日本では道化師を「ピエロ」と呼ぶのが一般的ですが、英語では「クラウン」。 本来ピエロはクラウンの一種で、「悲しみを表現した道化師」の事。 メイクに涙マークが付くとピエロになるそうなんですね。 恐怖症の人がいるなど、ただでさえ不気味に見えやすい存在ですが、 このピエロが謎の怪人と化して、子供を襲う事件がアメリカで発生したんですね。 (本項では以下、道化師を日本で分かり易い方のピエロと表記する)
2008年10月7日午後6時頃、アメリカ・イリノイ州シカゴのハリソン地区で、 下校途中を狙った子供の誘拐未遂事件が起こった。犯人は風船を持って子供に近づいたものの、 驚いた子供が逃げて911に通報し、事無きを得たそうです。 しかし、その3日後の10日午前9時頃にも、同様の事件が再発し、 現場周辺では、学校を含め厳重な警戒が敷かれ、大騒ぎになったが、犯人の足取りはつかめなかったそうなんですよ。 ところが、その後も犯人は町のいたるところで目撃されており、 その姿は、赤く大きな鼻、白塗りの顔、頬に涙のしずく、七色の派手な服装に身を包むあの道化師、つまりピエロにそっくりだったんですね。 この事件を耳にした地元住人達は「アイツがまた戻ってきた・・・!」と口々にマスコミに語った。 悪夢に出そうな形相のピエロ▲ 画像はスティーヴン・キングのファンアートと思われる。 って言うのも、実は1981年5月にも、同様の正体不明の道化師が子供達の誘拐未遂事件を起こしているらしいんですよ。 犯行の手口は、小学校の近くに黒いワゴン車(場所によっては黄色)で乗りつけ、 キャンディー等のお菓子を餌にして子供を誘うってな感じだったみたいですね。 最初にそいつが現れたのは5月5日、ボストンのブルックラインにあるローレンス小学校付近で、 翌日にはボストン警察がピエロ姿の男によって小学生が嫌がらせを受けたという事案について保護者や学校関係者に警告を行ったそうです。 そして、同様の事件はボストンの他、マサチューセッツ州からカンザス州にいたるまで各地で発生。 当時、カンザスシティのフェアファックス小学校の6年生で、 ピエロ姿の男を目撃したラターニャ・ジョンソンという女性の証言によると、 彼は黄色のワゴン車に向かって走っていて、 顔はよく覚えていませんが、黒いパンツの左右のポケットにそれぞれ棒キャンディーを所持していたらしいんですね。 また、ある目撃例では、やはり犯人は上半身がピエロ姿だったものの、 腰から下が裸だったという完全に変質者な感じの報告もあるみたいです。 相次ぐ通報で、ファントム・クラウンに踊らされる警察(イメージ)▲ 月末になると「殺人ピエロがバス停で子供達を付け狙っている!」とカンザスの地方紙が警告記事を報道。 しかしその一方で、目撃者が全て子供であった事から、なかなか犯人を捕らえられず イライラした警察は、最終的に子供達のファンタジーに過ぎなかったという見解を示した為、 集団ヒステリーにも似た一連の事件は沈静化したそうです。 ただ、“ピエロはパトカーに追跡された際に車ごと大気に溶けるように消えた”などの超常的な証言や、 神出鬼没なところから、ファントム・クラウン(幽霊道化師)と呼ばれ、 やがてその謎に満ちた存在は都市伝説となったんですね。 神出鬼没で凶悪なペニーワイズ▲その衝撃の正体に賛否両論を巻き起こした。 2008年のシカゴの事件では、ピエロは淡い色のワゴン車に乗っており、犯行方法も以前とそっくり。 ピエロに扮した化物が子供を誘拐するという話は、スティーヴン・キングのホラー小説『IT』に登場するペニーワイズを彷彿とさせます。 この小説が出版されたのが1986年なので、ボストンで事件が起きた1981年の事件を参考にしている部分もあるかもしれないですね。 また、同作では、ペニーワイズは27年ごとに現れて子供をさらうという設定になっているんですがね、奇遇な事に、 ファントム・クラウンが再び姿を現した2008年の事件も、1981年の事件からちょうど27年ぶりなんですよ。
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