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[2023.05.24]

下野星宮神社
~胎内巡りが出来る栃木のトトロ~



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© 1988 Studio Ghibli

幼い姉妹とお化けの交流を描いた、ジブリアニメの名作『となりのトトロ』。
その名は、宮崎駿監督の知人の娘が、所沢を「ととろざわ」と発音した事が由来とも言われ、 昭和30年代の埼玉県所沢市(狭山丘陵周辺)が作品舞台のモデルとされている。 だが、実は隣の栃木県にも、「トトロ神社」と呼ばれる聖地がある。
下野市の田園地帯に鎮座する、正式名「下野星宮神社」である。


あちこちウロウロしていた為、神社に着く頃には、すっかり暗くなってしまった。
図らずも、魔物に逢いやすいとされる逢魔が時であり、何処かトトロ作中の里山の風景ともオーバーラップする。


下野星宮神社の鳥居。
何かしら取り付いているが、それよりもまず、少し離れた場所にある“異物”の方に、先程からずっと目を奪われていた。


と言うのも、道の前方には、明らかに見た事がある感じの巨大生物が、鳥居よりも象徴的に立っているのだ。


そう、森の主のモフモフお化けにして、国民的キャラクターの「トトロ」である。


不思議な事に、 実物大と思しき約3mのオブジェが、ジブリパークの「どんどこ森」の如く、神社前の道端にデーンと鎮座している。
こうして目の当たりにすると、異形の神像のようにも見える。


平べったいパネルだが、一応サツキとメイの姉妹や、中トトロと小トトロの姿も。
ちなみに以前は、実際の車を改造したネコバス的なものもあったようだ。


軽い気持ちで下腹部の入口からトトロの体内に入ると、 そこには謎の祭壇があり、外側のほんわかした雰囲気とのギャップに少し戸惑う。
「トトロ=死神で、サツキとメイは死亡した」とする、つまらない都市伝説(後にジブリが公式否定)をなんとなく思い出した。


賽銭箱には、トトロの好物であるドングリが大量に奉納され、土着信仰感が漂っていた。 まさに「トトロ神社」――だが、ここで一体何を願えと言うのだろうか。


そして奥には、緑の幕に覆われた通路が伸び、胎内巡り風になっていた。
メイが初めてトトロと出会う際に通る、樹木のトンネルをイメージしているのだろう。


トンネルを抜けると、そこは境内参道の鳥居前。
しかし夕日が沈みかけの薄暗い中、大人が子供用遊具のような所を探索するシチュエーションも、 それはそれでなかなかホラーである。


先程もチラ見したが、鳥居には「へび注連縄」が取り付けられていた。
脱皮を繰り返す蛇は古来、復活と再生を表す生き物と考えられ、長寿や財運などの象徴であった。 故に、この注連縄に触れると金運を授かるとの事。
風の通り道だったのか、右端の紙垂だけずっと激しく揺れ続け、神秘的な演出に一役買っていた。



“人々の背負う星々(一生)を守る”という星宮神社は、厄除方位除などを司る磐裂神・根裂神・經津主神が祭神。
大同2年(807年)に、藤原鎌足の子孫・飛鳥井形部卿が院旨の命により、開拓守護神として祀った事が始まりだという。
トトロの推定年齢(初期設定は1302歳)に近いくらい、歴史がある神社なのだ。


この日最初に訪ねた、 「強卵式」の鷲宮神社にもあった「しもつけ夢福神」。
悪夢を食べる中国の霊獣「バク(貘)」の化身で、県内9ヶ所の神社に鎮座しているそうだ。 それぞれに特徴があり、当社は方位除の夢福神らしい。
杖がスター仕様だったり、暗がりで撮ってもポップな存在感だ。


すぐ近くには、何やら「天地石」なるパワーストーンが。
なんでも、この石の上に乗ると鉄アレイが軽く感じるという。
しかし目の前で、神主が必死に落ち葉を掃っていたので、乗らずにスルーしてしまった。


神主曰く、どうやら外のトトロは、近所の酒屋のご主人が作ったものらしい。
同地では毎年夏に「古山のカカシ祭り」なる催しが行われ、農道(神社の旧参道)沿いに手作りのカカシが多数設置されるそうで、 元々トトロもその作品の一部だったという。しかし好評を博したので撤去されず、そのまま神社に奉納されたのだとか。


実は神社に来る途中、たまたまその酒屋に立ち寄っていた。
同じ町内にある「柏崎酒店」である。


年季が入った建物の入口には物が置かれ、しばらく営業している様子はなかった。
基本的には酒屋だが、ご主人の骨董品蒐集の趣味が高じた結果、半分は雑貨屋と化していたようだ。


訪問時はすぐに気づかなかったが、よく見たら横にあるバス停の標識が「七国山」と表記され、 トトロ作中に登場する地名となっていた。


建物の側面に回ると、「PB GUNDAM」と書かれた看板があり・・・


何故かベランダで、仮面ライダーV3が変身ポーズをキメているではないか。
恐らくこれらも、カカシ祭りの為に作られたものなのだろう。


さらに奥の木陰には、ファーストガンダムの姿が。
看板に書かれている「PB」とは、すなわち素材のペットボトルの事らしい。


さすがにもう無いか・・・と思って目を凝らしたら、デカいカブトムシもいた。
隣りの壬生町には、等身大ガンダムが見所の「おもちゃのまちバンダイミュージアム」があるなど、 この辺りは子供が喜ぶ要素が多いエリアのようだ。


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