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岩手県盛岡市の郊外、ニュータウンの丘陵に位置する霊園墓地「松園観音」には、実に特徴的で興味深い仏像が鎮座している。
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まず入口付近のお堂(壱願観音堂)の外壁には・・・
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一面びっしり木彫仏像が並んでおり、その圧倒的な物量と大胆な収納方法を見せ付けられる。
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小さな仏像は荒削りながらも、穏やかな表情で合掌する姿が味わい深く、中には人生訓のような言葉が書かれているものもある。
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お堂の裏手にも所狭しと安置されていて、まるで仏像のスタンディングオベーションのような絵ヅラが、妙な迫力を感じさせる。
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これら「万体仏」と銘打たれた約1万体もの像は、私財を投じて同地に禅堂を建立した小田哲男(天牢師)なる人物の作品らしい。
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昭和43年から「刻仏壱万体完成同時土中入定即身成仏」を目指して彫られたもののようだ。
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見所はこれだけではなく、墓地内を進むと左手の坂の上に、何やら巨大なお地蔵様らしき像がある。
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が、よく見ると、なんと像の胴体が墓石で出来ているのである。
合掌こそしているが、その姿はまるでゴーレム。
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正式名は「大仏万霊塔」というらしい。 斜面を利用し無縁墓を集めて作ったようだが、故人の名がそのまま露出していて少し生々しい。
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有事の際には、“墓石ロボ”として起動し、墓地を、いや街を守るのかもしれない・・・なんて妄想も捗る存在だ。
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この仏像フェス状態からも察せられるが、
小田天牢師は独特の宗教観を持った実業家だったそうで、同墓地も一般に無償提供されたものらしい。
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墓地内には「参禅道場天牢庵」なる護摩堂もある。
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建物の内外はやはり万体仏で満たされ、
顔色の悪過ぎるおかめが異彩を放っていた。
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さらに、奥の険しい山道を下っていくと、味わい深い不動明王の山門と、「五合庵禅堂」なる茶室も。
目の前にはバスターミナルがあり、仏の世界から人間界に帰ってきた事を実感させられた。
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