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極楽と地獄をつなぐお堀の橋(物乞いのおばさんつき)を渡ると、
「地獄のある場所」と記された看板がある。地獄庭園の入口である。 |
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園内にはおびただしい数の「プレート」と呼ばれるセメント像の群れがある。
今から20数年前に作り始められ、現在進行形でその規模を拡張中らしい。
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プレートはいずれもエグい拷問や責苦を受けていたり、明らかに人間っぽくない異形の姿であったりする。 |
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タイ語のプレートは、サンスクリット語のPretaを語源とする「死者の霊」、「冥界の人間」を意味する言葉である。
これらは水や食べ物が得られず飢えに苦しむ餓鬼であり、生前に様々な罪を犯した者が、その報いとして悪行の内容に沿った姿に身を落されているそうだ。 |
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最初に地獄庭園を作る際、コーム師がプランを出して
その頃寺で引き取って世話をしていた孤児達が実際に制作を行ったという。
孤児の何人かは職人となって今も寺の地獄拡張作業に精を出しているそうだ。 |
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こうしたプレートは大きく分けて17種類あるという。
仏教には五戒という良き人生をおくる為のガイドラインの様なものがあり、それを守らなかった者の悲惨な末路を具現化する事で、
戒律の大切さや、寺院や僧侶を敬う気持ちにさせる狙いがあるそうだ。
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木の根に取り込まれて同化してしまったプレート。 園内の数あるプレートの中でも、これは珍しいケースかと思われる。
そもそも頭が人間ですら無い。 |
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羞恥心というリミッターを解き放ち、本当の自分を曝け出すプレート。 |
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生前はきっと平気で人様の顔の前で屁ェこいてたタイプですね・・・。 |
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どうしよう、破壊衝動を抑えるのがやっとだわ・・・。 |
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こちらは生前に盗賊の首領であったプレート。 |
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顔でけええッ!1.5頭身とか何処のマスコットキャラだよ!? |
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この変なおじさん、なんとなく志村けんに似てねーか? |
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ニラヤバン(ヨマバン)と呼ばれる地獄の獄卒(鬼)。 赤いパンツを身に着けている事が多いそうだ。
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うほっ、ナイスガイなヒゲマッチョがいんぞ。ホモっぽいが。 |
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鬼の割になんか話せば分かりそうな人格者っぽいですね・・・。 |
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コイツらにはトップス(上着)を着るって概念がないのかヨ。 |
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生前に両親を罵り殴った報いにより、手がおっきくなっちゃったプレート。 |
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仏教にもとづく宇宙観がタイで初めてまとめられたのが
「トライプーム・プラルアン」=三界経というものである。
西暦1345年にタイ族初の王朝を建てたスコータイ王朝6代目リタイ王によって書かれたとされる。
地獄庭園はこのトライプームの説く世界観に基き表現されている。
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私はこんな殺伐としたパンイチの職場ごめんですがね・・・。 |
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三界経の三界とは、人間や動物が欲に捉われながら生きる欲界、
部分的に欲を超越したものが住む色界、全ての欲と形を超越し、精神のみで生きる者の場所、無色界からなる。
そして欲界=天、人間、阿修羅、餓鬼、畜生、地獄に別れるいわゆる「六道」のうち、
トライプームでは人間以下の世界の描写を具体的に行っている。
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地獄名物の釜茹で(鍋地獄)。
なお、地獄には罪の度合いにより償いの期間がそれぞれ異なるが、
地獄の一昼夜は人間界時間の900万年に相当し、数百兆年の刑期はザラであるという。
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鍋の中を覗くと、なんと賽銭箱がグルグルと回転している。
お金をタイミング良く投げ入れなければいけない、タイのお国柄ならではのユーモラスでゲーム感覚的なシステムだ。
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この様に、地獄寺では様々な所に隙あらば賽銭を徴収せんとするアグレッシブな機械仕掛けがあり、ひとつの持ち味になっている。
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タイ人とて財産を捨てる様なマネはせんでしょうに・・・。 |
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地獄巡りが公開された当時、地獄の住人であるプレートがほとんど全裸だった事が地元で問題になったそうだ。 |
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しかし、コーム師は「教典の通りに表現しただけじゃ愚か者めらが」と、そうした批判を一蹴したという。 |
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印象的な「ギュウ」と呼ばれる棘の木。 |
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生前に他人の妻や夫と不貞を働いた者は、血だらけになりながらこの木を登らなければならない。 |
