> 魔界冒険記 > 飛びだせ!魔界ウォーカー > Article


[2018.09.12]

魔界廃墟オデッセイ②
~恐怖と戦慄のキューピーの館~



  • このエントリーをはてなブックマークに追加

岡山県岡山市には、「キューピーの館」と呼ばれる謎の廃墟がある。
濃厚そうな名前の通り、内部にはキューピー等の赤ん坊の人形が大量に並んでおり、 あまりに不気味過ぎる状態から、県内屈指の心霊スポットとして恐れられている。
そんな訳で、この物件もまた、実に探索したくなる物件なのである。

■前回まで
魔界廃墟オデッセイ①~湖畔に聳える謎のナチス博物館~


2016年11月、我々は紅葉に染まる里山の畦道を歩いていた。
実は日本三大稲荷の一つとされる名刹・最上稲荷にも程近いのだが、 そんな素敵なパワースポットをスルーして、ドス黒い心霊スポットを目指す大人達の姿がそこにはあった。

いやー、道に迷って危うく関係ない山の中に行きそうになったぞい。

まさかGoogleマップのピンの位置が微妙にズレていようとは・・・。


キューピーの館


しばらく荒れたルートを進んでいくと、 ふいに草木の隙間から目的地の建物が現れた。

間違いない、これこそ誰が呼んだか「キューピーの館」じゃ。

可愛らしい通称とのギャップが激しい廃屋ぶりだね。


入口付近には目印の如く、何故かボロボロのサンタクロースが転がっていた。事件性を感じる絵ヅラに、現場の期待と不安が高まる。

まあ、そろそろクリスマスシーズンだからな・・・。

こりゃ、どっちかっつーと“苦しみます”じゃろ・・・。


草木で最初は気付かなかったが、近くには古い鳥居があった。
この先にはかつて社殿があったそうだが、崖崩れにより復興困難となり、別の場所に移築されたという。


横から見ると建物は半ばで断裂し、崖下に引っ張られるように後方が崩れかかっている。


さて、意を決して内部に足を踏み入れると、異様な光景が早速飛び込んできた。


無造作に折り重なった人形の数々。
心なしか空気も重く、事前に調べて来たとは言え、いざ目の当たりにすると思わず息を呑む。

また村が1つ死んだ・・・。

ここもじき腐海に沈みそうだね・・・。


元々この場所は神社の一部で、水子供養の為に赤ん坊の人形を奉納するお堂だったと云われている(安産・子宝祈願など諸説あり)。


人形によっては劣化が激しく、猟奇的なエグい状態になっていた。

どう見てもお化け屋敷です、本当にありがとうございました。

こりゃ凄いねえ。
奉納物も放置されると、こんな風になってしまうんだなあ。


ここの名の由来となったキューピー。
1909年にアメリカで誕生したローマ神話の愛の神キューピッドが元ネタのキャラだが、 主にマヨネーズの会社名(※)で有名な日本では、赤ん坊の容姿から水子供養の奉納物にもなっている。
ただザッと見回した感じ、所謂キューピー人形はこれくらいしかなかった。


【※脚注】正確な社名は「キューピー」ではなく「キユーピー」。

壁際にも人形が吊るされ、クレイジーとファンシーが同居する異空間を形作っている。


どうやら足元に散乱する人形も、最初は壁に吊るされていたが、やがて時間が経って落下したもののようだ。


それにしても、オカルト映えする人形が何体も転がっていて、わざわざ遠路遥々来た甲斐があるというものだ。

いいぞこの表情、完全に闇堕ちしてやがるじゃねーか・・・!

