥な!」と思うかもしれないが、『古事記』の国生み神話もあるように、聖地と性は何かと縁が深いのである(※4)。
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※4:日本神話では、イザナギとイザナミの男女2神が交わって島(即ち日本)が産まれたとされ、
聖地は往々にして、山や洞窟、池などの凸凹(男女のシンボルを指す)な場所にある。
例えば、子授け祈願や生まれ変わりの修行たる胎内巡りは、狭い洞窟を母体の子宮に見立てて這い出る訳だが、
そうした生命の源=全てのはじまりの地である事こそが、聖地たり得る理由なのだ。
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