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[2006.04.21]

『最後の晩餐』の謎


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『最後の晩餐』は、ダ・ヴィンチが、彼のパトロンであったドメニコ教会のロドヴィコ・スフォルツァ公の要望で描いた絵画である。
これは、イエス・キリストが磔刑の前夜に、12使徒と共にした晩餐の様子が描かれており、『ヨハネによる福音書』13章21節の、キリストが12人の弟子の中の1人、ユダの裏切りを指摘すると共に、パンとブドウ酒をとって「自らの体であり血である」と言う場面である。
絵は、イタリア・ミラノにあるサンタ・マリア・デル・グラツィエ修道院の壁画として描かれたもので、420 x 910 cmの巨大なものである。
1980年に世界遺産に指定され、世界中から多くの観光客が同地を訪れている。
ダ・ヴィンチは、1495年から1498年までの3年間で絵を完成させており、殆どの作品が未完と言われる彼の作品の中で、数少ない完成品の1つであり、また、遅筆の彼にしては異常に速いペースで作業を行ったと言えるであろう。
第2次世界大戦中は、爆撃によって修道院がほぼ全壊したそうだが、奇跡的に壁の絵は損傷を免れた。
しかし、その後3年間屋根の無いまま風雨にさらされていた為、結局激しい損傷を負ってしまい、1977年から1999年まで大規模な修復作業が行われた。
打ち上げの飲み会の様子じゃないんですネ。
絵画は当時食堂だった部屋の壁面の、床から2m程上に描かれており、一点透視図法を用いて部屋の様子が立体的に表現され、ある位置から見ると、絵画の天井の線と実際の壁と天井との境目がつながり、部屋が壁の奥へと広がって見える様になっている。
絵の下端に床の淵の様なものが描かれている事から、最後の晩餐を演じた舞台の様子として描いているとも言われる。
また、一点透視図法の中心点はキリストのこめかみの位置にあり、洗浄作業によってこの位置に釘を打った跡が見つかった事から、ここに釘を打ち、糸を張って描いたと考えられている。
12人の弟子はキリストを中心に3人1組で描かれ、4つのグループがほぼ等しい幅を持つ様に左右に等しく配置されており、遠近法、背景、弟子の表情、手の動き、目線、配色、構図等、あらゆる点で中央のキリストに注目が集まる様に工夫がなされているのだ。
また、この時代までの最後の晩餐の絵画は、聖人には必ず後光が射されていて、裏切り者のユダは後光が無かったり、横長のテーブルに1人だけ手前側に座る等の構図で、明らかに区別されて描かれていたそうなんだがね、ダ・ヴィンチは12人の弟子を皆テーブルに等しく配置し、後光も描かなかったのだ。
その代わりに、キリストの背後には明るい外部の景色を描き、ユダの手には銀貨を入れた袋を持たせ、顔に陰をいれる事で区別が計られている。
へえ、いろいろ考えてあるんですねェ。
ところで、キリストの12人の弟子は全員男性とされているのだが、君はこの絵に何か違和感を感じないかね?
違和感?
・・・・・えーと、ドアや窓が無くて、蚊とかゴキブリが入り放題な辺りですかね。
そんな事は気にしなくていい。
注目してもらいたいのは、キリストの向って左側にいる人物だ。
普通、キリストの左横にいるのは、弟子のヨハネであるとされているんだがね、よく見てみたまえ。
ゆるやかに垂れた赤い髪、華奢な体形、胸の膨らみが何となく確認出来ないか?
『ダ・ヴィンチ・コード』によれば、『最後の晩餐』は、13人の男性の絵であるという強烈な先入観の所為で見逃しがちだが、実は、その姿は明らかに女性であるというのだよ。
これは、男女の描き分けに長けていたダ・ヴィンチがしくじるはずもなく、意図的に描かれたものだ。
えっ、じゃあ、ヨハネは女性だったんですか?
そーじゃない。この人物はヨハネではなく、別人であるという事だよ。
でも、ヨハネじゃなかったら誰なんですか、この人は。近所の住人?
