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[2020.01.29]

明治大学博物館
~鉄の処女が展示される刑事部門~



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幸い現代で使われる事は無いはずだが、東京都千代田区の「明治大学博物館」には、身の毛もよだつ拷問具が展示されている。


一見そんなものとは無縁そうな、明治大学駿河台キャンパス内の近代的ビル「アカデミーコモン」地下2階に降りると・・・


大学に付帯する形で2004年に開館した博物館となっており、数多の常設展示が無料公開されている。




広々とした館内には、陶磁器などの伝統工芸を扱う商品部門、旧石器~古墳時代までの資料を扱う考古部門がある他、 何やら不穏な空気が滲み出た一画“刑事部門”がある。






ここには、人権抑圧の歴史を語り継ぐ実物資料として、十手といった江戸時代の拷問・捕者具、磔柱やさらし首の台・・・






ギロチンを始めとする海外の拷問具など、血生臭い展示物の数々が並んでいるのだ。


中でも目玉なのが、“ニュルンベルクの鉄の処女(アイアン・メイデン)”の国内唯一のレプリカである(※1)。

※1:1932年に前身の刑事博物館が、翌年刊行の『刑事博物図録』に収録する為に作成。
同様の複製品がヨーロッパ各地の犯罪・拷問博物館に存在するが、 いずれも1857年に伝説を基にして作られた、ドイツ・ニュルンベルクの鉄の処女の量産型らしい。


鉄の処女は、中世ヨーロッパで使われたとされる伝説上の拷問・処刑具で、 高さ約2mの聖母マリアらしき人形内部に罪人を入れ、扉を閉めて長い針で刺し殺すエグいシステムで知られている。


オカルト的には、実在した吸血鬼と呼ばれるハンガリーの伯爵夫人エリザベート・バートリが、 “処女の血を浴びると肌が綺麗になる”と思い込み、捕らえた村中の若い娘の血を搾り取った道具とされている。


ただし諸説あるが、オリジナルは現存せず、公的文献にも記録が無い事から、こうした拷問具は実在しなかったという見方が強い。
レプリカのニュルンベルク版も、中の針は後付けで、現在では市中で晒し者にする“恥辱刑”(※2)に用いられたと考えらているようだ。

※2:恥辱刑とは、罪人を「恥辱の樽」という筒状の懲罰具に入れ、 頭と足だけ出した格好で市内の広場に立たせて晒すという、かつてヨーロッパで行われた刑である。
一説には、この恥辱の樽を元にして鉄の処女が作られたと考えられ、拷問具としての伝説に根拠は無い模様。


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