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下からはヤリで刺され、木を登っても上で結局鷹に食べられちまってますが・・・。 |
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用途不明の巨大で不気味なニヤケ面。 |
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まさに阿鼻叫喚の地獄絵図。
タイ語で地獄は「ナロック」と呼ばれるが、これはサンスクリット語の「ナラカ」=奈落を語源とする。 |
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体育会系のノリで繰り広げられる残虐非道なスプラッターのオンパレード。 |
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子供が見たらトラウマになりそうな様々な拷問・処刑スタイルがこれでもかというくらい立体で表現されている。 造形がアレな事が、むしろよりおぞましさを漂わせているっぽい。 |
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地獄界には八大地獄があり、そのそれぞれに16の小地獄が取り巻いているという。
つまり合計136の地獄に、また別に存在する世界中間地獄を加えた137の地獄がある。
八大地獄は、等活→黒縄→衆合→叫喚→大叫喚→焦熱→大焦熱→阿鼻と、下に行けば行くほど過酷になっていく。 |
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ボイン地獄やハーレム地獄、萌え地獄とか無いんかいのー? |
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地獄の生き物たちを見守るプラマーライ像に、
地獄から天国に昇らせてほしいと願うプレートの群れ。 |
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生前に動物に対して酷い行いをしたと思われる鳥葬状態のプレート。 |
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でもさ、コイツら一度死んでる上でまたあっさり死んでるけど、この後どうなんの? |
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刑期を終えるまで延々と生き返させられるんじゃないですかね。 |
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不死身なら人数多いし、反体制派を組織して地獄に革命を起こせばいいのにな。 |
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園内の中央には、高々と腕を掲げシュワッチしている巨大な男女のプレートが一対聳え立っている。 |
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罰を受ける事を恐れない男のプレート。 |
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こちらは罪を恥らわない女のプレート。 |
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詳細は不明だが、雰囲気的に地獄の裁判官っぽいので閻魔大王的存在と思われる。 |
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ソーシャルゲームだったらレア度★3個くらいのカードじゃな。 |
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トライプームの教えによれば、人間は死ぬとまず閻魔大王のもとに連れて行かれ、大王の脇に控える4人の天人によって生きている時の善行と悪行が調べられるという。 |
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地獄を演出するのにもってこいの髑髏の山。 周りが強烈過ぎるので今更感はあるが。 |
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おどろおどろしい全裸のプレート。 1体作るのにどれくらいの手間暇を要するのだろうか。 |
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そろそろ見飽きてきたが、奥の方にもプレートの群れ。
人を妬み軽蔑し、貧しい者を見下す者、人の財産を欲しがったり奪ったり、布施を出し惜しむ者、
人が布施を出すのを止めたり、僧侶の財産を騙し取る者、
少なくとも生前にこの3つの悪行を行うと、死んでから餓鬼界に落され、痩せ細って骨と皮になり、極端に口が小さくなる為食べ物を食べられず、
裸で悪臭を放ちながら泣き喚く事になるという。
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貴重な読者様にコピペサイトみたいな煽りすんじゃねえッ! |
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広大な敷地面積を誇るワット・ファイロンウアの地図。 中央部に近い小さな赤い所が地獄庭園の場所だ。 |
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水牛の去勢手術を行ったプレート。
タイ族の国家が形成された13世紀から現在に至るまで、
タイでは上座部仏教が根付いており、その信仰は全く衰えていない様だ。
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園内は絶えず僧侶の気だるい読経がスピーカーで流れており、
田舎ののんびりした空気と気温の高さも相まって、なんとなく脱力感が引き起こされる。 |
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とりあえず地獄に堕ちたくないという気持ちにはなりました。 |
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まあ何が一番地獄かって言うと、結局この暑さじゃけどな。 |
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普通のガイドブックには載っていない地獄寺。
善い事をすれば善い事があり、悪い事をすれば悪い事があるという因果応報観が学べる教育の場でありながら、
おおらかでエッジの効いたアウトドアなアート空間になっていた。 |
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オマケ |
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まさかのマック店内でケサランパサラン入手。 |
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