君は廃墟で、水を得た魚のようにバシャバシャと写真撮るね。


小さな賽銭箱や千羽鶴が無残にも転がり、元々は純粋な祈りの場であった事を伺わせる。


神社に対する寄付者の芳名も、今となっては虚しく残るばかりだ。


正面奥には祭壇があり、最も人形密度が高い空間となっている。

うわあ、めっちゃ沢山いるやん・・・。

ニコ動で見た通りのヤバい感じだね・・・。


天井からぶら下がる、おびただしい数の人形。
ソフビからぬいぐるみ製まで、大小様々な形状の赤ん坊が混在している。

まるで集団自殺した首吊り死体のようじゃ。

サラッと背筋が凍る事を言うんじゃないよ。


人形の中にはビニール袋に包まれたものもある為、なんとなく露店のような印象でもある。
しかし表面が汚れていたりするので、得体の知れない不気味さに拍車をかけてしまっていた。


うっかり夢に出てきそうな強烈な光景。
霊感のある人がここに来ると、人形の視線を感じたり、体調を崩したりする事もあるらしい。


また、ここに深夜肝試しに訪れた若者が、謎の足音を耳にしたり、 その場では何も起こらなかったが、後日、見える人から「赤ん坊が憑いてる」と指摘された・・・ なんていう怪談話もあるそうだ。

コイツら背中を向けたらこっそり動きそう・・・。

足元の人形を踏まないよう気をつけねば・・・。


祭壇前の別アングル。
最盛時にどれだけ人形があったのかは不明ながら、DQNに沢山燃やされたという情報もあった為、 荒廃している割りには、依然としてそれなりの数が残されていて、ある意味で安堵した。


こちらの壁には、赤ん坊の人形が一際密集して吊るされていた。
全体的に赤色でまとめられ、まるで『スイミー』の如く、これ自体が一つの大きな生命体のようでもある。


よく見ると、人形の体には日付と名前が書かれている。
不幸にも失われた幼い命の存在を、生々しく物語っているのかと思うと身震いする。

呪われたアナベル人形みてーな奴はいねえか?

かなり古いみたいだけど戦前のものかなあ。


祭壇の前を右に折れると、畳敷きの広間になっていた。
神主が寝泊りしていたスペースなのだろうか。


特にこれと言って何も無いが、 大き目の赤ん坊の人形が印象的に転がっていた。


手前の部屋と違って数こそ少ないが、 絶妙な配置でなかなかいい仕事をしてくれていた。


半分に千切れてぶら下がる人形。
まるで職人の仕業みたいな演出だが、どうしてこうなった。

やべえ、オモロい廃墟じゃな~!

やべえのは君の廃テンションだよ。


こちらはもう一つの部屋。
崩壊が進み斜めに傾き、トリックアート美術館みたいになっていた。


一番奥には他にも小部屋くらいのスペースがあった模様だが、 原型が無いほど崩壊が進んでおり、かつての面影は見受けられない。


窓辺からの眺め。
よく霊は水の近くに集まりやすいとも言われるが、 この物件も池の辺に位置しており、肝試しのロケーションとしては申し分ない模様。


と、その時だった!
突如、独観さんの身に異変が・・・!

ぐはあ!もう限界だあ!

えっ、急にどしたん!?

ちょっと!ちょっと!

なんと、撮影もそこそこに、親愛なる珍寺師匠が切迫した様子で何処かに行ってしまったのだ!怪奇現象の発生である!


という訳で、唐突にハイレベルな心霊スポットに一人取り残された。

まさか悪霊にでも取り憑かれたのか・・・!?


“曰くある場所で単独行動”というホラー映画的な死亡フラグが立ち、 もはやいつペニーワイズみたいな化物が出現してもおかしくはない・・・そんな不安を抱きながらも、仕方なく撮影続行。


せっかく貸切状態になったので、気兼ねなく内部の様子を動画で撮ってみた。どうぞご覧あれ。


純粋な祈りが皮肉にも生みだした、悲しき聖地の成れの果て。
もはや魔界と呼ぶに相応しいディープな空間が、確かにそこには存在していた。


こうして人間界に戻ると、 車で待つスッキリ顔の独観師匠と再会を果たしたのだった。

やあ、お互い無事だったようだね。

トイレ、間に合ったようで何よりっす。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ人は、多分こんな記事も読んでいます。

Back number

Archives

News Headline

ページのトップへ戻る
inserted by FC2 system