絵の構図の中心となるのは、キリストとこの女性であるが、腰の位置は密接しているのに、上体はお互い避けるかの様に離れ、大きく翼を拡げた「M」の字を2人で作っているのである。
『ダ・ヴィンチ・コード』によれば、この「M」は、キリストの隣りにいる女性が、マグダラのマリアであるという事を表しているというのだ。
しかも、それと同時に「マトリモニオ(結婚)」をも意味し、マグダラのマリアは、キリストの妻、または親密な関係の女性であったというのだ。
マグダラのマリアは、キリストと12使徒と共に旅をし、キリストが十字架に磔られ処刑された時も、その場に立ち会ったとされ、また、復活したキリストが最初に姿を現したのは、彼の墓を訪れていた彼女であったとされ、重要な場面には必ず彼女が登場している。
新約聖書のどの福音書にも、2人の男女の関係を示す様な記述は出てこないが、グノーシス派の福音書では、マグダラのマリアは12使徒よりも遥かにキリストに近く、その奥義を授かった女性とされているという。
また、『ピリポ福音書』には、マグダラのマリアを「妻」と連想させる様な単語で記してあり、キリストがしばしば彼女とキスを交わした、12使徒は嫉妬に苛立ち、不快の意を表したと書かれているという。まあ、ヴァチカンはそれらの文書の内容を否定しているがね。
また、当時のユダヤ人社会の習慣で、独身である事は非難された為、20代のキリストが結婚していなかった事は考えられないという。
へえ〜、そーなんだ。でも、そーなるとヨハネは何処に?
つまり、ダ・ヴィンチ的には、この人物は本来の意味ではマグダラのマリアとして描いたが、表面的には一応ヨハネ、という事にしていたのであろう。
何故ならば、当時は教会の信仰に背く考えは異端とされ、弾圧されたからね。
教会が否定しているキリストとマグダラのマリアの男女の関係を指し示す様な絵をそのまま描く訳にもいかず、仕方なく、こっそり表現したという事だ。
そうそう、君は男女を表すのに、現在使われている記号を知っているかね?
ええ、♂と♀ってのですよね。
実はそれらの記号は、男女を表す象徴の原型ではないのだよ。
男性の象徴は盾と矛、女性の象徴は美を映す鏡に由来していると多くの人が誤解しているが、本来は、男神の名である火星(マース)と女神の名である金星(ヴィーナス)を表す古代文字に端を発しているそうなのだよ。
この元々使われていた記号はずっと単純なものでね、「」が当初の男性を表す記号だ。
正式には剣の形として知られているが、実は簡略化した男根である。
そして、女性の記号はこれと逆のもので、「V」である。
これは子宮の形を現しており、「杯」と呼ばれている。そう、ここで出てくるのが、聖杯だ。
伝説によれば、聖杯とはキリストが最後の晩餐の際に用いたという、文字通りただの器とされているんだがね、この絵にはまとまった量のワインが入ったグラス、即ち、聖杯が見当たらないだよ。実はこれは、それにまつわる重要な秘密を守る為の比喩であるという。
重要な秘密?
「杯」は女性らしさを表す古代の記号だから、聖杯とは聖なる女性や女神の象徴なのだよ。
だがこれは、男性の支配する教会が勢力を伸ばすにあたって脅威であった為に、事実は歪められ、むしろ聖なる女性は邪悪で不浄のものであると見なされる様になったのだ。
失われた聖杯を探す騎士達の伝説は、実は、失われた聖なる女性を追い求めるという事で、聖杯という隠語を用いる事で、教会の弾圧から身を守っていたという。
そして、その失われた聖なる女性こそが、マグダラのマリアであるというのだ。
彼女は長い間、娼婦であった解釈されてきたが、それは初期の教会による組織的中傷の名残であり、それは彼女の「聖杯としての役割」という教会にとって危険な秘密を闇に葬る為であったという。
役割って?
