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[2008.09.11]

軍艦島付近オデッセイ



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軍艦島――、正式名称・端島(はしま)。
長崎市中心部から南西約19kmの海上に位置する。
面積約6.3ha、海岸線全長約1200m、東西の長さ約160m、南北の長さ約480m。

1810年に石炭の存在が確認され、1890年から三菱財閥の所有となり、石炭採掘のため周囲を埋め立て、1916年に日本最初期の鉄筋コンクリート造りの高層アパートが建設された。
良質な石炭が取れ、日本の近代化を支えてきた炭鉱の一つであり、石炭出炭量が最盛期を迎えた1941年には約41万tを出炭。
人口が最盛期を迎えた1960年には5267人が居住し、世界で最も人口密度が高い土地であった。
炭鉱施設の他、発電所・住宅・学校・店舗・病院・寺院・映画館・理髪店などもあり、島内において完結した都市機能を有していた。

海上から見たシルエットが、旧日本海軍の戦艦「土佐」に似ている事から軍艦島と呼ばれてきた。
先の大戦で米海軍の潜水艦が本物の軍艦と勘違いして魚雷を撃ち込んだというエピソードは有名。
1960年以降は、主要エネルギーの石炭から石油への移行(エネルギー革命)により衰退。
日本の高度経済成長の終焉と重なって1974年1月15日に閉山し、当時約2000人まで減っていた住民は同年4月20日までに全員島を離れ、無人島となった。

現在、島内への立ち入りは禁止されているが、長崎市は観光客が上陸できるよう整備工事を行い、2009年春には一部を公開する予定だという。
尚、余談ではあるが、島内ではしばしば奇妙な現象が起こるという話もあり、サブカル誌等の一部では難攻不落の心霊スポット=ゴースト・アイランドであるとも目されている。

(Wikipediaより引用、一部改変)


長崎

久々の旅は半裸のマッチョ像からスタートじゃい!

いきなりそんな際どい触れ方やめんかッ!

てゆーか、何であたし達こんなとこまで来てんのよ、アホ猿っ!
いい加減ちゃんと目的を教えなさいよ!

どうして僕まで・・・。
まあ、どうせ実家に帰省する予定だったからちょうど良かったんですけども・・・。

フ、実はな、この長崎にある「軍艦島」っちゅーとこに、 戦時中に三菱が作った秘密兵器が隠されている・・・かもしれないとかいう極秘情報を偶然にも入手したんじゃよ!
人間界征服作戦を劇的に進める為にも、こりゃ何としてもその兵器を見つけ出すしかねえっちゅー訳じゃい!

露骨に嘘くさッ!

はあー?
ちょっと、そんなよく分からないもんの為に午前6時に集合したのー?勘弁してよね、まったくもう!

さすが閣下・・・、目の付け所がいちいちアングラ系ですね。
いやはや、素晴らしい。

てな訳で、軍艦島へはこの遊覧船マルベージャ号で向かいます。

あったあった、これこれー!

ちゃんと予約してある辺り、むしろ憎たらしいですね・・・。

どうせならディナー付き豪華客船クルーズとかに招待しなさいよねー。

そんなこんなで、小雨が降る天候に若干不安を抱きつつ、長崎港を出航します。横手に見える坂の上の町並みがいい感じです。


あっ、アレは海上自衛隊護衛艦隊第3護衛隊群第3護衛隊 DDG177「あたご」じゃないですかっ!
いやあ、こんな近くでイージス艦が見られるだなんて感激だなあー。

ああ、漁船と衝突事故起こしたやつか。

外海に出ると途端に波が荒くなり、船の揺れが激しさを増してきました。中には気分が悪くなって船内に移動する女性も。
つーか、気の所為かもしれませんが、「こんなのは慣れっこだぜ」的存在であるはずの乗組員の人も、「おいおい、今日はちょっとヤベえな」的な表情を微妙に浮かべていた様な・・・。

きゃあっ!

ガハハッ、「きゃあ」だってー!何を乙女ぶってんじゃよ、今更ー!

お黙りなさいッ!

ボカッ!

うこばちッ!?




おや!?
何処からとも無く、海の歌が聞こえてくるぞ!

こんな荒波の海で変な歌やめて下さいッ!
何やら込み上げてくるじゃねーですかッ!

『仮面ライダーⅩ』のテーマソングですよ。海見ると思い出すんです。
ほら、主人公が父の手によって海底1万mの水圧に耐えられる強さを持つ深海開発用改造人間カイゾーグになったりするんで。

平民って変わってんのね・・・。

しばらく進んでいくと、やがて乗客が何やら一斉に立ち上がり、カメラやケータイを構えだしましたよ。

あっ、どうやら軍艦島が見えた様ですよっ!

なんじゃとっ!?

おお、あれが・・・。

ふーん、どれどれ・・・。

港を出航してから3、40分程で、ついに軍艦島が僕達私達の前にその姿を現した!


それでは、国内最高峰の廃墟群の貫禄を、かろうじて撮れたアングルの動画でどうぞ!

これは生唾ものの廃墟っぷりですねえ。
さすが、マニアから“聖地”と崇められているだけの事はあるなあ。

たしかに、通常は忘らるるものであるはずの廃墟が、これ程の圧倒的存在感で多くの人を今も尚引き付けているというのは、なかなか感慨深いですね。

うーむ、ここの何処かに、そりゃもう、地球侵略を企む謎の異星帝国の宇宙艦隊とかをも余裕で蹴散らす程のものすんごいマクガフィンが隠されているはず・・・かもしれん!

ご自分でもあやふやじゃないですかっ!

それにしても、現代風の小洒落たカフェもカリスマ・パティシエによるスイーツショップもセレブ御用達の会員制エステサロンも海外ブランド直輸入のブティックも無いこんな場所で人間が暮らしていただなんて、俄かには信じられないわね・・・。

すっかり人間界の文化に馴染んでますね・・・。

よしっ!現時刻を持って、ここは大魔王軍島に改名じゃ!

はい?何つまらない事言ってんですか?

バッカじゃないの。

・・・・・。

一方、逆本は乗組員に教えてもらった、船酔いを緩和する腕のツボを静かに押し続けていた。

すいません、もう無理です・・・。

行きの時のテンションはどうしたッ!?

船内アナウンス:
大変残念でございますが、本日は波が荒い為、反対側に行く事は出来ません。何卒ご了承下さい。
では、そろそろ港に引き返したいと思いまーす。

えっ、上陸は出来ないの?

上陸禁止じゃ仕方が無いので、島内の様子は他サイト様から合法的にお借りした画像でお送り致します。他力本願も何のそのかよ。

画像提供:artworks

さらば、軍艦島。また会う日まで。

結局あたし達何しに来たのよ、このバカッ!

まあまあ、近代遺産を目の当たりに出来ただけでも良しとしようではないか。
かつてこの地に、人々の生活の営みや多くのドラマがあったという奇跡を胸に、我々は明日を生きていこうぞ。

何クソ似合わない良さ気な台詞並べて締めに入ってるんですか!
大体ここまでの経費いくらかかってると思ってるんですか!

アハハ、何か今頃になって晴れてきたし・・・。

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