かつての教会は、もともと人間の預言者であったキリストを、神であると納得させなければならず、故に彼にまつわる世俗的な面を記した福音書は、すべて聖書から外したのだ。
もちろん、特に先述のキリストとマグダラのマリアが親密な関係であったという事もね。
だが、ダ・ヴィンチはその事実を知っていて、『最後の晩餐』に暗にそれを表現したというのだ。
例えば、キリストとマグダラのマリアは赤と青の対照的な衣装をしており、これは陰と陽を示し、青は精神的な愛や、貞節、真実を象徴し、赤と青は王室の色で、つまりマグダラのマリアの家系であるベニヤミン家と、キリストの家系とされるダヴィデ家との、王家の血筋の融合をほのめかしていると考えられるという。
また、キリストとマグダラのマリアの間には、妙な空間を作られている。
ダ・ヴィンチ以前に描かれた『最後の晩餐』では、どれもキリストの左側にいる人物(ヨハネ)は、キリストに身を寄せているにもかかわらず。
つまり、この空間は、ある事を表しているのだ。
・・・あっ、この空間の形、「V」じゃないですかッ!
その通り、この空間は聖杯=子宮を意味しており、キリストとマグダラのマリアの間には子供が出来ていたという事を表しているというのだ。
この説を唱える研究者のフリオ・ナポリタニ氏によれば、このマグダラのマリアとキリストのV字型の空間には、元々はダ・ヴィンチが描いた子供らしき姿が描かれていたそうなのだよ。
そのV字型空間を拡大し、デジタル処理した画像がコレだ。
キリストとマグダラのマリアの間に、人物のアウトラインの様なものが見えないかね?
その人物は小さく子供の様で、服を着ており、頭と胸部、それに両腕みたいのが確認出来る。
また、その人物はキリストの方を向いて立っており、犬の様な耳や髭らしきものも見える。
つまり、これらの事から、ダ・ヴィンチは、絵の中にキリストとマグダラのマリアの間に生まれた子供を描いたが、途中でそれを消し、キリストとマグダラのマリアの間にV字型の空間を残す事で、暗に彼らの間に生まれた子供(血脈=聖杯)の存在を示したと考えられるのだ。
さらに、聖杯を示す「サン・グリアル(Sangreal)」は、"王家の血"を意味する「サング・リアル」が語源だという。
たしかに間に何かいますね。化け物みたいのが。
また、『ダ・ヴィンチ・コード』では、キリストに教会の将来を託され、誰よりも親しい間柄であったマグダラのマリアへの嫉妬や対抗心から、ペテロの左手がマグダラのマリアの首を掻き切ろうとしていると解釈しているが、これは人差し指がキリストに向けられており、他の指が下に向けられている事から、このポーズでは首を掻き切る事は出来ないと思われる。
また、マグダラのマリアの左側にいるユダの背中にナイフを持った手が見えるが、この手は12人の弟子の誰の手でもないという説がある。
しかし、ダ・ヴィンチは「両性具有」を理想としていたとも言われ、先述のヨハネ(マグダラのマリア)や『モナ・リザ』の様に、中性的な人物を描く事があったそうだが、そのナイフを持った手の大きさや形状から、やはり男性のものであり、多少不自然な格好ではあるものの、ペテロの右手であると思われる。
ペテロの手首の骨、折れてたんじゃないですか?
さて、カトリックでは、キリストの死後、マグダラのマリアは小アジアのエフェソスに移り住み、そこで死んだ事になっている。
が、『ダ・ヴィンチ・コード』では、当時ガリアと呼ばれていたフランスへ密かに渡り、ユダヤ人社会にかくまわれ、そこで、「サラ」という名の娘を出産したとしている。
また、ユダヤ人がキリストとマグダラのマリアに始まる「イエス・キリストの家系図」を残しており、さらに、シオン修道会というのは、マグダラのマリアの墓と、その血縁に連なる者(つまりキリストの子孫)を守る為に作られた修道会であると語られているのだ。
そして、その創設者であるゴドブロワは、第1回十字軍の指揮をとり、テンプル騎士団にソロモン神殿の廃墟から秘密文書を発掘する様に命じた男であるそうだが、彼こそが、フランク王国を建国したメロヴィング朝の末裔であるとされ、「サラ」の血縁はそのメロヴィング朝に連なるというのである。
Back number
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死神ベンツ
FILE136:
謎の少年カスパール・ハウザー
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オルメカの巨石人頭像
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エゼキエルの幻視
FILE133:
地獄の声が聞こえる穴
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